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第三章 ベオルブイーターを倒せ!
第九百五十七話 ベオルブイーター戦その七 シールドラージャと最封印
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ベオルブガーディアンの塊は、まるで巨大な矛のように俺へと向けられている。
俺の下には別部隊がおり、逃げられる状態ではない。
どれ一つとしてガーディアンを真下に落とすわけにはいかない。
どうにか方向を変えさせなければならない。
「お前たちの能力、相手をだまさなくても使えるのか?」
「そんな秘密、お前にばらすかよ。どーせ俺たちを利用するつもりだろ!」
「やんややんや。でもよ。こいつが死ぬと俺たちも死ぬんじゃないのか?」
「さぁな。この体で死んだことが無いから分からないが、そうかもしれないな」
「ヒヒン! 早く逃げようよあんなの無理だよ止められないよー!」
「そうはいかない。正面はラーンの捕縛網で止められるとして、問題は正面以外のガーディアンだ」
「おい。その攻撃を防いだらバラムと話をさせろ」
「やんややんや。そーだそーだ! 他のソロモンの奴らとも話をさせろ! 確かめたいことがあるんだ!」
「構わないが……カルネにお前たちの記憶はないと思うぞ。バラムは二度倒したが、カルネとは大違いだ」
「嘘をつくな。お前にバラムが倒せるはずがない」
「一回目はギオマと一緒にいた俺の妻、メルザがいたからな。さて、それじゃ協力してくれ。もう時間がない」
「おいやるぞハルファス」
「仕方ないやるかマルファス」
二匹の鳥は俺の左右で羽ばたいている。
ギィギィというような鳴き声が強くなり、そして……横一列に無数の鳥を呼び出していた。
「その鳥で防げるのか?」
「舐めるなよ。これ一つ一つが建物と同等の質量がある」
「やんややんや。こっちだって死にたくないから真剣なんだ。そこの馬みたいに魂を作り替えられてたまるか」
「ふふっ。違いない。死んだあとは魂をどうこうされず、心安らかに過ごしたいものだよな」
次の瞬間、ベオルブガーディアンの矛は撃ち放たれた。
……まるで天から降り注ぐ、グングニルのように。
地表に落ちれば大惨事だろう。だが……「ラーンの捕縛網、モードパモ!」
『ぱーみゅーー!』
「防げ。塔の軍団!」
『ギィギィーーー!』
迫りくるベオルブガーディアンの矛を、鳥たちは身を粉にして防いでいる。
鳥にもかかわらず、固い何かにぶつかったように、ガーディアンの矛の形が崩れていくのが分かる。
ぼろぼろと何もないところへガーディアンが落ちていく。
こちらの正面も捕縛網で防ぎきった。
「やったぜ! どうだ見たか。これがマルファス様とハルファス様の実力だ!」
「やんややんや。ほらほら褒めろー!」
「……ラモト、ギルアテ!」
「へっ?」
ガーディアンを退けた俺は、すかさず紫色の城を攻撃した。
だが、だめだ。距離がありすぎる。やはり……「メルザ、お前を信じてるぞ!」
ガーディアン攻撃に次いで紫色の城から巨大鎌のようなものが出現。
それがすでにこちらへ振り下ろされ始めていた。
この連携をあらかじめ予測していた。
なにせあの城は消えてなどいない。
考えられる最悪な事態も想定しているのだ。
「うわあああああああああ! 詠唱遮断。ウガヤ、幻魔獣クレルクラージャ、ミストラージャ、ユビルラージャ……」
「メルちゃ。ダメ。それじゃ、死ぬ。シールドラージャ、招来」
俺たちに振り下ろされる鎌を見て、メルザはなにかが吹っ切れたように詠唱を開始した。
そのメルザを止めるように、カルネが補助した。
メルザが呼び出したウガヤは、一匹の空を飛ぶ……盾を出した。
正確には背中に盾を背負っている竜といっていい生物だ。
それがスムーズに俺の前へと来る。
こいつが、ラージャだというのか? この存在はなんだ。
幻獣界で襲われたやつとはまるで違う。
カルネが……操っているのか。
それは強烈な咆哮を俺の正面で発した。
「グクアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「くっ。耳が張り裂けそうな鳴き声だ。これなら……」
紫色の閃光が走り、そのラージャを一閃する。
激しい衝突音が周囲に鳴り響いた。
「ハルファス、マルファス……セーレも戻れ! 強制だ! ギオマー! メルザを連れてもっと離れろ! 衝撃の反動が空間へ飛散する!」
「ルイン! ルインーー! だめだ! ルイーーーン!」
「心配するなメルザ。十分やってくれた。下の全員、これなら助かる!」
ぶつかり合ったラージャと紫色の鎌による攻撃。
シールドラージャと呼ばれたそれは姿をかき消され、残った紫色の斬撃が全方向に展開される。
あの攻撃をまともに食らっていたのなら、フェルドナーガはバラバラだっただろうに。
バルフートもただではすんでないだろう。
そして、俺も……「うおおおおお! あんな盾で防いでこんな衝撃が残ってるのか! 封剣! 生罪の剣、今ここに。ペカドクルード!」
俺の魔正面に迫る紫色の衝撃波に向けて斬撃を飛ばす。
多少の威力軽減にしかならない。
そのまま地面へ向けて衝撃波を全身に浴びる。
だが、不思議なことに痛みなどが一切ない。そればかりか……「なんだ、これは。ネウスーフォの、記憶、か?」
「……地底にて管理する」
「海底の方がいいであろうに。なぜ地底に置く」
「魂の循環がしやすいからだ」
「しかしなネウスーフォよ。地底とて争い合う場所となるのだ。それが生命というもの」
「問題ない。ベオルブイーターを設置する。次代の王のみ攻撃されない存在として」
「管理者の領分を越えることはできないよ、ネウ」
「イネービュは黙れ。スキアラと話をしているのだ」
「私にだけ辛らつなのは相変わらずだね」
「イネービュの言う通りだ。タルタロスは奈落の管理者。それ以上の行動はできまい」
「タルタロスには奈落で勢力争いに加わらせる。均衡を保つ勢力とすればいい。統治者がいるときは大人しくさせる」
「負担が多すぎるだろう」
「それが役目だ」
「……タナトスを手伝いに置いてやってもよい」
「ウナスァーまで。それほど地底が好きなのか?」
「好きなどという人のようなことを口にするお前たちには分かるまい。必要なこと。ただそれだけだ」
……何だ、今のは。俺はどうなって……? 気づいたら先ほどと同じく空に浮かび、俺をメナスが受け止めていた。
「メナス」
「主様。気を失っていたようなのでメナスが」
「よせ。このまま落ちればお前の足では砕ける」
「主様が傷つかないのであれば、私の足なぞ……」
すかさず体制を逆転させると、地上を見る。
先ほどの見えたものはほんの一瞬の出来事だったのか。
もう一度セーレを呼ぶのもいいが、どうやら迎えのようだ。
「主様。その……やられてみたら、恥ずかしかったです」
「だから封印から出てきたらダメだって。サーシュ!」
「我が主、ご無事で何より。紫色の光に飲まれたときはヒヤリとしました」
迎えに来たサーシュに乗ると、下の状況を確認する。
全部隊、無事だったようだ。
ガーディアンは数を大きく減らし、ベオルブイーターはガーディアン再生を行っていないことが判明した。
「ガーディアンの封じる方法が分かったのか!?」
「はい。再生そのものが本体ではなくガーディアンの方に仕掛けがあったと報告アリ。それと、吹き飛ばされたバルフートは放置されたままと連絡アリ。さらに各地から大群が中央に向け集結しつつアリ。もう一つ。主様のデュラサーたちもつれてこられていると報告アリ。いかがいたしましょうか」
「案内を頼めるか。せっかくだ。メナスはセーレに乗ってメルザとギオマに報告を入れてくれ。ズサカーンのお陰で反撃に出れそうだ。メルザたちをルインズシップへ向かうように伝えてくれ」
「主様と一緒が……いえ、承知しました」
俺はすぐさまバルフートの下まで飛んでもらう。
……酷いやられようだ。
片側の翼はひしゃげ、飛ぶことはできそうにない。
他にも裂傷がひどく、当分動けそうにない。
フェルドナーガは近くにいないし、こいつを返してもらうなら今だろう。
