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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会
戦パート 混沌のロキ勢力VS両星のルイン勢力 激突!
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――上空を高く飛翔するベリアルの背にあるのは、黒衣を身に纏う者と猫眼を光らせる
者の二名。
トリノポート大陸を広く見渡し戦況を分析する。
「地殻変動により進軍を大幅に遅らせられたことが大きかったのでしょうな」
「イネービュは予見した上で手を貸すか迷っていたのだろう。状況を判別し、俺たちに委
ねた。戦いに神の遣いは誰一人参加していないからな」
「一方に加担するのは理に反するのでしょう。何かを行使出来ても、精々神のいたずらま
で。実に神らしいといえば神らしい」
「ロキも地殻変動を想定していたようには見えなかった。神には神のやり方があり、直接手
を下したりすれば他の神につけいる隙を与えるということなのだろう。全く、政治家のくだ
らない駆け引きのようだな」
「主殿は私と同じ転生者でしたな」
「えっ? ルジリトは転生者だったのか?」
「これは正しくない表現でした。前世の記憶を一部残した転生者……といえばよろしいか」
「前世の記憶を一部……いや、今はそれどころじゃなかったな」
そんな話をしている場合じゃない。戦況は大きく動き出しているんだ。
「そうですな。こちらは相手軍の半分程しかありませぬ。攻め手は守り手の倍は必要と言い
ますが、それはあくまで城攻めの話。籠城せず討って出るなら基本は攻めが有利となり得る
状況を作りやすいのですが……」
「こちらは前もって準備済み。無論、用途は別だったけどな」
「はい。こちらの兵力の大半は三夜の町住民。地上で生きれぬものたちのために、地上から
地下へ蜘蛛の巣のように分散する道をモラコ族に建設してもらいました。既に元ベッツェン
側は開拓がかなりすすみ、ガルドラ山脈を回避して西方へ到達する道を敷設済みです」
「中部、南部はどうだ?」
「カッツェルから西へはカッツェルの住民を始めとする陣を敷いてあります。騎兵部隊は一
早くそちらへ出陣させました。南部は山脈が多く、道を敷設されてはおりませぬ。だからこ
そそちらへ多く兵を割く必要があります」
「おいルジリトよぉ。つまり俺たちゃ北部から攻め、西へ切り崩した後南下して奇襲するって
ことか?」
「ベリアル殿。その通りです。戦場において最も広く動けるのが我々空兵奇襲部隊。それに策
を講じるのはルジリトの役目です。合図も用意しておきました」
戦場はそれぞれの大隊長が指揮を執り軍を動かせる。
だが、本陣はもぬけの殻というわけでもなく、幾つかの策を発動出来るようにしてある。
相手の攻撃目標は少なくとも二つ……俺とメルザだ。
「最初に衝突する部隊は?」
「予定通り、歩兵工作部隊です。初手で目にものをみせてあげましょう。合図、赤玉!」
ベリアルより巨大な赤い炎が打ちあがる。
それは煙となり高く上空に蔓延した。
【歩兵工作部隊、ガルドラ山脈西】
「敵兵およそ一万五千と確認。合図だ。準備はよいか?」
「せっかく作ったの壊すのは、正直勿体無いじゃんよ」
「本当にいいんだよな? な?」
「俺たちの出番だぜ。ヒャッフイーー!」
『ヒャッフイーー!』
地中に盛大な爆発が起こり、進軍中のモンスター並びに神兵が一斉に地中へなだれ落ち
る。それと同時に紫の煙が上空へ吹き上がった。
モラコ族及びムーラたちは一斉に地中より撤退を開始する。
歩兵部隊大隊長、ラーナ・ミズガルド・クライヴ、通称ビーの合図により銃撃、射撃
が崩落した地面へ降り注ぐ。
「一斉に狙撃しろ! この地に、俺たちの町に手をだしたこと、後悔させてやろうぜ!」
『うおおおおおおーーーーーーーーー!』
前部隊が崩落落ちしたにも関わらず、気にすることなく迂回して進軍を続ける敵に挟み
込む形で歩兵が襲撃する。
「さぁこっちだよ! どんどんおいでよ! ミドー、奴らを引きつけるんだ!」
「シュルー」
「この乗り物、凄いなぁ、師匠にもらったんでしょ?」
「預けられてるだけだよ。エンシュだっていい籠手持ってるよね」
「これは……エルバノ様が入ってるから。今は使わないよ」
「ふうん……」
「イビン! わらもそろそろ動いていいか?」
「ドーグルさん、まだ駄目だよ! もっと引っ張って! うわあーーー、一杯来たァーー!」
分断された相手兵は崩落した僅かな兵を捨て置き、北方へ四千、南方に一万程に分かれる。
誘導部隊であるイビンとエンシュは、北方へ四千の敵兵を引き連れ必死に逃走劇を繰り広げ
ていた。
「小童どもが。我が槍の錆にしてくれるわ」
「うわぁーーー! 怖いよぉーーー! 何か強そうなのが来たよぉーーー!」
「落ち着いて……確かに強そうな武人だ。でも乗ってるモンスターが遅いから直ぐはこれな……」
「ふん!」
モンスターを打ち捨て、イビンとエンシュの前に立ちはだかる、強面の槍を構える男が一人。
戦場は更に大きく動こうとしていた。
上空でそれを確かめていたルインたち。
「あの四千、消滅させるぞ」
「おう! いくぜぇーーー!」
『ギルアテ、エゴイストテュポーン!』
イビンとエンシュに迫る後方のモンスター軍へ、轟くような轟音と青白い爆炎が巻き上がる。
