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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会
第八百六十六話 冥府の階層
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タナトスによると、冥府というのは幾つかの階層に分かれているらしい。
現在地は手前の階層であり、、天十握という場所。
そして、冥府から奈落へと向かわせたいようだ。
奈落まで戻ったら、ある者に頼み込み、地上の特定箇所を探ってもらえるらしいのだが……。
冥府から奈落へ抜けるには、この場所からは近いらしい。
本来はもっと遠い場所……ベリアルの言っていた天羽々斬に出る予定だったようだ。
天羽々斬に出た場合、布都斯魂、蛇之麁正と
いった場所を通らねばならず、それらは全てが剣の形をしており、長く厳しい道だという。
「それで、この道をずっと進めば目的地に到着するのか?」
「そうなんだけど、私たちは侵入者だからね。冥府の者たちに襲われるのは覚悟してお
いて」
「それってつまり死神ってことか? お前がどうにか出来るんだろ?」
「どうにもならないよ。正規の道で来なければ、私もただの侵入者だ。そうだと思わな
い?」
「つまり自分の家に窓から侵入したのを見られるようなもんか……はぁ。面倒だな」
「いや、此処に出られたのは案外都合がいいぜルイン。天十握にゃ珍しい奴が沸くからな。
封印するには持ってこいだ」
「出来れば冥府では穏便に過ごしてもらいたいんだけどね……」
「冥府ってことは魂っていうのがうようよいる場所だと思ってたんだが……そうでもない
のか」
「目に見えたりしないからね。それに大抵は奈落で作り替えが行われるんだけど、今困っ
たことになってるから。それより早く向かおう」
そういうと、さっさと歩き出すタナトスとヒューメリー。
ベリアルはそのタナトスの肩につかまると、頭を突き始めた。
「痛っ、ちょっと止めてよベリアル!」
「後で覚えてろっていっただろうが。おめえにはきついのをもらったからな……どう料理し
てやろうか」
「君、今は鳥だよね。まる焼きにされたいのかな?」
「上等だてめえ! かかってこい。文字通り冥府に埋葬してやらぁ!」
「だえー」
「やってる場合か! 考えてみたら俺よりはるかに気性が荒い奴だった……」
ベリアルは高圧的かつ策略に富み、そして何より強い。
味方であるうちは頼もしいが、恐ろしい存在であることに変わりは無い。
飛び回りながら嘴でタナトスの頭を突き回すベリアルと逃げ惑うタナトスを見つつ、道の先へ
目を向けると……周囲の灯ろうが揺れたように感じた。
早速、何かお出ましか……俺はもう幽霊何て怖くない。全然。これっぽっちも。
アニソンだって必要無いし、陽気な骨だっていなくとも歩いて行ける。
何せ既に取り憑かれて……「あっ。平気かプリマ。おーい」
「死霊族が冥府で動けるわけ……いや、彼女はラングの混血だったから動ける可能性はあるか
……ちょっと出してみなよ」
「出て来ないんだ。酷く消耗しているようで」
「ああ。君が歪術を奪ったからかな」
「今何て言った?」
「君、気付いてないの? プリマの歪術を奪ったんだよ。力としてね」
「それじゃプリマが弱体化したってことか?」
「全部を奪ったわけじゃない。ちなみに私の爆輪も奪われた。一部だけね」
「やるじゃねえかルイン。つーことは俺の力も奪ったのか?」
「絶魔の能力。それは対峙した相手の能力を取り込んでしまう恐ろしい力だ」
「返す方法はないのか」
「返さなくても平気だよ。そもそも君に封印された時点で、君の能力となるのは当たり前
のことなんだ。これまで君がそれを拒絶してきた。それが異常なんだ」
「だが、プリマは……」
と考えていたら外に出て来たプリマ。
疲弊しているせいか、顔が赤い。
「プリマは怒ってないぞ。ただ、何か大事なものを奪われた気分だ。責任取れよな!」
「って言われても。もしかして俺、タナトスの責任も取らないといけないわけ?」
プリマの隣に来てニコっと笑うタナトス。
「私の責任もちゃんととってよね!」
「おいベリアル。こいつ死ぬほど突いてくれ」
「おらタナトスてめぇ! 前世の恨み晴らしてやるぜえ!」
再び鳥対タナトスの闘争が始まるのを置いておき、プリマの加減を尋ねてみる。
「なぁプリマ。体に違和感や変化は無いか? お前、ちゃんと戦えそうか?」
「あの塔のとき、すげー力が出なかったけど……歪術! ……うーん。使えるけど
世界を真っ二つには出来ないぞ、これだと」
「その物騒な力を制御した形に収まったのか……」
物騒過ぎた力が抑えられたのなら、逆に良かったのかもしれない。
そう考えていると……灯ろうの炎が大きく吹き上がり、ターゲットが反応した!
