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31th 一次試験 的破壊 エンハンスドワン
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「これより一次試験を開始する。担当はマテリアラーズ地球支部、試験管コノイ・ハノイが請け負う。
まず最初に行うのは観察眼、洞察眼試験だ。四十二個の的を用意する。
おのおの好きな方法で的を射抜くように。この説明だけでは観察眼、洞察眼試験だと
理解し辛い。だがそれも試験内容に含まれる。ヒントは以上。諸君らの検討を祈る。
番号は各々に付与されたものを確認するように。順番に下層へと瞬時に移動する」
コノイ・ハノイがすっと手を上に挙げると、真っ先にレグアが移動した。
下層は広いフィールドとなっているが、地形には水、砂、雷雨、強風ひしめくエリアに
分かれている。
「一次試験最初は君か。四十二の的を制限時間三分以内にどれだけ多く破壊できるか。
全て破壊するのは困難だろう。準備はいいか!」
「ええ」
「始め!」
開始と同時に凄い速度で走り出すレグア。まずは歩きやすい道のフィールド沿いにある
的を次々に拳で破壊していく。高さはおおよそ最大五メートル。なんなく跳躍して適格に射抜いていく。
「……速い!」
特に障害物もなく、安定して破壊できる場所にある的十二枚を十秒かからず全て破壊する。
既にこの的自体にギミックがあり、それぞれ強度が異なるが、レグアは全て一発で粉砕してしまう。
次に差し掛かったのは強風地帯だが……風で揺れ動く的がいくつもあり、難易度が跳ね上がる。
「ミシーハ博士の装備、使えそう。えい」
離れた場所から拳を構え、アクションインパルスを撃ち放つと、かなり遠目にある、揺れる的を次々破壊していった。
「凄く便利。これならあの機体を追撃できたかも」
更に追加で的を破壊し、強風エリアの的九枚を撃ち落とした。これで二十一枚。
強風エリアを突き抜けて先に進むと、大きな滝が轟音を立てて流れるエリアに差し掛かる。
見える的は三枚。そちらを的確にアクションインパルスで撃ち落とすレグア。
「観察眼。こういうことなのね」
滝の中を凝らしてみると、わずかに岩壁と異なる色の部分が見え隠れしている。
かなり分かりづらいが、そのポイントへ跳躍して蹴りをはなち滝を割った。
その見えた部分にアクションインパルスを放つ。
その位置から更に下方を見ると、滝とは反対側の水中に一枚発見する。これも直ぐに破壊した。
「二十六枚。次」
「驚いた。まだ四十七秒よ」
ここで道は二手に分かれる。片方は砂と穴が開いているエリア。もう片方は雷雨が注ぐエリア。
レグアは迷わず雷雨のエリアへと突き進んだ。
「そっちは鬼門よお嬢さん。果たして何枚割れるかな」
定期的に雷が落ちつつも、雨で視界はかなり悪いが、こちらは雷の光が差し込む影響で
的が見やすい。
片腕をシールド状にしたレグアは、そのまま雷雨の中へと突っ込んでいった。
手前にある三枚を素早く破壊し、奥へ奥へと進んでいく。
落雷の落ちる場所がほぼ決まっている事に気づき、そちらを避けつつ進むと、落雷で
出来た穴部分に的を二つ発見。そちらも破壊する。
「これで三十一枚。少ない。このあたりにに多く見えたのに」
「さて、気づくかしらね」
時間には余裕があると見たレグアは、雷が落ちるのを待つ。
その雷が落ちた時だけ違和感を感じるレグア。
「落ちた時だけ見える的がある。どうなっているかわからない。タイミングを合わせないと」
拳を構え、的の位置を確認……そして次の落雷があった瞬間、一気に的へ迫り破壊。
反対側の手で更にアクションインパルスを放ち、二枚追加で破壊した。
同一の行動を更にとり、二枚破壊に成功。
「苦戦した。これで三十五枚」
「……恐ろしい子ね。残り時間、四十秒よ」
踵を翻し、砂エリアへ急ぐレグア。跳躍して一気に砂エリアへ突撃する。
蹴りを向けている方向は穴。そこに二枚の的が隠されているのを事前に確認していた。
「後五枚」
「まだ一人目だというのに、何て子なの……」
「砂の中」
跳躍して地面に思い切り蹴りを放つ。すると砂中から二枚、的が飛び出てくるのを破壊した。
「後三枚。何処」
レグアは左右を見渡すが、的は見当たらない。すると――――最初のフィールド地点へ
急ぎ走り出した。
「気づいた! まさか。なぜ……」
「エレットに教わった通り、実行してみる。零、私は全てが。でもそこに一を加えたい」
【エンハンスド・ワン】
全てが零のレグア。そんな彼女に一を。それがエレットの応援から来る答えだった。
エレットが一と零を駆使するのを見て、彼女は自分もそうありたいと願っていたからだ。
「何なの、一体……」
