異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
上 下
810 / 1,085
第五章 親愛なるものたちのために

第七百二十四話 変妖から変幻の試みは

しおりを挟む
 北側の進路をとった俺たちは、まもなくモンスター集団と戦闘を開始する。

 モンスターに近づいてわかったのが、不死はリッチーなどではなく武装した不死者。
 不死者と一言で表すにも種類がある。
 スケルトン、ゾンビ、グール、完全に原型をとどめた人型の不死者、ドラゴンゾンビなど。
 亜種の不死者も多く存在する。
 ここにいるやつは恐らく、魔族の不死者だ。
 それとヴァンピールだが、ここのヴァンピールはブリザホールにいたやつよりでかい。
 真っ赤なコウモリのような形をしたそれが、天井からぶら下がっている。
 そしてオーガの亜種。
 巨大な盾と剣を持ち、巨剣を構えて佇んでいる。

「合図は私の攻撃からね。不死者三体くらい楽勝よ」
「相手はスケルトンとかじゃないが、本当に大丈夫か?」
「当然よ。いくわよ……不浄なる浄化の嵐 聖なる審判!」

 あれは船上で見せたライラロさんの術。
 彼女はただの幻術とは思えない術を行使している。
 ユニカ族というのがそういった力を持っているのかもしれない。
 天井から湧き上がる様に光を発すると、不死者は……消えなかった。
 
「グオ?」
「キイーーーー!」
「グルウウウウウ……」
「あ、あれ? ……おかしいわね。もう一度!」
「全然効いてねえ! ルイン、構えろ。一気にくるぞ」
「もう支度してる。慣れっこだよ」
「ひぃーんごめんなさあーーい!」

 ライラロさんの術で一斉に敵が動き出す。
 全く効果が無いわけではなかったようだ。
 動き出したのは不死者一匹にヴァンピール二匹。
 こちらへ目掛けて突撃してくる。

「不死者を呼び込む。ヴァンピールをどうにかできるか?」
「俺がやります!」

 俺はティソーナ、コラーダを出すと、不死者に向けて斬撃を飛ばす。
 だが俺の方には反応を示さない。

「けん制でこちらを向かない。ライラロさんを狙ってるのか?」
「燃臥斗! ここだと狭くて燃刃斗が使えないわね……」

 ライラロさんの方へ突撃する不死者を、幻術中級術、燃臥斗で燃え上がらせるライラロさん。
 あの一匹は問題なさそうだな。
 ヴァンピールは……アメーダが招来した奴が相手をしている。
 その脇からエンシュが攻撃。こちらも想定通りだ。

 後方を心配して確認していると、ジュディは既に残りの不死者へ攻撃を仕掛けていた。
 遅れをとったが……いや、準備に時間がかかるところだ。
 ちょうどいい。あのオーガ亜種は頂くとしよう。

【真化】【神魔解放】……あれ? 何だこの妙な感覚は……。

「やっぱりプリマにも戦わせろ!」

 突如として俺の体の状態が変わっていく。
 蒼黒い髪色がどんどんと伸び、紅色へと変化する。
 レピュトの手甲を出すと、その手が黒い鎌を握り、一人でにオーガ亜種のいる
方向へ飛んでいった。

「ボーっとしてないで早く攻撃しにいくぞ、ルイン!」
「プリマ、また勝手な事を……これはもしかして幻魔の力ってやつか?」

 俺は指の先に意思を込め、昔一人で出来なかった事を試す。

「燃斗!」

 小さな火球が飛び出て、オーガ亜種の足元へヒットした。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「あ、悪い。当てるつもりはなかった……っていっても襲ってくるよな!」

 オーガ亜種はいきり立ち、所持している剣を大きく振り下ろすと、それは斬撃となりこちらを
襲ってきた。

「妖赤星の吸盾」

 斬撃を簡単に防いでみせると、オーガ亜種は更に興奮した様子を見せ、こちらを敵として
認識する。
 レピュトの手甲の鎌攻撃を、巨大な盾で防ぎつつ、こちらの様子を見ている。

 体長は二メートル半程でそこまで大きくない。肌の色は黒く、角が二本。
 剛腕かつ俊敏な動きが予測できる程鍛え抜かれた筋力。
 そして何より……「妖楼! 斬撃の数が多い!」

 一振りで数十の斬撃を放ってくる。
 赤星の吸盾でカバーしきれないように攻撃を適切に放ってくる。
 つまり知識も相当高い証拠だ。

「おい。もっとうまく戦え。プリマの力はそんなものじゃないぞ」
「んなこといったってわかるか! 幻魔の事なんて全然知らないんだぞ。
術だって把握してないし」
「じゃあ幻獣剣、使ってみろよ」
「幻獣剣……?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

<完結>音のないプロポーズ

神屋 青灯
恋愛
26歳。結婚なんてまだ早い、と思うけど、自分が心に決める人は、この先何年生きても、彼女しかいない。思い余って婚約指輪を用意して、それでもなかなか言い出せない想い。けれど、もう、伝える。 …そう覚悟を決めた春直が、事故に巻き込まれたとの報せが入る。 ◇登場人物ルビ  実崎 春直【さねさき・はるな】  比野 斗南【ひの・ほしな】  如月 氷影【きさらぎ・ひかげ】

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!

マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です 病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。 ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。 「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」 異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。 「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」 ―――異世界と健康への不安が募りつつ 憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか? 魔法に魔物、お貴族様。 夢と現実の狭間のような日々の中で、 転生者サラが自身の夢を叶えるために 新ニコルとして我が道をつきすすむ! 『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』 ※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。 ※非現実色強めな内容です。 ※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

何故か超絶美少女に嫌われる日常

やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。 しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。

良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました

ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。 そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった…… 失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。 その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...