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49th 未知の生物ドグラシール
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地球の試験場から、解散案内が出されたたので、早々に立ち去らなければならない。
現状では海しかなく、大気は荒れている。
「一度火星に寄っていったらどうだ。その人数じゃ七番シャトルじゃエレットが大変な事になるだろう?」
「賛成! 三人でもぎゅうぎゅう詰めで恥ずかしかったのに、これ以上は無理よ!」
「わ、わたしそんなに重くないですよぉ……」
「そういう問題じゃなくてね。そもそも一人乗りシャトルなんだよ、あれ」
「セイソーも物理的に無理と判断シマス」
「わふっ?」
「シロッコ、どこの星から来たの」
「ヘッツはアルバメデスについたら到着するように手配をしておくわね。地球や火星じゃ目立っちゃうもの。
変なのに目をつけられても大変だし」
「姉ちゃんそのものが狙われないかが心配だよ……変装はしてるみたいだけど、そんなので平気なの?」
サングラスに髪を結んだオーソドックスな変装だ。どう見てもすぐに本人として認識されそうだけど。
「平気よ。ダミーなミシーハを千七百体開放してきたの。どれが本物かもう私にもわかんなーい!」
「うわ。もしかしてこのミシーハ博士も偽物なんじゃって気がしてきたわ……」
「こんな感じだから、もう姉ちゃんに理屈は通らないよね……さぁ、火星へ行こう。父さんが
送ってくれるみたいだから、あのシップへ」
エレヴィンが何もないところを指し示すと、ミシーハ博士以外首を傾げる。
「あのシップってどのシップよ。一面海じゃない、そっち」
「うん? だから海へ飛び込んでみればだいたい乗れるかなって」
「はぁー? もう少しわかりやすくいいなさいよ、バカエレット!」
「説明するよりやった方が早いだろ。行くぞ、セイソー! ……とぉっ」
会場から海へ飛び込むエレット。慌てて全員追いかけると、海が割れ、下へ吸い込まれていく。
「早くこーい……」
「わかった。私も行く」
「え? ええーー!? わかりましたよぉー!」
全員海へ飛び込むと、中はまるで生物のように拍動している。
「何コレ。生きてるの?」
「ある惑星で発見された、未知の生物ドグラシールって言うんだ。父さんの乗り物」
「生物が乗り物って……」
「こいつ凄いんだぜ。水空宇宙を凄い速さで移動できるんだ。あらゆる大気に合わせて。
しかも大人しい生物で、父さんに服従してる。今のところ発見されたのはこの一匹だけだけど」
「あはは……エレヴィンさんってやっぱりとんでもない人ですね……」
「お、来たか。そんじゃさっさと行くぞ。ドグラー、いっちょ火星まで頼むわー」
「ロォオオオオオオオ!」
激しい揺れと共にドグラシールは浮上していき、あっという間に地球を後にする。
そのまま火星へと爆進を開始した。
「銀河系くらいならこいつの移動能力で十分行ける。それより遠い場所は難しいが、ある程度物も運べるし
とても助かってるんだ」
「シャトルと違って揺れも少ない。でも景色は見れないのね」
「いいや? ドグラ。部分透過してくれ」
「ロォオオオオオオオ!」
すると表皮が半透明化され、外の景色が見えるようになる。
広い宇宙の光景が映し出され、美しい火星が直ぐ見えてきた。
「はっやーい! もう火星なの?」
「地球から火星は近いからな。こいつの散歩にもならない。火星についたら大型の最新シャトルを用意してやる。しっかりやるんだぞ。それとエレハ! 本気で行くなら絶対に捕まらないような工夫をしろ。
お前に何かあったら洒落じゃすまん。宇宙を粉々にしなければ気が済まなくなるからな」
「わかってるわよ父さん。宇宙を粉々ってのは無理がありすぎるわ。エレミナも来ちゃうかもだけど、気にしないでね」
「……どうせ止めてもお前たちは父さんの傍から離れていくんだろう。やれやれだな」
火星に降り立つと、あでやかな街並み、ビル群が目に入る。
分厚い大気を構築し、放射除去を徹底して行った地域だが、地球の半分程のサイズしかなく、キャパシティ的にはもういっぱいいっぱいだ。
その影響で、他移住地を探したが、水星、金星はどちらも過酷な環境下で、極一部の人のみが
滞在している。
木星はかなり開拓が進んでおり、地球圏にいた住民はほぼ、火星、木星へと振り分けられた。
さらに銀河系を越えた惑星に展開しつつあり、人類の惑星移動はスムーズに進んでいった。
「火星をゆっくり見ていたいところだけど……そうだ! バイオミメティック・オーガニズム・システムだけは登録しておこう。そうすればいつでもここへ来れる」
「名案だわ! いちいちこっちへ戻ってたらきりがないものね」
「それ、基地にあったやつね。もう起動できるの」
「大丈夫だ。開発者様もいるしね」
エレットに導かれ、全員あるビルの一角へと入っていく。
ここはマテリアラーズの印があれば簡単に入る事ができるシステムであり、室内にある装置へ一人一人入っていき、登録を済ませた。