「奪われて悪かったな。お前の力を今一度借りたい。俺には過ぎたる力かもしれない。だが……バルフートよ。共に戦って欲しい」
俺は動けずにいるバルフートを再び封印する。
――さらにそこからは離れた場所にある、デュラサーが収容されている場所へと向かう。
転移させる方法がそこにはあるようで、デュラサーやター君などは建物の中にしまわれているようだ。
とはいってもデュラサーはデカすぎるので頭が飛び出ている。
「兵士は……いないな。全部逃げだしたのか?」
「フェルドナーガ直属部隊は壊滅したと報告アリ。最初の攻撃で大打撃を受けたようです」
「地底を制覇した軍でも、ベオルブイーター一匹に殲滅させられるのか……いや、正確には違うな。あれは守り神のようなものだ。認められたものには攻撃しない、か。地底に王がいない。それにいらだちを感じていたのか? どちらにしてもお前たちを解放できそうで安心したよ」
俺は再び自分のモンスターたちを取り戻した。
そして次に向野は絶対神が黒い塊になり、落ちた場所だ。
その近くにはフェルドナーガがいた。
その場にたたずみ、憎悪の塊を見るような目を絶対神に向けている。
「来おったか。ルイン・ラインバウト」
「俺がバルフートやデュラサーを解放すること、気付いていたんじゃないのか」
「無論。止めはせぬ。我は敗北した。あの一閃、貴様は耐えよった。ネウスーフォ。彼奴めがあそこにいることは分かっていた。我は、彼奴目を殺したかった」
「理由を聞いてもいいか?」
「貴様には関係の無いことよ。もうじきラーヴァの軍勢が来よう。貴様はどうするのだ」
「最初から目的は変わってなどいない。ベオルブイーターは倒す。だが、その下にある何かをお前たちに渡すつもりはない」
「ゲンドールの秘宝。それはベオルブイーターを退けたとて、容易くは手に入らぬ。今それに最も近いのは、黒づくめの男」
「ライデン、ガーランドか」
「やはり知っておったのか」
「あんたとの話はこれまでだ。戦いが終わった後、正式に決闘を申し込む。俺が勝ったら……」
「みなまで申さずともよい。分かっておる。だが、息子ラーヴァは容易く言うことを聞かぬ。そちらは自分で解決することだ」
「ああ。そうするつもりだ。それじゃあな、フェルドナーガ」
俺の下には別部隊がおり、逃げられる状態ではない。
どれ一つとしてガーディアンを真下に落とすわけにはいかない。
どうにか方向を変えさせなければならない。
「お前たちの能力、相手をだまさなくても使えるのか?」
「そんな秘密、お前にばらすかよ。どーせ俺たちを利用するつもりだろ!」
「やんややんや。でもよ。こいつが死ぬと俺たちも死ぬんじゃないのか?」
「さぁな。この体で死んだことが無いから分からないが、そうかもしれないな」
「ヒヒン! 早く逃げようよあんなの無理だよ止められないよー!」
「そうはいかない。正面はラーンの捕縛網で止められるとして、問題は正面以外のガーディアンだ」
「おい。その攻撃を防いだらバラムと話をさせろ」
「やんややんや。そーだそーだ! 他のソロモンの奴らとも話をさせろ! 確かめたいことがあるんだ!」
「構わないが……カルネにお前たちの記憶はないと思うぞ。バラムは二度倒したが、カルネとは大違いだ」
「嘘をつくな。お前にバラムが倒せるはずがない」
「一回目はギオマと一緒にいた俺の妻、メルザがいたからな。さて、それじゃ協力してくれ。もう時間がない」
「おいやるぞハルファス」
「仕方ないやるかマルファス」
二匹の鳥は俺の左右で羽ばたいている。
ギィギィというような鳴き声が強くなり、そして……横一列に無数の鳥を呼び出していた。
「その鳥で防げるのか?」
「舐めるなよ。これ一つ一つが建物と同等の質量がある」
「やんややんや。こっちだって死にたくないから真剣なんだ。そこの馬みたいに魂を作り替えられてたまるか」
「ふふっ。違いない。死んだあとは魂をどうこうされず、心安らかに過ごしたいものだよな」
次の瞬間、ベオルブガーディアンの矛は撃ち放たれた。
……まるで天から降り注ぐ、グングニルのように。
地表に落ちれば大惨事だろう。だが……「ラーンの捕縛網、モードパモ!」
