異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

第八百五話 試し打ち

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「ルインではないか。何しに来たのだ?」
「ドーグル? お前こそなんでここに」
「わらはほれ。イーファと共に観客席の掃除だ」
「やぁルイン。久しぶりだ。子供は順調に育っているか?」
「ああ。久しぶりだイーファ。ニンファに会えず辛いだろうが、もうしばらくの
辛抱だよ」
「心配はしていないさ。何せフェルドナージュ公と一緒だろう? それに……
いや、奴の名前を出すのははばかれる。やめておこう」
「……そうだな。いきなり現れてもおかしくない奴だし」

 何があっても頑丈なアイツが守ってくれてる。
 そう信じよう。
 
「ところで君は何しに来たのかな?」
「と闘技場を試したくて。確認にきたんだが……」
「ほう。それならわらが相手をしようか?」
「いや。ドーグルは参加者だろう? ここで俺たちがやりあって怪我させたら
洒落にならんだろう」
「それもそうだな。わらでは無い方がよいか」
「ああ。それに試したいのは伝書の力の一部だからな。止めておいた方がいい」
「ふむ。少し偵察といくか」
「それは構わないが……実践ではあまり使わないと思う技ばかりだぞ?」
「そうなのか? ……しかしそこから発展させた技を使うつもりだな。
ルインはいつもとんでもない方向に技を使用したりする。確認して作戦を練らせてもらおう」
「はっはっは。そんなにひねくれてるか?」
「わらにはそう見えるが」

 そんなにひねくれてるつもりは無いんだけどな。
 まぁいい。見てもらうか。修行の成果ってやつを。

 闘技場のリングに上がると、その広さを実感出来る。
 このリング、レンブランド・スミスの建物と同じ素材で出来ている。
 その素材代金が、なかなかにやばかった。
  とても美しいというだけではなく、血痕が着いても勝手に消えるように出来ている。
 つまり、毎回試合が終わるたびに清掃をする必要が無い。
 当然それだけでレンブランドスミスが清潔に保たれていたわけでは無いだ
ろうが、あの綺麗さは不思議に思っていた。
 清掃だけであれほど綺麗になるものかと。
 確かめたら案の定、マジックアイテムだったわけだ。
 というより素材そのものの性質かな。
 そして何より……頑丈だ。
 
「バネジャンプ」

 愛着のある技を使用して、思い切り跳躍して着地してみる。
 しかし地面は何とも無い。
 ちなみに宙に浮いたままいるのは反則だ。
 だが、高く飛翔するのはアリだ。
 飛んでから着地までは十五秒まで。
 それ以上は長すぎて失格となる。
 この辺は高く跳躍する奴らが気を付けなければならない。
 といっても、そこまで跳躍する奴はい……ないとも言い切れないか。
 
 何せ今大会は……「おーい。早くしないとわらは帰るぞー」
「悪かった。始めるよ……」

 両腕に青白い文字を浮かべる。
 さて、まずは復習からだな。
 
「ラモト・アダマ地面

 地面に両手を着けると、青白い文字が地面を這い、離れた場所で青白い渦を
立てて舞い上がる。
 これは、ラモトの基本技となる。

 再度両手に文字を浮かび上がらせ、前方へ両手を突き出す。

「ラモト・「ネフィラ落下

 正面へ文字が飛んでいき、地面にその文字が設置されると同時に、青白い渦を巻いた
炎が浮かび上がる。

「おお。随分と派手な技に見える。ちみはまた成長したようだな」
「これは序の口だぜ、ドーグル……ラモト・ホーマ

 今度は両手に文字は浮かび上がらず、俺の左足に文字が浮かび上がる。
 右足を軸にして自分の周囲を、その左足で円を描くように一回転し、自らを
覆う壁上に青白い炎の渦を立てた。

「これは……防御用か。これでは念動力を通し辛い」
「もう一つ、基本だ。ラモト・ソベブ渦巻

 今度は右の手先に青白い炎の渦を維持出来るようコントロールする。
 この四つが基本となる伝書の技。
 これだけでも苦労した。
 
「ちみのその状態。どれ程の殺傷力がある?」
「そうだな……この渦で俺の赤閃六発分位の威力は出るか」
「ふうむ。わらはちみと当たったら棄権しようかな」
「いや、こいつは遠距離攻撃の相手に向く技じゃない。まだ赤閃の方が向くだろう。
あくまでこの四つの技は……だが」
「ちみはそういえば、相変わらず長距離戦闘が苦手か? それならわらにも勝ち目が
あるな」
「ふふっ。ドーグル。それは戦ってみてからの、お楽しみってやつだぜ」
「それより君のモンスター技の方が気になる」
「あれ、イーファもまだいたのか」
「見ていたら気になってね。あんまり事前に知りたくないんだけど」
「そうだな……雪崩!」
「えっ!?」」
「ぬぅ!?」

 俺は何もない場所に雪の塊を引き起こした。
 そして俺事雪崩ていく。
 そのまま場外へ……。

「ぶはっ……やっぱダメだ。全く調整出来ない」
「何だ!? 今のは放出した雪? もう消えて無くなってるけど」
「恐ろしい技だった。しかし自爆技か」
「スノーバウルスってモンスターの技だったんだが、使い方がわからん。
倒すのに苦労したってのに……まぁ俺が手を出さずとも、食われて封印された
んだけどさ」
「強いモンスターだからといって、強い技とは限らないってこと?」
「スノーバウルス本体はまぁまぁ強いと思うが、今回の大会でモンスター出した
ら反則負けだからな……」
「それは当然だろう。ちみがモンスターを呼びだしまくれば会場大混乱だ」
「それは、そうでした……」
「はっはっは。ちみのそう言った切り返し方、わらは相変わらず好きだぞ」
「俺も慣れてきたら、ドーグルの話し方は好きになったよ。さて、そろそろ
メルザの許へ戻るか」
「女王は結局大会には参加しないのだろう?」
「ああ。力が失われてるんだ。本人は出たがってたけど。まぁ参加するって言ったら
絶対ジェネストが止めるからな。心配しなくても幻術の使い手は結構いるから
術合戦も楽しめるぜ、今回は」
「ふふふ、そうじゃないと私も特訓した成果が出せないからね」
「楽しみにしてるよ、イーファ。それじゃな」

 二人の許を去ると、試そうとしていた技があった事を思い出す。
 まぁいいか、当日でも。
 あんまり戻るのが遅くなると、大会参加させないって言いだしかねないからな……あ
いつら。
 というよりも、参加出来ないと考えていたんだが、圧倒的多数決でごり押しして
もらった。
 特にシーザー師匠とハーヴァルさんには猛反発された。
 ついでにイネービュとプリマとアメーダにもだが……。

 さて。家に戻ったら今回の大目玉選手でも話して聞かせるか。
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