「これでよし……と」
「マスター。パープラー隊長より急ぎの連絡が入っておりマス」
「あれ……?」
現状では海しかなく、大気は荒れている。
「一度火星に寄っていったらどうだ。その人数じゃ七番シャトルじゃエレットが大変な事になるだろう?」
「賛成! 三人でもぎゅうぎゅう詰めで恥ずかしかったのに、これ以上は無理よ!」
「わ、わたしそんなに重くないですよぉ……」
「そういう問題じゃなくてね。そもそも一人乗りシャトルなんだよ、あれ」
「セイソーも物理的に無理と判断シマス」
「わふっ?」
「シロッコ、どこの星から来たの」
「ヘッツはアルバメデスについたら到着するように手配をしておくわね。地球や火星じゃ目立っちゃうもの。
変なのに目をつけられても大変だし」
「姉ちゃんそのものが狙われないかが心配だよ……変装はしてるみたいだけど、そんなので平気なの?」
サングラスに髪を結んだオーソドックスな変装だ。どう見てもすぐに本人として認識されそうだけど。
「平気よ。ダミーなミシーハを千七百体開放してきたの。どれが本物かもう私にもわかんなーい!」
「うわ。もしかしてこのミシーハ博士も偽物なんじゃって気がしてきたわ……」
「こんな感じだから、もう姉ちゃんに理屈は通らないよね……さぁ、火星へ行こう。父さんが
送ってくれるみたいだから、あのシップへ」
エレヴィンが何もないところを指し示すと、ミシーハ博士以外首を傾げる。
「あのシップってどのシップよ。一面海じゃない、そっち」
「うん? だから海へ飛び込んでみればだいたい乗れるかなって」
「はぁー? もう少しわかりやすくいいなさいよ、バカエレット!」
「説明するよりやった方が早いだろ。行くぞ、セイソー! ……とぉっ」
会場から海へ飛び込むエレット。慌てて全員追いかけると、海が割れ、下へ吸い込まれていく。
「早くこーい……」
「わかった。私も行く」
「え? ええーー!? わかりましたよぉー!」
全員海へ飛び込むと、中はまるで生物のように拍動している。
「何コレ。生きてるの?」
「ある惑星で発見された、未知の生物ドグラシールって言うんだ。父さんの乗り物」
「生物が乗り物って……」
「こいつ凄いんだぜ。水空宇宙を凄い速さで移動できるんだ。あらゆる大気に合わせて。
しかも大人しい生物で、父さんに服従してる。今のところ発見されたのはこの一匹だけだけど」
「あはは……エレヴィンさんってやっぱりとんでもない人ですね……」
「お、来たか。そんじゃさっさと行くぞ。ドグラー、いっちょ火星まで頼むわー」
「ロォオオオオオオオ!」
激しい揺れと共にドグラシールは浮上していき、あっという間に地球を後にする。
そのまま火星へと爆進を開始した。
「銀河系くらいならこいつの移動能力で十分行ける。それより遠い場所は難しいが、ある程度物も運べるし
とても助かってるんだ」
「シャトルと違って揺れも少ない。でも景色は見れないのね」
「いいや? ドグラ。部分透過してくれ」
「ロォオオオオオオオ!」
すると表皮が半透明化され、外の景色が見えるようになる。
広い宇宙の光景が映し出され、美しい火星が直ぐ見えてきた。
「はっやーい! もう火星なの?」
「地球から火星は近いからな。こいつの散歩にもならない。火星についたら大型の最新シャトルを用意してやる。しっかりやるんだぞ。それとエレハ! 本気で行くなら絶対に捕まらないような工夫をしろ。
お前に何かあったら洒落じゃすまん。宇宙を粉々にしなければ気が済まなくなるからな」
「わかってるわよ父さん。宇宙を粉々ってのは無理がありすぎるわ。エレミナも来ちゃうかもだけど、気にしないでね」
「……どうせ止めてもお前たちは父さんの傍から離れていくんだろう。やれやれだな」
火星に降り立つと、あでやかな街並み、ビル群が目に入る。
分厚い大気を構築し、放射除去を徹底して行った地域だが、地球の半分程のサイズしかなく、キャパシティ的にはもういっぱいいっぱいだ。
その影響で、他移住地を探したが、水星、金星はどちらも過酷な環境下で、極一部の人のみが
滞在している。
木星はかなり開拓が進んでおり、地球圏にいた住民はほぼ、火星、木星へと振り分けられた。
さらに銀河系を越えた惑星に展開しつつあり、人類の惑星移動はスムーズに進んでいった。
「火星をゆっくり見ていたいところだけど……そうだ! バイオミメティック・オーガニズム・システムだけは登録しておこう。そうすればいつでもここへ来れる」
「名案だわ! いちいちこっちへ戻ってたらきりがないものね」
「それ、基地にあったやつね。もう起動できるの」
「大丈夫だ。開発者様もいるしね」
エレットに導かれ、全員あるビルの一角へと入っていく。
ここはマテリアラーズの印があれば簡単に入る事ができるシステムであり、室内にある装置へ一人一人入っていき、登録を済ませた。
「これでよし……と」
「マスター。パープラー隊長より急ぎの連絡が入っておりマス」
「あれ……?」
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