『ぱーみゅーー!』
「防げ。塔の軍団!」
『ギィギィーーー!』
迫りくるベオルブガーディアンの矛を、鳥たちは身を粉にして防いでいる。
鳥にもかかわらず、固い何かにぶつかったように、ガーディアンの矛の形が崩れていくのが分かる。
ぼろぼろと何もないところへガーディアンが落ちていく。
こちらの正面も捕縛網で防ぎきった。
「やったぜ! どうだ見たか。これがマルファス様とハルファス様の実力だ!」
「やんややんや。ほらほら褒めろー!」
「……ラモト、ギルアテ!」
「へっ?」
ガーディアンを退けた俺は、すかさず紫色の城を攻撃した。
だが、だめだ。距離がありすぎる。やはり……「メルザ、お前を信じてるぞ!」
ガーディアン攻撃に次いで紫色の城から巨大鎌のようなものが出現。
それがすでにこちらへ振り下ろされ始めていた。
この連携をあらかじめ予測していた。
なにせあの城は消えてなどいない。
考えられる最悪な事態も想定しているのだ。
「うわあああああああああ! 詠唱遮断。ウガヤ、幻魔獣クレルクラージャ、ミストラージャ、ユビルラージャ……」
「メルちゃ。ダメ。それじゃ、死ぬ。シールドラージャ、招来」
俺たちに振り下ろされる鎌を見て、メルザはなにかが吹っ切れたように詠唱を開始した。
そのメルザを止めるように、カルネが補助した。
メルザが呼び出したウガヤは、一匹の空を飛ぶ……盾を出した。
正確には背中に盾を背負っている竜といっていい生物だ。
それがスムーズに俺の前へと来る。
こいつが、ラージャだというのか? この存在はなんだ。
幻獣界で襲われたやつとはまるで違う。
カルネが……操っているのか。
それは強烈な咆哮を俺の正面で発した。
「グクアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「くっ。耳が張り裂けそうな鳴き声だ。これなら……」
紫色の閃光が走り、そのラージャを一閃する。
激しい衝突音が周囲に鳴り響いた。
「ハルファス、マルファス……セーレも戻れ! 強制だ! ギオマー! メルザを連れてもっと離れろ! 衝撃の反動が空間へ飛散する!」
「ルイン! ルインーー! だめだ! ルイーーーン!」
「心配するなメルザ。十分やってくれた。下の全員、これなら助かる!」
ぶつかり合ったラージャと紫色の鎌による攻撃。
シールドラージャと呼ばれたそれは姿をかき消され、残った紫色の斬撃が全方向に展開される。
あの攻撃をまともに食らっていたのなら、フェルドナーガはバラバラだっただろうに。
バルフートもただではすんでないだろう。
そして、俺も……「うおおおおお! あんな盾で防いでこんな衝撃が残ってるのか! 封剣! 生罪の剣、今ここに。ペカドクルード!」
俺の魔正面に迫る紫色の衝撃波に向けて斬撃を飛ばす。
多少の威力軽減にしかならない。
そのまま地面へ向けて衝撃波を全身に浴びる。
だが、不思議なことに痛みなどが一切ない。そればかりか……「なんだ、これは。ネウスーフォの、記憶、か?」
「……地底にて管理する」
「海底の方がいいであろうに。なぜ地底に置く」
「魂の循環がしやすいからだ」
「しかしなネウスーフォよ。地底とて争い合う場所となるのだ。それが生命というもの」
「問題ない。ベオルブイーターを設置する。次代の王のみ攻撃されない存在として」
「管理者の領分を越えることはできないよ、ネウ」
「イネービュは黙れ。スキアラと話をしているのだ」
「私にだけ辛らつなのは相変わらずだね」
「イネービュの言う通りだ。タルタロスは奈落の管理者。それ以上の行動はできまい」
「タルタロスには奈落で勢力争いに加わらせる。均衡を保つ勢力とすればいい。統治者がいるときは大人しくさせる」
「負担が多すぎるだろう」
「それが役目だ」
「……タナトスを手伝いに置いてやってもよい」
「ウナスァーまで。それほど地底が好きなのか?」
「好きなどという人のようなことを口にするお前たちには分かるまい。必要なこと。ただそれだけだ」
……何だ、今のは。俺はどうなって……? 気づいたら先ほどと同じく空に浮かび、俺をメナスが受け止めていた。
