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第二章 地底騒乱
第八百九十九話 巨大な呪い人形の倒し方
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ベルベディシアの示していた方向を見たくは無いのだが、どうしても見る必要があった。
なぜなら俺が見ている方向は第二車両の方向だったのだが、そちらはもっとおぞましい
光景が映し出され、あわや気を失いかけたのだが、気合で立ち直りベルベディシアの方面を
向いたのだ。
……この列車に乗ったことを、正直後悔している。
「おい、後方車両がやべえ。レイスだけじゃなくマミーレイスまでいやがるじゃねえか」
「もう何なんだ。包帯グルグル巻きにした奴に目が沢山あるようにみえるとか、嫌がらせ以外
の何者でもない」
「あれは珍しい霊の集合体だね。でもこの車両には来ないみたい。なぜなら……」
「あのでかぶつ人形にはもっと強ぇ生霊が憑りついてるみてえだな……こいつはどうやら操縦室
を守ってたレイスが中に入ったに違ぇねぇな」
「さっさと倒して先に進むぞ! 赤閃!」
俺はコラーダ一本を出し、颯爽と呪い人形に斬撃を飛ばした。
レイビーには悪いが俺にとっては恐怖となる存在。
時間が惜しいんだ、一気に切り抜け……「貫いた!?」
「当たり前だよ。あれ、人形じゃないもの」
「あれは霊魂内包媒体でしかねえ。物理攻撃は効かないぜ」
「でも安心して。強い光には弱いはずだよ! 君の強い光の技をみせてあげてよ!」
「任せろ! 打ち消す光……何だそれ」
「おい雷帝! おめえの出番だぞ。さっきから黙って何してやがる!」
「血が足りないのでお座りしているのですわ」
そうこうしてる間に目の前まで迫る巨大呪い人形。
間近で見ると……ところどころにほつれたような痕があるだけでなく、針や剣が刺さってい
たりする。ほつれた場所からは真っ赤な血のような糸が飛び出ていて、ゆらりと動いている
ように見えた。
誰だよこれ作った奴! 絶対許さん。
「タナトスでもベリアルでも好きな方の血を吸っていいから! 助けてくれお願いします」
「君も雷撃は使えるんじゃないの!?」
「俺のは……紫電清霜! 自分の周りに幻術に似た特徴のものを走らせ、速度を加速させる
程度なんだよ。これじゃ攻撃出来ない!」
だが、紫電を身にまとうことによって若干呪いの人形の動きが鈍くなる。
こんなことなら意地でもヨーゼフに会いに行けば良かったな……。
この技は完全に未完成のままだ。
メルザの母親であるシラの件も含めて、ヨーゼフにはまだ尋ねたいことが多かったのだが
海底へ行ったまま戻ってきていない。
差し詰めイネービュが何かをしているのだろうが……。
「その程度の電撃ではわたくしに遠く及びませんわね……いいでしょうこの雷帝が……」
「おい、タナトスだろ」
「私は死の管理者何だよ? そんな血を飲んだらどうなるか分からないでしょ?」
「ここはやっぱ」
「うん。彼の出番だね。私があれを引きつけよう! 爆輪!」
怯んでいた呪いの人形に向けて爆発する輪っかを無数に投げつけるタナトス。
急にやる気出し始めやがった。何て奴だ。
ベリアルは遠く離れた場所に移動して様子を見始めた。
ここで竜になるわけにもいかないけど、結局俺なの?
「さぁ早くするのですわね。あまり長いことあの驚異に晒されていると魂が持ちません
わよ」
「どういう意味だ? 特別何の攻撃設けていないぞ?」
「あれはレイスでも特殊な個体ですわ。なぜ後方のレイスたちがこちらに来ないか。
それは魂を融合させられてしまうからに他ならないのですわ」
「冗談じゃない! ここにいたらあいつに取り込まれるってのか?」
「そうですわね。少なくともあなたはただの魔族。一早く取り込まれてしまう
かもしれませんわね」
「くそ、厄日だ……さっさと血もってけ!」
俺はコラーダで自らの腕を切り刻むと、大量の血を放出してみせた。
当然気が動転していたせいで大出血だ。
あんなのに取り込まれて生きていくなんて冗談じゃない。
地底異形生物としての生活が始まってしまう。
「では遠慮なく……ああ、潤いますわ、若い男の血が一番ですわね……」
俺の血を飲むと、先ほどまで黒紫色に変色していたベルベディシアの髪色が、どんどんと
銀色に変わっていく。
そして……「雷閃光、血種魔古里の掌!」
呪い人形の前で美しく舞うように血しぶきをまき散らすと、その血全てが電撃を
放出して一直線に呪い人形へと炸裂した。
電撃に撃たれた呪い人形は飛散し、紫を帯びた白い巨大な塊が飛び出て、それらも
全て霧散していく。
凄い技だが、周囲が俺の血だらけなんですけど。
これじゃホラーで犠牲になった奴その一だろ、俺。
だが無事に奴を倒すことが出来た。
これで……「凄いねー。あれ、倒しちゃったんだねー」
「レイビーか。何で教えてくれなかったんだ」
「だってあれが運転してたんだよー。倒しちゃったら止められないよー」