「これで、全部」
初期位置のフィールドは、爆風で変形し、大きく吹き飛んでいた。
「……ALL零。一次試験、通過よ」
まず最初に行うのは観察眼、洞察眼試験だ。四十二個の的を用意する。
おのおの好きな方法で的を射抜くように。この説明だけでは観察眼、洞察眼試験だと
理解し辛い。だがそれも試験内容に含まれる。ヒントは以上。諸君らの検討を祈る。
番号は各々に付与されたものを確認するように。順番に下層へと瞬時に移動する」
コノイ・ハノイがすっと手を上に挙げると、真っ先にレグアが移動した。
下層は広いフィールドとなっているが、地形には水、砂、雷雨、強風ひしめくエリアに
分かれている。
「一次試験最初は君か。四十二の的を制限時間三分以内にどれだけ多く破壊できるか。
全て破壊するのは困難だろう。準備はいいか!」
「ええ」
「始め!」
開始と同時に凄い速度で走り出すレグア。まずは歩きやすい道のフィールド沿いにある
的を次々に拳で破壊していく。高さはおおよそ最大五メートル。なんなく跳躍して適格に射抜いていく。
「……速い!」
特に障害物もなく、安定して破壊できる場所にある的十二枚を十秒かからず全て破壊する。
既にこの的自体にギミックがあり、それぞれ強度が異なるが、レグアは全て一発で粉砕してしまう。
次に差し掛かったのは強風地帯だが……風で揺れ動く的がいくつもあり、難易度が跳ね上がる。
「ミシーハ博士の装備、使えそう。えい」
離れた場所から拳を構え、アクションインパルスを撃ち放つと、かなり遠目にある、揺れる的を次々破壊していった。
「凄く便利。これならあの機体を追撃できたかも」
更に追加で的を破壊し、強風エリアの的九枚を撃ち落とした。これで二十一枚。
強風エリアを突き抜けて先に進むと、大きな滝が轟音を立てて流れるエリアに差し掛かる。
見える的は三枚。そちらを的確にアクションインパルスで撃ち落とすレグア。
「観察眼。こういうことなのね」
滝の中を凝らしてみると、わずかに岩壁と異なる色の部分が見え隠れしている。
かなり分かりづらいが、そのポイントへ跳躍して蹴りをはなち滝を割った。
その見えた部分にアクションインパルスを放つ。
その位置から更に下方を見ると、滝とは反対側の水中に一枚発見する。これも直ぐに破壊した。
「二十六枚。次」
「驚いた。まだ四十七秒よ」
ここで道は二手に分かれる。片方は砂と穴が開いているエリア。もう片方は雷雨が注ぐエリア。
レグアは迷わず雷雨のエリアへと突き進んだ。
「そっちは鬼門よお嬢さん。果たして何枚割れるかな」
定期的に雷が落ちつつも、雨で視界はかなり悪いが、こちらは雷の光が差し込む影響で
的が見やすい。
片腕をシールド状にしたレグアは、そのまま雷雨の中へと突っ込んでいった。
手前にある三枚を素早く破壊し、奥へ奥へと進んでいく。
落雷の落ちる場所がほぼ決まっている事に気づき、そちらを避けつつ進むと、落雷で
出来た穴部分に的を二つ発見。そちらも破壊する。
「これで三十一枚。少ない。このあたりにに多く見えたのに」
「さて、気づくかしらね」
時間には余裕があると見たレグアは、雷が落ちるのを待つ。
その雷が落ちた時だけ違和感を感じるレグア。
「落ちた時だけ見える的がある。どうなっているかわからない。タイミングを合わせないと」
拳を構え、的の位置を確認……そして次の落雷があった瞬間、一気に的へ迫り破壊。
反対側の手で更にアクションインパルスを放ち、二枚追加で破壊した。
同一の行動を更にとり、二枚破壊に成功。
「苦戦した。これで三十五枚」
「……恐ろしい子ね。残り時間、四十秒よ」
踵を翻し、砂エリアへ急ぐレグア。跳躍して一気に砂エリアへ突撃する。
蹴りを向けている方向は穴。そこに二枚の的が隠されているのを事前に確認していた。
「後五枚」
「まだ一人目だというのに、何て子なの……」
「砂の中」
跳躍して地面に思い切り蹴りを放つ。すると砂中から二枚、的が飛び出てくるのを破壊した。
「後三枚。何処」
レグアは左右を見渡すが、的は見当たらない。すると――――最初のフィールド地点へ
急ぎ走り出した。
「気づいた! まさか。なぜ……」
「エレットに教わった通り、実行してみる。零、私は全てが。でもそこに一を加えたい」
【エンハンスド・ワン】
全てが零のレグア。そんな彼女に一を。それがエレットの応援から来る答えだった。
エレットが一と零を駆使するのを見て、彼女は自分もそうありたいと願っていたからだ。
「何なの、一体……」
「これで、全部」
初期位置のフィールドは、爆風で変形し、大きく吹き飛んでいた。
「……ALL零。一次試験、通過よ」
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