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第二章 地底騒乱
間話 取り残された一名が、一番困った状況にあること
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これは、海底に取り残された仲間の物語である。
彼の名はシュウ。
忍というとても珍しい能力を保有する者である。
彼は幼少の頃に拾われた捨て子であり、シン・シーファンという師がいた。
二本の刀を用い、様々な暗器を駆使し、忍術というどの系統にも属さない変わった術を用いて戦う。
それは、戦闘用以外にも、水を渡る術や、風景と同化する術、空を滑空する術など多種多様である。
そんな彼だが、海底において多くの神兵と戦う間に大きく成長を遂げていた。
彼は既にただの忍ではない。
幾つもの術を更に会得し、無理やり海底神に渡された装束を身に纏う彼の姿は既に……「あの、スキアラ様。この恰好はどうみても邪神の様なんですが」
「いやすまんな。お主のことを忘れていたわけではないのだが。置いていった事実に変わりは無い。神としてはあまり人などに物を渡すことは無いのだが、我が神兵の退屈凌ぎが出来たと評判でな」
「それで何故、このような装束を!?」
「お主は連れて来た者の中で最も人間らしく、礼儀正しかった。それ位、くれてやっても問題は無いだろうと思ったのだ。以前お主が所持していた装備の代わりだがな」
「アイドスキュエネイは返上して頂けないと? あれはルインより預かった大事なものなのですが」
「安心するとよい。丁寧に飾り付けしておく」
「いえ、ですから返上を……」
「さぁ、お主を地上へと送り戻すぞ」
「全然聞いてもらえない。絶対神様はやはり話の通じない方だ……」
シュウは大きくため息をつくと、一つだけ懇願した。
「お願いします。私を戻すならただ地上へではなく、彼の、ルイン・ラインバウトの許へお戻し下さい」
「ふむ。その願いなら聞いてやらんでも……」
「やっぱりアイドスキュエネイの話、聴こえてたんですよね!?」
「どうやらその者は地底にいるようだが……地底へ人を送るなどしたらイネービュやネウスーフォに何と言われるか」
「地底にですか!? では道が通ったと」
「いや。これはおかしい。地底の管轄はイネービュとネウスーフォ双方が行っている。しかしどういうわけだ。しばらく見ぬ間に随分と……ええいネウスーフォは何をしているのだ。少し行って確かめて来るか」
「あの、スキアラ様。私の話を……」
スキアラは一本の美しい杖を持っている。
その杖から迸るような光が溢れたと思うと、シュウは一緒にその光へと飲み込まれていく。
「うわぁーーー!」
「ふむ。ネウスーフォの奴め。珍妙な建物を創造したものだ」
「ここは……」
シュウが目をゆっくり開けると……そこには紫色に怪しく輝く巨大な城があった。
今いる場所は崖であり、その下は星空のような空間が広がっていた。
「あの、スキアラ様? 此処は一体何処でしょうか?」
「む……私としたことが、どうやら巻き込んでしまったようだ」
「つまりまた、あの場所へ置いていくつもりだったんですか……」
「悪気は無い。お主があの場所にいたことは忘れてはいなかったのだが……」
「もういいです。用事を済ませたら早めにルインの許へ送って下さい」
「そうしよう。ではついて参れ」
崖の場所から城方面へと歩いて行く彼の姿は、漆黒の装束に頭にはドクロ模様をした仮面を装着している。
既に自分は忍ではなく死神。そう感じていた。
「ネウスーフォよ。扉を開けよ」
「……スキアラか。この門、開けること叶わぬ」
「何故だ。貴様は一体何をしている」
「神に二度質問するなど、同じ神のすることとは思えぬな」
「ならば押し通るが良いか」
「やってみるがいい」
紫色の巨大な門前まで来ると、何処からか反響した氷のように冷たい声が響いて来た。
その門は頑丈そうなだけではない。
顔のような文様が四か所存在し、目の部分は怪しくも動いていて不気味だった。
スキアラが門前に手を当てると、その顔から何かが飛び出してスキアラへ襲い掛かる。
「困ったものだ。絶対神同士で争うなど」