そして、イビンの前に立ちはだかり、今にも切りかかろうとするその男へ向け一本の剣が振り
下ろされた。
「……重い!」
「ほんの挨拶代わりだ! いくぜえーーーー! 大将ルイン・ラインバウト。参る!」
者の二名。
トリノポート大陸を広く見渡し戦況を分析する。
「地殻変動により進軍を大幅に遅らせられたことが大きかったのでしょうな」
「イネービュは予見した上で手を貸すか迷っていたのだろう。状況を判別し、俺たちに委
ねた。戦いに神の遣いは誰一人参加していないからな」
「一方に加担するのは理に反するのでしょう。何かを行使出来ても、精々神のいたずらま
で。実に神らしいといえば神らしい」
「ロキも地殻変動を想定していたようには見えなかった。神には神のやり方があり、直接手
を下したりすれば他の神につけいる隙を与えるということなのだろう。全く、政治家のくだ
らない駆け引きのようだな」
「主殿は私と同じ転生者でしたな」
「えっ? ルジリトは転生者だったのか?」
「これは正しくない表現でした。前世の記憶を一部残した転生者……といえばよろしいか」
「前世の記憶を一部……いや、今はそれどころじゃなかったな」
そんな話をしている場合じゃない。戦況は大きく動き出しているんだ。
「そうですな。こちらは相手軍の半分程しかありませぬ。攻め手は守り手の倍は必要と言い
ますが、それはあくまで城攻めの話。籠城せず討って出るなら基本は攻めが有利となり得る
状況を作りやすいのですが……」
「こちらは前もって準備済み。無論、用途は別だったけどな」
「はい。こちらの兵力の大半は三夜の町住民。地上で生きれぬものたちのために、地上から
地下へ蜘蛛の巣のように分散する道をモラコ族に建設してもらいました。既に元ベッツェン
側は開拓がかなりすすみ、ガルドラ山脈を回避して西方へ到達する道を敷設済みです」
「中部、南部はどうだ?」
「カッツェルから西へはカッツェルの住民を始めとする陣を敷いてあります。騎兵部隊は一
早くそちらへ出陣させました。南部は山脈が多く、道を敷設されてはおりませぬ。だからこ
そそちらへ多く兵を割く必要があります」
「おいルジリトよぉ。つまり俺たちゃ北部から攻め、西へ切り崩した後南下して奇襲するって
ことか?」
「ベリアル殿。その通りです。戦場において最も広く動けるのが我々空兵奇襲部隊。それに策
を講じるのはルジリトの役目です。合図も用意しておきました」
戦場はそれぞれの大隊長が指揮を執り軍を動かせる。
だが、本陣はもぬけの殻というわけでもなく、幾つかの策を発動出来るようにしてある。
相手の攻撃目標は少なくとも二つ……俺とメルザだ。
「最初に衝突する部隊は?」
「予定通り、歩兵工作部隊です。初手で目にものをみせてあげましょう。合図、赤玉!」
ベリアルより巨大な赤い炎が打ちあがる。
それは煙となり高く上空に蔓延した。
【歩兵工作部隊、ガルドラ山脈西】
「敵兵およそ一万五千と確認。合図だ。準備はよいか?」
「せっかく作ったの壊すのは、正直勿体無いじゃんよ」
「本当にいいんだよな? な?」
「俺たちの出番だぜ。ヒャッフイーー!」
『ヒャッフイーー!』
地中に盛大な爆発が起こり、進軍中のモンスター並びに神兵が一斉に地中へなだれ落ち
る。それと同時に紫の煙が上空へ吹き上がった。
モラコ族及びムーラたちは一斉に地中より撤退を開始する。
歩兵部隊大隊長、ラーナ・ミズガルド・クライヴ、通称ビーの合図により銃撃、射撃
が崩落した地面へ降り注ぐ。
「一斉に狙撃しろ! この地に、俺たちの町に手をだしたこと、後悔させてやろうぜ!」
『うおおおおおおーーーーーーーーー!』
前部隊が崩落落ちしたにも関わらず、気にすることなく迂回して進軍を続ける敵に挟み
込む形で歩兵が襲撃する。
「さぁこっちだよ! どんどんおいでよ! ミドー、奴らを引きつけるんだ!」
「シュルー」
「この乗り物、凄いなぁ、師匠にもらったんでしょ?」
「預けられてるだけだよ。エンシュだっていい籠手持ってるよね」
「これは……エルバノ様が入ってるから。今は使わないよ」
「ふうん……」
「イビン! わらもそろそろ動いていいか?」
「ドーグルさん、まだ駄目だよ! もっと引っ張って! うわあーーー、一杯来たァーー!」
分断された相手兵は崩落した僅かな兵を捨て置き、北方へ四千、南方に一万程に分かれる。
誘導部隊であるイビンとエンシュは、北方へ四千の敵兵を引き連れ必死に逃走劇を繰り広げ
ていた。
「小童どもが。我が槍の錆にしてくれるわ」
「うわぁーーー! 怖いよぉーーー! 何か強そうなのが来たよぉーーー!」
「落ち着いて……確かに強そうな武人だ。でも乗ってるモンスターが遅いから直ぐはこれな……」
「ふん!」
モンスターを打ち捨て、イビンとエンシュの前に立ちはだかる、強面の槍を構える男が一人。
戦場は更に大きく動こうとしていた。
上空でそれを確かめていたルインたち。
「あの四千、消滅させるぞ」
「おう! いくぜぇーーー!」
『ギルアテ、エゴイストテュポーン!』
イビンとエンシュに迫る後方のモンスター軍へ、轟くような轟音と青白い爆炎が巻き上がる。
そして、イビンの前に立ちはだかり、今にも切りかかろうとするその男へ向け一本の剣が振り
下ろされた。
「……重い!」
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