現在地は手前の階層であり、、天十握という場所。
そして、冥府から奈落へと向かわせたいようだ。
奈落まで戻ったら、ある者に頼み込み、地上の特定箇所を探ってもらえるらしいのだが……。
冥府から奈落へ抜けるには、この場所からは近いらしい。
本来はもっと遠い場所……ベリアルの言っていた天羽々斬に出る予定だったようだ。
天羽々斬に出た場合、布都斯魂、蛇之麁正と
いった場所を通らねばならず、それらは全てが剣の形をしており、長く厳しい道だという。
「それで、この道をずっと進めば目的地に到着するのか?」
「そうなんだけど、私たちは侵入者だからね。冥府の者たちに襲われるのは覚悟してお
いて」
「それってつまり死神ってことか? お前がどうにか出来るんだろ?」
「どうにもならないよ。正規の道で来なければ、私もただの侵入者だ。そうだと思わな
い?」
「つまり自分の家に窓から侵入したのを見られるようなもんか……はぁ。面倒だな」
「いや、此処に出られたのは案外都合がいいぜルイン。天十握にゃ珍しい奴が沸くからな。
封印するには持ってこいだ」
「出来れば冥府では穏便に過ごしてもらいたいんだけどね……」
「冥府ってことは魂っていうのがうようよいる場所だと思ってたんだが……そうでもない
のか」
「目に見えたりしないからね。それに大抵は奈落で作り替えが行われるんだけど、今困っ
たことになってるから。それより早く向かおう」
そういうと、さっさと歩き出すタナトスとヒューメリー。
ベリアルはそのタナトスの肩につかまると、頭を突き始めた。
「痛っ、ちょっと止めてよベリアル!」
「後で覚えてろっていっただろうが。おめえにはきついのをもらったからな……どう料理し
てやろうか」
「君、今は鳥だよね。まる焼きにされたいのかな?」
「上等だてめえ! かかってこい。文字通り冥府に埋葬してやらぁ!」
「だえー」
「やってる場合か! 考えてみたら俺よりはるかに気性が荒い奴だった……」
ベリアルは高圧的かつ策略に富み、そして何より強い。
味方であるうちは頼もしいが、恐ろしい存在であることに変わりは無い。
飛び回りながら嘴でタナトスの頭を突き回すベリアルと逃げ惑うタナトスを見つつ、道の先へ
目を向けると……周囲の灯ろうが揺れたように感じた。
早速、何かお出ましか……俺はもう幽霊何て怖くない。全然。これっぽっちも。
アニソンだって必要無いし、陽気な骨だっていなくとも歩いて行ける。
何せ既に取り憑かれて……「あっ。平気かプリマ。おーい」
「死霊族が冥府で動けるわけ……いや、彼女はラングの混血だったから動ける可能性はあるか
……ちょっと出してみなよ」
「出て来ないんだ。酷く消耗しているようで」
「ああ。君が歪術を奪ったからかな」
「今何て言った?」
「君、気付いてないの? プリマの歪術を奪ったんだよ。力としてね」
「それじゃプリマが弱体化したってことか?」
「全部を奪ったわけじゃない。ちなみに私の爆輪も奪われた。一部だけね」
「やるじゃねえかルイン。つーことは俺の力も奪ったのか?」
「絶魔の能力。それは対峙した相手の能力を取り込んでしまう恐ろしい力だ」
「返す方法はないのか」
「返さなくても平気だよ。そもそも君に封印された時点で、君の能力となるのは当たり前
のことなんだ。これまで君がそれを拒絶してきた。それが異常なんだ」
「だが、プリマは……」
と考えていたら外に出て来たプリマ。
疲弊しているせいか、顔が赤い。
「プリマは怒ってないぞ。ただ、何か大事なものを奪われた気分だ。責任取れよな!」
「って言われても。もしかして俺、タナトスの責任も取らないといけないわけ?」
プリマの隣に来てニコっと笑うタナトス。
「私の責任もちゃんととってよね!」
「おいベリアル。こいつ死ぬほど突いてくれ」
「おらタナトスてめぇ! 前世の恨み晴らしてやるぜえ!」
再び鳥対タナトスの闘争が始まるのを置いておき、プリマの加減を尋ねてみる。
「なぁプリマ。体に違和感や変化は無いか? お前、ちゃんと戦えそうか?」
「あの塔のとき、すげー力が出なかったけど……歪術! ……うーん。使えるけど
世界を真っ二つには出来ないぞ、これだと」
「その物騒な力を制御した形に収まったのか……」
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