「絶対神同士が、争う……?」
「こちらも二度は言わぬ。覚悟しているがいい、ネウスーフォよ」
彼の名はシュウ。
忍というとても珍しい能力を保有する者である。
彼は幼少の頃に拾われた捨て子であり、シン・シーファンという師がいた。
二本の刀を用い、様々な暗器を駆使し、忍術というどの系統にも属さない変わった術を用いて戦う。
それは、戦闘用以外にも、水を渡る術や、風景と同化する術、空を滑空する術など多種多様である。
そんな彼だが、海底において多くの神兵と戦う間に大きく成長を遂げていた。
彼は既にただの忍ではない。
幾つもの術を更に会得し、無理やり海底神に渡された装束を身に纏う彼の姿は既に……「あの、スキアラ様。この恰好はどうみても邪神の様なんですが」
「いやすまんな。お主のことを忘れていたわけではないのだが。置いていった事実に変わりは無い。神としてはあまり人などに物を渡すことは無いのだが、我が神兵の退屈凌ぎが出来たと評判でな」
「それで何故、このような装束を!?」
「お主は連れて来た者の中で最も人間らしく、礼儀正しかった。それ位、くれてやっても問題は無いだろうと思ったのだ。以前お主が所持していた装備の代わりだがな」
「アイドスキュエネイは返上して頂けないと? あれはルインより預かった大事なものなのですが」
「安心するとよい。丁寧に飾り付けしておく」
「いえ、ですから返上を……」
「さぁ、お主を地上へと送り戻すぞ」
「全然聞いてもらえない。絶対神様はやはり話の通じない方だ……」
シュウは大きくため息をつくと、一つだけ懇願した。
「お願いします。私を戻すならただ地上へではなく、彼の、ルイン・ラインバウトの許へお戻し下さい」
「ふむ。その願いなら聞いてやらんでも……」
「やっぱりアイドスキュエネイの話、聴こえてたんですよね!?」
「どうやらその者は地底にいるようだが……地底へ人を送るなどしたらイネービュやネウスーフォに何と言われるか」
「地底にですか!? では道が通ったと」
「いや。これはおかしい。地底の管轄はイネービュとネウスーフォ双方が行っている。しかしどういうわけだ。しばらく見ぬ間に随分と……ええいネウスーフォは何をしているのだ。少し行って確かめて来るか」
「あの、スキアラ様。私の話を……」
スキアラは一本の美しい杖を持っている。
その杖から迸るような光が溢れたと思うと、シュウは一緒にその光へと飲み込まれていく。
「うわぁーーー!」
「ふむ。ネウスーフォの奴め。珍妙な建物を創造したものだ」
「ここは……」
シュウが目をゆっくり開けると……そこには紫色に怪しく輝く巨大な城があった。
今いる場所は崖であり、その下は星空のような空間が広がっていた。
「あの、スキアラ様? 此処は一体何処でしょうか?」
「む……私としたことが、どうやら巻き込んでしまったようだ」
「つまりまた、あの場所へ置いていくつもりだったんですか……」
「悪気は無い。お主があの場所にいたことは忘れてはいなかったのだが……」
「もういいです。用事を済ませたら早めにルインの許へ送って下さい」
「そうしよう。ではついて参れ」
崖の場所から城方面へと歩いて行く彼の姿は、漆黒の装束に頭にはドクロ模様をした仮面を装着している。
既に自分は忍ではなく死神。そう感じていた。
「ネウスーフォよ。扉を開けよ」
「……スキアラか。この門、開けること叶わぬ」
「何故だ。貴様は一体何をしている」
「神に二度質問するなど、同じ神のすることとは思えぬな」
「ならば押し通るが良いか」
「やってみるがいい」
紫色の巨大な門前まで来ると、何処からか反響した氷のように冷たい声が響いて来た。
その門は頑丈そうなだけではない。
顔のような文様が四か所存在し、目の部分は怪しくも動いていて不気味だった。
スキアラが門前に手を当てると、その顔から何かが飛び出してスキアラへ襲い掛かる。
「困ったものだ。絶対神同士で争うなど」
「絶対神同士が、争う……?」
「こちらも二度は言わぬ。覚悟しているがいい、ネウスーフォよ」
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