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第四章 シフティス大陸横断
第六百九十四話 アルカーンの真実
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西エリアにある絶壁の訓練場。ここへ来るのもかなり久しぶりだ。
以前デイスペルで行われた闘技大会より広いスペース。
ここの造りは激しい戦闘を想定しているが、最近ではこちらで特訓する者も少ない。
……皆、出払ったままだ。
心配事は重なるが、俺はあいつらを信じている。
「……なんかギャラリーが多くないか?」
「必要な事だ。全員に今の貴様の実力を見てもらう必要があるだろう。
そして……妖魔国での騒動を含め、貴様は妖魔界一の器となれるのか。俺が見定めてやる。
俺は……フェルドナージュ様より強い」
「なんとなく気づいてましたよ。あなたは普通の妖魔とはまるで違う。
その体に宿る力は、神か何かか? 才能などという言葉だけで推し量れるようなものじゃない」
「ふっ。最初に言っておく。俺は……妖魔ではない」
「……どういうことだ」
「アルカーンという男は、とうの昔に死んでいる」
「おいおい。いくらアルカーンさんだって流石に怒るぞ。笑えない冗談だ。だってあんたはリルや
サラの兄貴だろう? 弟たちを思い、それで……」
「演じているに過ぎん。俺はアルカーンという男を演じ続けている」
「なぜだ……やめてくれよ。今更そんな事。それじゃリルは、サラは母も兄も失ったっていうのか」
「その通りだ。俺はアルカーンの最後の願いを聞いてやっているに過ぎん。当然妖魔としての能力は
持っている。だが俺は、妖魔でもアルカーンでも無い」
「じゃあ時術が使えるのも、モンスター作成能力があるのも……」
「妖魔の力ではない。管理者の力そのものだ」
「あんたが……管理者……」
「時の管理者。名は……いや、アルカーンでいい」
「時の……管理者? あんたはずっと引きこもって、時計を造り続けて、空気を読めず研究し続けるアルカーン。それでよかったじゃないか! なんで、なんで今更そんなことを言う……なぜ……」
「貴様には話しておきたかった。安心しろ。他の者には聞こえていない。
だが驚いたぞ。俺の教えを受け、アーティファクトを生成する力を持つ少年。
弟や妹のように可愛がってきたあいつらと絆を深める妖魔。
二つの魂を持ち、成長し続ける力を持つ歪な存在。
そして……俺すらも変えてしまうその魅力」
「何を……言ってるんだ」
「四柱が生成した全ての管理者が、貴様の実力を図っている。
或いはブレアリア・ディーンであり、或いはタルタロス・ネウスであり、そして或いはこの俺であること。
さらに……」
「もう……何も言うなよ。俺はアルカーンと戦い、強くなった自分を見てもらえれば、それでいい。
そして俺が勝ったら、今の話は聞かなかったことにしてくれ。あんたはリルとサラの兄。
高い能力を持ち、二人を愛している。それで……それでいいじゃないか。俺は少なくともそうだと
思っていたいんだ」
「……ふふ、貴様は面白い男だ。他者の事にまで感情を揺り動かし、目から涙をこぼすか……。
いいだろう。勝っても負けても貴様の言い分は通してやる。だがこのアルカーン、本気で戦うならば
負けるわけにはいかん」
圧倒的な強者だと認識はしていた。
管理者、アルカーン……いったいどの絶対神の者なのか……予測はつく。
時術を使いこなし、モンスターを生み出し、アーティファクトを使用。
更に妖魔の力を持ち……そうだよな、普通の妖魔なんかじゃない。
リルやサラとも明らかに違う。
「剣戒、封剣……いくぜ、アルカーン。神魔解放……」
『【真化!】』
以前デイスペルで行われた闘技大会より広いスペース。
ここの造りは激しい戦闘を想定しているが、最近ではこちらで特訓する者も少ない。
……皆、出払ったままだ。
心配事は重なるが、俺はあいつらを信じている。
「……なんかギャラリーが多くないか?」
「必要な事だ。全員に今の貴様の実力を見てもらう必要があるだろう。
そして……妖魔国での騒動を含め、貴様は妖魔界一の器となれるのか。俺が見定めてやる。
俺は……フェルドナージュ様より強い」
「なんとなく気づいてましたよ。あなたは普通の妖魔とはまるで違う。
その体に宿る力は、神か何かか? 才能などという言葉だけで推し量れるようなものじゃない」
「ふっ。最初に言っておく。俺は……妖魔ではない」
「……どういうことだ」
「アルカーンという男は、とうの昔に死んでいる」
「おいおい。いくらアルカーンさんだって流石に怒るぞ。笑えない冗談だ。だってあんたはリルや
サラの兄貴だろう? 弟たちを思い、それで……」
「演じているに過ぎん。俺はアルカーンという男を演じ続けている」
「なぜだ……やめてくれよ。今更そんな事。それじゃリルは、サラは母も兄も失ったっていうのか」
「その通りだ。俺はアルカーンの最後の願いを聞いてやっているに過ぎん。当然妖魔としての能力は
持っている。だが俺は、妖魔でもアルカーンでも無い」
「じゃあ時術が使えるのも、モンスター作成能力があるのも……」
「妖魔の力ではない。管理者の力そのものだ」
「あんたが……管理者……」
「時の管理者。名は……いや、アルカーンでいい」
「時の……管理者? あんたはずっと引きこもって、時計を造り続けて、空気を読めず研究し続けるアルカーン。それでよかったじゃないか! なんで、なんで今更そんなことを言う……なぜ……」
「貴様には話しておきたかった。安心しろ。他の者には聞こえていない。
だが驚いたぞ。俺の教えを受け、アーティファクトを生成する力を持つ少年。
弟や妹のように可愛がってきたあいつらと絆を深める妖魔。
二つの魂を持ち、成長し続ける力を持つ歪な存在。
そして……俺すらも変えてしまうその魅力」
「何を……言ってるんだ」
「四柱が生成した全ての管理者が、貴様の実力を図っている。
或いはブレアリア・ディーンであり、或いはタルタロス・ネウスであり、そして或いはこの俺であること。
さらに……」
「もう……何も言うなよ。俺はアルカーンと戦い、強くなった自分を見てもらえれば、それでいい。
そして俺が勝ったら、今の話は聞かなかったことにしてくれ。あんたはリルとサラの兄。
高い能力を持ち、二人を愛している。それで……それでいいじゃないか。俺は少なくともそうだと
思っていたいんだ」
「……ふふ、貴様は面白い男だ。他者の事にまで感情を揺り動かし、目から涙をこぼすか……。
いいだろう。勝っても負けても貴様の言い分は通してやる。だがこのアルカーン、本気で戦うならば
負けるわけにはいかん」
圧倒的な強者だと認識はしていた。
管理者、アルカーン……いったいどの絶対神の者なのか……予測はつく。
時術を使いこなし、モンスターを生み出し、アーティファクトを使用。
更に妖魔の力を持ち……そうだよな、普通の妖魔なんかじゃない。
リルやサラとも明らかに違う。
「剣戒、封剣……いくぜ、アルカーン。神魔解放……」
『【真化!】』
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