【マテリアラーズ】 惑星を巡る素材集め屋が、大陸が全て消失した地球を再興するため、宇宙をまたにかけ、地球を復興する

紫電のチュウニー

文字の大きさ
上 下
42 / 130

42th 新しい装備を使ってみたい

しおりを挟む
 シロッコを抱えたまま、仁青井を追っていった不知火・青井を追いかけるレグア。
 そもそも試合はバッジを奪えば終わるはずなのだが、どの選手もそれを忘れて行動している。

「あっちかな」
「ばう!」
「こっちなのね」
「ばうー!」

 レグアの懐から再び飛び跳ねて、近くの木の上に登るシロッコ。かなり上空を見ているようだった。

「エレットにもらったこの銃、使ってみたいの。こうかな」
 
 レグアはカスタマイズカービンガンを構え、上空へ銃口を向ける。
 パァーンという甲高い音とともに射出されるそれは、弾丸ではない。捕縛網だ。
 マテリアラーズでは、隊員が命の危機でない場合、無駄な殺生を固く禁じている。
 そのため、捕獲を目的とした装備を多く取り揃えており、対象を麻痺させたり、捕縛網
で捕縛したり、嗣明させたりして持ち帰る事が殆ど。
 未知なる生命体においても、命を尊重して丁寧に扱われている。

 さらにこの捕縛網は、特殊な金属で加工されており、生命体のように動き、勝手に銃口まで戻っていく。
 これは網一つ一つにAIが搭載され、何かしらの捕縛対象が引っかからない場合に、元の形状へ戻るよう
プログラミングが組み込まれている。引っかかった場合は、沈静ガスが噴き出し、抵抗力を下げるよう
セイソーにより調整された。



「これでさっきの人を捕えればいいの」
「うー……ばふ!」
「このドンタスを無視して行かないで欲しいねぇ。君には一発殴られたからお返しが……」

 パァーン! という甲高い音が再び聞こえると、ドンタスを捕縛網でグルグル固めにするレグア。
 ドンタスは運営側より一つ、厳しい条件を設定されていた。
 マップに出たら攻撃を避けるな。
 そう設定された影響で、レグアの最初の攻撃も避ける事ができなかった。
 沈静ガスが噴き出し、視界が悪くなる。

 そこへ、ミキサスキャロライナが追撃をかけた。先ほどの攻撃で怒り心頭。
 レグアのことなどまるで視界に入っていない。

「見ツケマーシタ! 亀親父、覚悟しろやシネェー!」

 再びパァーンという甲高い音がして、捕縛網でぐるぐる巻きになるミキサスキャロライナ。

「ばふっ」
「えっ? それ、ワターシのバッジ!」
「オーーーーッホッホッホッホッホ! ざまぁないわね! ミキサス・キャロライナ。バッジを奪われたので
敗退よ!」
「オウノォーーー! アーリエマセーーン!」
「うー、わう! ワウワウワウ!」
「どうしたの。シロッコ。まだ何かいるのね。そうだ。このカチューシャで。
こっちへ来て。ここで思いきり吠えてみて」
「ばふ? ワウワウ! ワウワウ! ワオーン!」
「ビークワイエット! シャラップ!」

 何もない場所から突如、レーザーのような波動がシロッコたちに浴びせられる。
 咄嗟に腕をシールドにして防ぐレグア。だがレーザーが放たれた先にはやはり何も見当たらない。

「透明人間か何かなの」
「ばう! ……くぅーん」
「やはり見失った。このままではらちがあかない。やはり一度アオアシラと合流しましょう」
「ばう!」

 捕縛網が絡まって動けないドンタスを放置し、再びシロッコの案内で不知火・青井を探す二人。
 しかし不知火・青井はバッジを奪われ、敗退していた。

「ぐぅ……やっぱお兄ちゃんに、勝てないの……」
「お前は目立ちすぎる。忍再興には向かないんだよ」

 バッジをくるくると手の上で回しながらそう告げると、レグアとシロッコに襲いかかる! 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

No One's Glory -もうひとりの物語-

はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `) よろしくお願い申し上げます 男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。 医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。 男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく…… 手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。 採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。 各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した…… 申し訳ございませんm(_ _)m 不定期投稿になります。 本業多忙のため、しばらく連載休止します。

未来から来た美女の俺

廣瀬純一
SF
未来から来た美女が未来の自分だった男の話

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

悪魔の契約

田中かな
SF
ショートSFです。暇つぶしにどうぞ

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...