上 下
986 / 1,085
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

戦パート 混沌のロキ勢力VS両星のルイン勢力 デュラハン登場!

しおりを挟む
 巨大ゴーレムの軍隊に切り込む一匹の竜と魔族。
 青白い爆炎と共にその中央上空に舞い跳ぶその竜は、空中で二足歩行を取るような
構えとなり、前足の爪で一匹の巨大ゴーレムをわしづかみにして持ち上げた! 

「おらよ、まずは試してみな! 魔導人形って奴の破壊工程をな!」
「無茶言うな! なんつー巨体だよ。俺が海底神殿で戦った奴の倍はでかい!」

 ベリアルが高く放り投げたゴーレムをまじまじと見て思う。
 ……無理じゃね? これ。 
【絶魔】

「やればいいんだろ、こうなりゃ自棄ヤケだ! 封剣……サルバシオン!」
「無理に決まってるでごじゃろーー!」

 俺のサルバシオンが超巨大ゴーレムに炸裂する。
 効果は……ちょこっと、ちょこっと欠けた。
 やったぞ! ゴーレムに欠片をつけたぞ! 

「……何であんなでかいモンが剣で斬れると思った?」
「いや、今の俺ならズバッと斬れるんじゃないかと思って」
「馬鹿野郎! おめえの本質を何だと思ってやがる。何回言やぁ分かるんだ!」
「何言ってんだ。大体肝心なときになって要点を言わず無茶振りするのはそっちの方
だろ!? 絶魔だって出来るようになってまともに修練積んでないっての!」

 ……と言い争ってる間にも、地面へ落下する超巨大ゴーレム。
 その真下にいたゴーレムが圧し潰されるが、圧し潰されたその体から巨大な力を凝縮
したエネルギー体のようなものが一直線に俺たちへ放たれる。
 急いで回避したが、撃ち放たれたそれは雲を貫通していた。

「……やべえな。いいか、おめえの本質は何でもかんでも封印しちまうその異常
な吸収能力だ。それに言われただろ、能力を統合しろってよ、このボケ!」
「ボケとは何だ! お前だって要点言わずにボケてるだろ! ……うおお、次が来る!」
「しゃらくせえ! フンッ!」

 再度力の凝縮された塊……エネルギー砲のようなものを撃ち放とうとするそのゴーレムの
上に着地すると、放出しようとした箇所を両手で塞ぐベリアル。
 行き場を失ったその力は……そのゴーレムと共に大爆発を起こした。
 当然ベリアルもただでは済まない。
 勢いよく上空へ吹き飛んだ。

「荒っぽいな。平気か?」
「くそ痛ぇに決まってるだろ! 何で死竜に転生しやがったってのに痛みがあんだよ!」
「俺に言われてもな……タナトスにでも言ってくれ。それより、俺の取り込む力ってのをどう
使えってんだ。一応過去に封印したモンスターたちは連れて来たけど」
「おめえははっきりいって使役する力が弱え。もっと巧みに封印した能力を使ってみろ。それ
ぞれのモンスターが持つ特徴を活かせ」
「つまりデュラハンならデュラハンの戦い方があるってことか」
「いいからまずは出してみろ。出せるんだろ?」
「ああ。行け、デュラハン先輩、後輩!」

 久しぶりの登場だ。こいつらは俺の初期メンバーと言ってもいい。
 特にアイアンクラッシャーはお世話になりました。
 有難うデュラハン後輩。
 しかしとてもでは無いが太刀打ち出来るようなサイズ感ではない。

「こいつは地底のモンスターだな。ほらよ」
「何だこれ?」

 唐突にベリアルに何かを渡された。
 天秤のようなものだが……どうするんだ、これ。

「あいつらの封印物を乗せてみな。あいつら自身の欠片でも構わねえんだがな。
面白いことが起こるに違いねえ」
「何処から出したんだ、これ」
「んなことはどうでもいいんだよ。取引条件は団子御殿だぞ!」
「お前な。それ取引じゃなくて押し売りっていうんだぞ……まぁいいや、やってみるか」

 迫り来る超巨大ゴーレムがデュラハンたちを踏み潰そうとしているいる空中で、なぜか
天秤をいじることになった。
 その上にデュラハン先輩、後輩のモンスターアクリル板を乗せると……その姿が忽然と
消え去り、乗せたはずのアクリル板が消えてなくなり、天秤中央部からぽろりと空のアク
リル板が落ちて来る。
 