「……今とんでもないこと言わなかったか」
「大変だよ! あれを倒したら操縦室らしき入り口が出て来たけど、運転手が
いないんだ!」
……ここまで来て、俺たちは事故死してしまうのだろうか。
なぜなら俺が見ている方向は第二車両の方向だったのだが、そちらはもっとおぞましい
光景が映し出され、あわや気を失いかけたのだが、気合で立ち直りベルベディシアの方面を
向いたのだ。
……この列車に乗ったことを、正直後悔している。
「おい、後方車両がやべえ。レイスだけじゃなくマミーレイスまでいやがるじゃねえか」
「もう何なんだ。包帯グルグル巻きにした奴に目が沢山あるようにみえるとか、嫌がらせ以外
の何者でもない」
「あれは珍しい霊の集合体だね。でもこの車両には来ないみたい。なぜなら……」
「あのでかぶつ人形にはもっと強ぇ生霊が憑りついてるみてえだな……こいつはどうやら操縦室
を守ってたレイスが中に入ったに違ぇねぇな」
「さっさと倒して先に進むぞ! 赤閃!」
俺はコラーダ一本を出し、颯爽と呪い人形に斬撃を飛ばした。
レイビーには悪いが俺にとっては恐怖となる存在。
時間が惜しいんだ、一気に切り抜け……「貫いた!?」
「当たり前だよ。あれ、人形じゃないもの」
「あれは霊魂内包媒体でしかねえ。物理攻撃は効かないぜ」
「でも安心して。強い光には弱いはずだよ! 君の強い光の技をみせてあげてよ!」
「任せろ! 打ち消す光……何だそれ」
「おい雷帝! おめえの出番だぞ。さっきから黙って何してやがる!」
「血が足りないのでお座りしているのですわ」
そうこうしてる間に目の前まで迫る巨大呪い人形。
間近で見ると……ところどころにほつれたような痕があるだけでなく、針や剣が刺さってい
たりする。ほつれた場所からは真っ赤な血のような糸が飛び出ていて、ゆらりと動いている
ように見えた。
誰だよこれ作った奴! 絶対許さん。
「タナトスでもベリアルでも好きな方の血を吸っていいから! 助けてくれお願いします」
「君も雷撃は使えるんじゃないの!?」
「俺のは……紫電清霜! 自分の周りに幻術に似た特徴のものを走らせ、速度を加速させる
程度なんだよ。これじゃ攻撃出来ない!」
だが、紫電を身にまとうことによって若干呪いの人形の動きが鈍くなる。
こんなことなら意地でもヨーゼフに会いに行けば良かったな……。
この技は完全に未完成のままだ。
メルザの母親であるシラの件も含めて、ヨーゼフにはまだ尋ねたいことが多かったのだが
海底へ行ったまま戻ってきていない。
差し詰めイネービュが何かをしているのだろうが……。
「その程度の電撃ではわたくしに遠く及びませんわね……いいでしょうこの雷帝が……」
「おい、タナトスだろ」
「私は死の管理者何だよ? そんな血を飲んだらどうなるか分からないでしょ?」
「ここはやっぱ」
「うん。彼の出番だね。私があれを引きつけよう! 爆輪!」
怯んでいた呪いの人形に向けて爆発する輪っかを無数に投げつけるタナトス。
急にやる気出し始めやがった。何て奴だ。
ベリアルは遠く離れた場所に移動して様子を見始めた。
ここで竜になるわけにもいかないけど、結局俺なの?
「さぁ早くするのですわね。あまり長いことあの驚異に晒されていると魂が持ちません
わよ」
「どういう意味だ? 特別何の攻撃設けていないぞ?」
「あれはレイスでも特殊な個体ですわ。なぜ後方のレイスたちがこちらに来ないか。
それは魂を融合させられてしまうからに他ならないのですわ」
「冗談じゃない! ここにいたらあいつに取り込まれるってのか?」
「そうですわね。少なくともあなたはただの魔族。一早く取り込まれてしまう
かもしれませんわね」
「くそ、厄日だ……さっさと血もってけ!」
俺はコラーダで自らの腕を切り刻むと、大量の血を放出してみせた。
当然気が動転していたせいで大出血だ。
あんなのに取り込まれて生きていくなんて冗談じゃない。
地底異形生物としての生活が始まってしまう。
「では遠慮なく……ああ、潤いますわ、若い男の血が一番ですわね……」
俺の血を飲むと、先ほどまで黒紫色に変色していたベルベディシアの髪色が、どんどんと
銀色に変わっていく。
そして……「雷閃光、血種魔古里の掌!」
呪い人形の前で美しく舞うように血しぶきをまき散らすと、その血全てが電撃を
放出して一直線に呪い人形へと炸裂した。
電撃に撃たれた呪い人形は飛散し、紫を帯びた白い巨大な塊が飛び出て、それらも
全て霧散していく。
凄い技だが、周囲が俺の血だらけなんですけど。
これじゃホラーで犠牲になった奴その一だろ、俺。
だが無事に奴を倒すことが出来た。
これで……「凄いねー。あれ、倒しちゃったんだねー」
「レイビーか。何で教えてくれなかったんだ」
「だってあれが運転してたんだよー。倒しちゃったら止められないよー」
「……今とんでもないこと言わなかったか」
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