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10th はむはむ食べる

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「ふう、こんなもんか。はぁ……まさかもう戻る事になるとはなぁ。
エレミナにお土産も無いし、参ったな」

 地球に戻る支度をしながら、ブツブツ言うエレット。
 すると部屋に誰かが入ってくる。

「ノックしてるのに何で返事しないのよ、あんた!」
「あれ、フラー。もう掃除終わったの?」
「とっくよ、とっく。あんた、地球に戻るんだって? しょうがないから
私も行ってあげるわよ」
「いいよ別に。レグアの試験付き添いだけだから、そんな危険な任務じゃないし」
「別に危険だからついて行ってあげるわけじゃないわよ! たまたま、たまたま地球に幼児
を思い出しただけなんだから!」
「って言ってもなぁ。隊長の許可、降りなくないか?」
「ふふーんだ。もうもらったもんねー。レグアが女の子で色々困るだろうからって言ったら
簡単に降りたわ!」
「まぁ隊長ならそう言えば降りそうだけど……別にエレミナに頼めばその辺は
平気だから、隊長に俺から言っておくよ」
「ちょ、何言ってるの? エレミナちゃんだって忙しいじゃない! だから暇……じゃなかった
用事のついでに私が手伝ってあげるって言ってるの! いい!? もう決定事項だから! じゃあね!」
「一体何なんだ……フラーのやつ。ああそうか。レグアと友達になりたいんだな。
年は近そうに見えるけど……そういえばレグアっていくつくらいなんだろう」

 そう思案しながら荷物をまとめて食堂へ向かう。
 自分の部屋から少し移動して到着する食堂はなかなかに広い。
 セイソーに配膳してもらって食べ物を不思議そうに眺めるレグアがいた。

「お待たせレグア。何してるんだ? 食べないのか?」
「これ、何。私の知ってる食べ物と全然違う」
「こちらデハ全て自動生成されタ調理デス。各星の一流シェフたちが残した調理法を
元に味を構成してイマス。とても美味しいはずデス」
「どうやって食べるの」
「セイソー。俺の分もある?」
「用意しておきマシタ。マスター、こちらデス」
「ありがと相棒。レグア、見ててくれ。こうやって……こう食べるんだ」

 サジとフォークを器用に使って見せる。レグアはそれをまじまじと見て……フォークを
肉にぶっ刺した。

「こうすればいいの」
「間違っちゃいないけどもう少しゆっくり、丁寧にやろう……怖いよそれだと」
「こうでいいの」
「そう、そんな感じだ」
「……はむ……はむ……」
「ひたすらハムハム食べてる女の子って初めて見たな」
「とても可愛らしいデス。少しエレミナ様を思いだしマシタ」
「そーいやエレミナも夢中になって食べるよな。はむはむはしてないけど」
「美味しい。もっと食べたい」
「そっか。それじゃ俺のをやるよ。セイソー、代わりにパンを頼めるか」
「パン。それ、おいしいの」
「軽食だが俺はパンの方が好きだな。簡単に食べれるし」
「それ、食べてみたい。ダメかな」
「構わないよ」
「こちらをドウゾ。今は材料がなく、パンをあまり提供デキマセン。月に寄れば月光パンが
食べれマス」
「月光パン。おいしそうな名前」
「昔……は地球でも作物を育てられたんだが、今は月じゃないと育てられないんだ。
月なら途中で寄れるし、行ってみるか?」
「行ってみたい。簡単に行けるものなの」
「簡単ではありまセン。ですが我々マテリアラーズにはそれだけの技術がありマス」
「凄いのね。私には考えられない」
「それより本当にいいのか。俺たちのマテリアラーズに入団しても」
「わからない。でもそうしないとエレットと一緒にいれないから」
「そうだけど……俺たちはあちこちの星に行かなきゃいけないし、危険な任務もある。
それでもいいのか?」
「構わない。私は私がわからない。でもエレットといると私が私を知る事が出来る気がするの。
だから一緒にいたい」

 食堂で淡々と話すうち、少しだけだがレグアの感情がわかる気がしてきた。
 表情はぴくりとも変わらないんだけど……。
 そして……「ここにいたのね。なんであんたたち、私より先に食事してるわけ?」

 地球に戻る支度をすませたフラーが入ってくる。どうやら準備ができたようだ。
 
「どうやってその地球という星に行くの」
「それはな……」
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