「あれ? まさか消滅した?」
「かもな」
「かもって……俺のデュラハンたちが!」
「おい良くみろ。あれはやべえぞ。大当たりじゃねえか」
「あれってどれだよ……」
「おめえ、普通気付かねえか?」
「えっ? あれって、超巨大ゴー……デュラハン?」

 全く気付かなかった。超巨大ゴーレムの中に超巨大ゴーレム風デュラハンが紛れていた。
 何を言っているのか自分でもよく分からないが、きっとあれは超巨大ゴーレム風デュラ
ハンに違いない。

「同化しやがったな。まじかよ。俺よりでかくねえか」
「お前、やらせといて何で驚いてるんだ……」

 新しく生み出されたソレは、巨大な分厚い剣と巨大な鉄球を持つ恐ろしい黒色の首なし騎士。
 よくみると鉄球ではなく、それはそいつ自身の頭兜だ。
 まさか……と思う前に自分の頭兜を鉄球のように投げつけ、超巨大ゴーレムをなぎ倒していた。

「せっかくだ、新しい仲間に名前でも付けてやれよ」
「……デュラハン課長とか?」
「そりゃ前世でおめえに暖かい言葉をかけてた上司だろうが! そういうんじゃねえ!」
「じゃあデュラハンブラザーだ。あいつらはデュラとハン。それぞれが力となって合わさ
った兄弟に違いない」
「長ぇんだよ! 略せ! デュラザーでいいだろ」
「分かったそれにしよう」
「はぁ……にしてもあいつ、強えな」

 デュラザーと命名されたそいつは、既に五体程の超巨大ゴーレムをなぎ倒し、破壊
している。
 その巨体剣から繰り出す振り下ろしはゴーレムを一撃の下真っ二つに両断してみせた。

 ――次々と崩れ落ちるゴーレムの遥か後方より、陸地であるのに三途の川を渡るかのよ
うな船が陸路を走ってこちらへ向かって来るのが見える。

「ようやくシカリーの援軍も来たようだぜ」
「シカリーの援軍? 死霊族か」
「魔導の装甲は本来幻術の類の方が破壊しやすい。俺たちは後ろのリッチーに向かうぞ」
「リッチーと死霊族は相性が悪そうだからな。死霊族のシカリーってどうやって戦うん
だ?」
「あいつは霊を憑依させたりする、いわゆるネクロマンサーって奴に近い」
「それはゆっくり見たかったが、今はそれどころではないな」

 再びベリアルと共に今度はリッチーが飛来する場所まで向かっていくベリアルたち。 


 一方、ルインたちと別行動をとっていたルジリト。
 上空より戦況を見渡しつつジャンカの町方面へと向かうが、南側からかなり軍勢が押し
迫っているのを確認していた。
 
「あちらは軍勢の数に物をいわせて切り崩し、中央は手薄、本命は北であろう。進入路は
港で間違いないが、そちらはあえて手薄にしてあるが……しかし不安だ」

 ルジリトの懸念。それは、中央から北部に回り、敵軍奇襲を挟み込むようにした部隊が
自陣の中でも危険な人物、ライラロと雷帝ベルベディシアの部隊だからだ。
 
「ルジリト殿ぉー。まんずお疲れのとこ申し訳ねえけんど、敵軍さ来ねえんなら一度町に
戻って合図送らねーどだ」
「待て、あれは何ののろしだ? ふむ……そうか。南東に急ぎ向かってくれ」
「わかっただぁー。サーシュも連れていくべ?」
「いや。ギオマ殿とサーシュ、セーレは一度ジャンカの町へ退避を。リュシアン、頼んだ
ぞ」

 あののろしは恐らく、ミレーユ王女とアメーダ殿のものだろう。
 無事であればよいが……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~

すちて
ファンタジー
謎のダンジョン、真実クエスト、カウントダウン、これは、夢であるが、ただの夢ではない。――それは世界のルールが書き変わる、最初のダンジョン。  無自覚ド善人高校生、真瀬敬命が眠りにつくと、気がつけばそこはダンジョンだった。得たスキルは『ガチャ』! クラスメイトの穏やか美少女、有坂琴音と何故か共にいた見知らぬ男性2人とパーティーを組み、悪意の見え隠れする不穏な謎のダンジョンをガチャスキルを使って善人パーティーで無双攻略をしていくが…… 1部夢現《ムゲン》ダンジョン編、2部アポカリプスサウンド編、完結済。現代ダンジョンによるアポカリプスが本格的に始まるのは2部からになります。毎日12時頃更新中。楽しんで頂ければ幸いです。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...