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29th 試験会場へ
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海の上を移動開始するエレットたち。
目標地点まで約十七キロ程。エレットたちの移動速度ならそう時間はかからない。
「水上を歩くってこんな感じなのね」
「不思議よね。むかーし見た忍者とかいうのが、平べったいのつけて水の上を歩いていた
そうよ。面白いわよね」
「それ、やってみたい」
「今やってるの、そんなレベルの話じゃないから! あれは歩くっていうか浮く……だよな、多分」
「私たち、水の上走ってるわよね。まぁこうしなくても装備で多少浮いて移動とかはできるんだけど」
「そうなの。私も空を飛びたい」
「レグアも合格すればヘッツが待ってる。レグアに与えられるヘッツはどんなものなんだろうな」
見事マテリアラーズ試験に合格すれば、ヘッツを授与される資格を得る。
しかし逆指名でヘッツを与えられる事は基本的に無い。
レグアが合格したら、誰もが憧れるミシーハ製のヘッツを手にできる。
「できればセイソーのようなヘッツが欲しい。セイソーは可愛い」
「お褒めに預かり光栄デス。ですがセイソーはミシーハ博士に改良されたヘッツデス。
そもそもはミシーハ製のものではありまセン」
「え? そうなの? てっきりミシーハ博士の物かと思ってたわ。でもうちのルシールの方が可愛いでしょう?」
「ボロ。出番が無くて悲しいです。フラー」
「そうね。最近出していなかったわね」
「ヘッツはそもそもどこに収納されているの。たまにセイソーもいないけど」
『ここ』
エレットとフラーは両方、自分たちの首輪を示した。
首にはそれぞれ、セイソー、そしてルシールと書かれた印がある。
「そこに入る大きさには見えない」
「この首輪から展開されるパーツはかなり多い。だが基本的に一人一体までしか
装備出来ない。なぜならヘッツは人体の脳と深く関わっているから」
「私たちは一心胴体。そしてヘッツは生産台数が多くないの」
「それであの時奪われそうになったのね」
「幸い奪われたのはオルクスだけだろう。あれだけ巨大なものを奪うのは大変だからね。
それも姉ちゃんの狙いだったのかもしれない」
「ミシーハ博士かぁ。本当、凄い人だったなぁ」
「そうかしら。そうでもないわよ? うふふっ」
「わわっ! また突然現れた!」
「姉ちゃん。もう来たの?」
「だってぇ。早くエレットに会いたかったんだもん。試験会場まで、乗せてって」
「どわっ。のっかって来るなよ。重いって!」
「あら、レディーに対して重いだなんて、失礼な弟だと思わない?」
「本当よ! エレットって結構失礼なとこあるのよね! こないだなんて……」
「あー、もう! 俺が悪かったから、早く試験会場まで行こう!」
エレットにのしかかったまま放れそうにない姉を抱えながら先を急ぐエレット。
まもなく海の上にそびえる器械が見えてきた。
外壁は数十メートルはある。そしてその機械には【大日本帝国試験場】と書かれていた。
「ここが試験場なのね」
「そうだ。俺もここで試験を受けたんだ。父さんの話を聞く限り、少し厳しい試験になるかもしれない。
行ってみよう」
「レグアちゃんなら直ぐよ、直ぐ。みーんな蹴散らしちゃって!」
「暴れるなって姉ちゃん! でもなんかさ。すごーーい嫌な予感するんだ。見て、あれ」
「あら本当だわ。すごーーい嫌な予感するわね」
「あの人! くまのパンツ!」
「なんで父さんが先回りしてるんだよ……」
外壁のさらに上からこちらを見下ろす人物。それは紛れもなくエレヴィンその人だった。
目標地点まで約十七キロ程。エレットたちの移動速度ならそう時間はかからない。
「水上を歩くってこんな感じなのね」
「不思議よね。むかーし見た忍者とかいうのが、平べったいのつけて水の上を歩いていた
そうよ。面白いわよね」
「それ、やってみたい」
「今やってるの、そんなレベルの話じゃないから! あれは歩くっていうか浮く……だよな、多分」
「私たち、水の上走ってるわよね。まぁこうしなくても装備で多少浮いて移動とかはできるんだけど」
「そうなの。私も空を飛びたい」
「レグアも合格すればヘッツが待ってる。レグアに与えられるヘッツはどんなものなんだろうな」
見事マテリアラーズ試験に合格すれば、ヘッツを授与される資格を得る。
しかし逆指名でヘッツを与えられる事は基本的に無い。
レグアが合格したら、誰もが憧れるミシーハ製のヘッツを手にできる。
「できればセイソーのようなヘッツが欲しい。セイソーは可愛い」
「お褒めに預かり光栄デス。ですがセイソーはミシーハ博士に改良されたヘッツデス。
そもそもはミシーハ製のものではありまセン」
「え? そうなの? てっきりミシーハ博士の物かと思ってたわ。でもうちのルシールの方が可愛いでしょう?」
「ボロ。出番が無くて悲しいです。フラー」
「そうね。最近出していなかったわね」
「ヘッツはそもそもどこに収納されているの。たまにセイソーもいないけど」
『ここ』
エレットとフラーは両方、自分たちの首輪を示した。
首にはそれぞれ、セイソー、そしてルシールと書かれた印がある。
「そこに入る大きさには見えない」
「この首輪から展開されるパーツはかなり多い。だが基本的に一人一体までしか
装備出来ない。なぜならヘッツは人体の脳と深く関わっているから」
「私たちは一心胴体。そしてヘッツは生産台数が多くないの」
「それであの時奪われそうになったのね」
「幸い奪われたのはオルクスだけだろう。あれだけ巨大なものを奪うのは大変だからね。
それも姉ちゃんの狙いだったのかもしれない」
「ミシーハ博士かぁ。本当、凄い人だったなぁ」
「そうかしら。そうでもないわよ? うふふっ」
「わわっ! また突然現れた!」
「姉ちゃん。もう来たの?」
「だってぇ。早くエレットに会いたかったんだもん。試験会場まで、乗せてって」
「どわっ。のっかって来るなよ。重いって!」
「あら、レディーに対して重いだなんて、失礼な弟だと思わない?」
「本当よ! エレットって結構失礼なとこあるのよね! こないだなんて……」
「あー、もう! 俺が悪かったから、早く試験会場まで行こう!」
エレットにのしかかったまま放れそうにない姉を抱えながら先を急ぐエレット。
まもなく海の上にそびえる器械が見えてきた。
外壁は数十メートルはある。そしてその機械には【大日本帝国試験場】と書かれていた。
「ここが試験場なのね」
「そうだ。俺もここで試験を受けたんだ。父さんの話を聞く限り、少し厳しい試験になるかもしれない。
行ってみよう」
「レグアちゃんなら直ぐよ、直ぐ。みーんな蹴散らしちゃって!」
「暴れるなって姉ちゃん! でもなんかさ。すごーーい嫌な予感するんだ。見て、あれ」
「あら本当だわ。すごーーい嫌な予感するわね」
「あの人! くまのパンツ!」
「なんで父さんが先回りしてるんだよ……」
外壁のさらに上からこちらを見下ろす人物。それは紛れもなくエレヴィンその人だった。
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