「メナス」
「主様。気を失っていたようなのでメナスが」
「よせ。このまま落ちればお前の足では砕ける」
「主様が傷つかないのであれば、私の足なぞ……」
すかさず体制を逆転させると、地上を見る。
先ほどの見えたものはほんの一瞬の出来事だったのか。
もう一度セーレを呼ぶのもいいが、どうやら迎えのようだ。
「主様。その……やられてみたら、恥ずかしかったです」
「だから封印から出てきたらダメだって。サーシュ!」
「我が主、ご無事で何より。紫色の光に飲まれたときはヒヤリとしました」
迎えに来たサーシュに乗ると、下の状況を確認する。
全部隊、無事だったようだ。
ガーディアンは数を大きく減らし、ベオルブイーターはガーディアン再生を行っていないことが判明した。
「ガーディアンの封じる方法が分かったのか!?」
「はい。再生そのものが本体ではなくガーディアンの方に仕掛けがあったと報告アリ。それと、吹き飛ばされたバルフートは放置されたままと連絡アリ。さらに各地から大群が中央に向け集結しつつアリ。もう一つ。主様のデュラサーたちもつれてこられていると報告アリ。いかがいたしましょうか」
「案内を頼めるか。せっかくだ。メナスはセーレに乗ってメルザとギオマに報告を入れてくれ。ズサカーンのお陰で反撃に出れそうだ。メルザたちをルインズシップへ向かうように伝えてくれ」
「主様と一緒が……いえ、承知しました」
俺はすぐさまバルフートの下まで飛んでもらう。
……酷いやられようだ。
片側の翼はひしゃげ、飛ぶことはできそうにない。
他にも裂傷がひどく、当分動けそうにない。
フェルドナーガは近くにいないし、こいつを返してもらうなら今だろう。
「奪われて悪かったな。お前の力を今一度借りたい。俺には過ぎたる力かもしれない。だが……バルフートよ。共に戦って欲しい」
俺は動けずにいるバルフートを再び封印する。
――さらにそこからは離れた場所にある、デュラサーが収容されている場所へと向かう。
転移させる方法がそこにはあるようで、デュラサーやター君などは建物の中にしまわれているようだ。
とはいってもデュラサーはデカすぎるので頭が飛び出ている。
「兵士は……いないな。全部逃げだしたのか?」
「フェルドナーガ直属部隊は壊滅したと報告アリ。最初の攻撃で大打撃を受けたようです」
「地底を制覇した軍でも、ベオルブイーター一匹に殲滅させられるのか……いや、正確には違うな。あれは守り神のようなものだ。認められたものには攻撃しない、か。地底に王がいない。それにいらだちを感じていたのか? どちらにしてもお前たちを解放できそうで安心したよ」
俺は再び自分のモンスターたちを取り戻した。
そして次に向野は絶対神が黒い塊になり、落ちた場所だ。
その近くにはフェルドナーガがいた。
その場にたたずみ、憎悪の塊を見るような目を絶対神に向けている。
「来おったか。ルイン・ラインバウト」
「俺がバルフートやデュラサーを解放すること、気付いていたんじゃないのか」
「無論。止めはせぬ。我は敗北した。あの一閃、貴様は耐えよった。ネウスーフォ。彼奴めがあそこにいることは分かっていた。我は、彼奴目を殺したかった」
「理由を聞いてもいいか?」
「貴様には関係の無いことよ。もうじきラーヴァの軍勢が来よう。貴様はどうするのだ」
「最初から目的は変わってなどいない。ベオルブイーターは倒す。だが、その下にある何かをお前たちに渡すつもりはない」
「ゲンドールの秘宝。それはベオルブイーターを退けたとて、容易くは手に入らぬ。今それに最も近いのは、黒づくめの男」
「ライデン、ガーランドか」
「やはり知っておったのか」
「あんたとの話はこれまでだ。戦いが終わった後、正式に決闘を申し込む。俺が勝ったら……」
「みなまで申さずともよい。分かっておる。だが、息子ラーヴァは容易く言うことを聞かぬ。そちらは自分で解決することだ」
「ああ。そうするつもりだ。それじゃあな、フェルドナーガ」
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