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第四章 シフティス大陸横断
第六百六十話 従属のピアスはもう必要ない
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二十領区付近までは比較的スムーズに来れた。
ブラックボアやシザーマンティスなど、いわゆるオーソドックスな
モンスターは見受けられたのだが、封印するまでもなくナナーやビュイが倒してしまった。
シフティス大陸のモンスターはあまり封印していないので、封印したくはあるのだが……いかんせん
封印穴の件に関しては、サラから聞いた話だと時間がかかるようだ。
なにせアルカーンさんときたら、午前、午後切り分けの時計作りに没頭しすぎていて
殆ど取り合ってもらえなかったらしい。
ルーニーを返しながら「妹を何だと思ってるのかしら。リルお兄ちゃんは
ちゃんと話を聞いてくれるのに!」といって荒れていたのでそっとしておいた。
中央のサラたちを見ると、疲れているのかレミ以外は休んでいるように見える。
レミは俺の方を見ながらにっこり微笑んでいる。
今のところレミから常闇のカイナの情報をもらっていないが……
そもそもレミはいまいち何を考えているのか、その行動が読めない事が多い。
例のヨーゼフに会うまで、あちらの事はわからないことだらけだな。
そうこうしている間にメナスとリュシアンが戻ってくる。
仮面を外していてとてもすっきりしているように見えた。
心なしか微笑んでいるようにも見え、日の光に映し出される銀色の
風景は、流星のようでとても美しく見える。
「おかえり。知り合いの人はよかったのか?」
「シー……いや、ルイン。私を……どうかこれで家族にして欲しいぞ」
そう言って指輪を差し出してくるメナス。
唐突に一体何を言ってるんだ?
「これで、どうか」
「メナズちゃんを、家族にすて欲しい気持ちは、あたすも同じだ」
「指輪を受け取ると家族に? その指輪にそういった効果があるのか?」
「これは私の家にあった唯一の物。私がメナスとして生まれた唯一の証ぞ。
それを主に献上すれば、従属のピアスよりきっと強い永遠の誓いを……」
「……そのピアス、外せるか?」
「主であれば外せようぞ……私は、もういらないのか? 必要としないのか?」
物凄く悲しそうな顔になる。
何か盛大に勘違いしているようだ。
「それ、コーネリウスに信用させるために俺へ服従する力を
付与したものだろ? そんなの、必要ない。それに指輪はメナスの生まれ故郷を示す唯一のものだ。
そんな大事なもの、受け取れるはずがないだろう。指輪は、えっとこれがはまるかな?」
そういうとメナスの指に、サラたちと同じ指輪をはめてやる。
あまりの突然の事に驚いてしまって目をぱちくりさせているが、無理もないか。
シチュエーションも何もあったものじゃないな。
「これは俺の主、そして封印された者へ渡している本当の家族の証みたいなものだ。
でも、俺たちは物で繋がってるんじゃないんだ。お前が俺を守ってくれたように、互いを守り合う
誓いに交わした物……って思ってくれ。メナスは俺を庇い、守ろうとした。そして俺はメナスを庇った。
俺たちは守りあう家族だよ。随分と前からな」
「あたすもそれ、欲すぃけども……まだ守られただけだわぁ」
「ははは、リュシアンにも近いうち渡すんじゃないかな。
でも今はそうすると不公平だろ? 前にいる少女たちが騒ぎ立てるに決まってる。
今は目を瞑っていてくれ」
嬉しそうにはめられた指輪を空に翳すメナス。
こんな表情もするんだな。
全員分の指輪が、実は既に用意してある。でも今は懐で温めておこう。
「……と、話している場合じゃなくなった。さすがにこの集団だ。
モンスターに目を付けられてもおかしくないと思ったが……
左後方よりモンスターの反応、数は四。前にもいるかもしれない。
リュシアン、メナス、戦えるか?」
「勿論ぞ」
「あたすも頑張るよぅ!」
後ろのモンスターは上空から来る。リュシアンとメナスに任せ、前方に
知らせに行こう。
「バネジャンプ」
未だに使い勝手のいいこの技で前方へ大きく飛び、ビュイとナナーに
合図を送る。
いや、その前にイーファ、ドーグル、エプタは動いてるな。
「ごはんだ?」
「お腹すいたぞ」
「違う! 敵襲だ!」
ブラックボアやシザーマンティスなど、いわゆるオーソドックスな
モンスターは見受けられたのだが、封印するまでもなくナナーやビュイが倒してしまった。
シフティス大陸のモンスターはあまり封印していないので、封印したくはあるのだが……いかんせん
封印穴の件に関しては、サラから聞いた話だと時間がかかるようだ。
なにせアルカーンさんときたら、午前、午後切り分けの時計作りに没頭しすぎていて
殆ど取り合ってもらえなかったらしい。
ルーニーを返しながら「妹を何だと思ってるのかしら。リルお兄ちゃんは
ちゃんと話を聞いてくれるのに!」といって荒れていたのでそっとしておいた。
中央のサラたちを見ると、疲れているのかレミ以外は休んでいるように見える。
レミは俺の方を見ながらにっこり微笑んでいる。
今のところレミから常闇のカイナの情報をもらっていないが……
そもそもレミはいまいち何を考えているのか、その行動が読めない事が多い。
例のヨーゼフに会うまで、あちらの事はわからないことだらけだな。
そうこうしている間にメナスとリュシアンが戻ってくる。
仮面を外していてとてもすっきりしているように見えた。
心なしか微笑んでいるようにも見え、日の光に映し出される銀色の
風景は、流星のようでとても美しく見える。
「おかえり。知り合いの人はよかったのか?」
「シー……いや、ルイン。私を……どうかこれで家族にして欲しいぞ」
そう言って指輪を差し出してくるメナス。
唐突に一体何を言ってるんだ?
「これで、どうか」
「メナズちゃんを、家族にすて欲しい気持ちは、あたすも同じだ」
「指輪を受け取ると家族に? その指輪にそういった効果があるのか?」
「これは私の家にあった唯一の物。私がメナスとして生まれた唯一の証ぞ。
それを主に献上すれば、従属のピアスよりきっと強い永遠の誓いを……」
「……そのピアス、外せるか?」
「主であれば外せようぞ……私は、もういらないのか? 必要としないのか?」
物凄く悲しそうな顔になる。
何か盛大に勘違いしているようだ。
「それ、コーネリウスに信用させるために俺へ服従する力を
付与したものだろ? そんなの、必要ない。それに指輪はメナスの生まれ故郷を示す唯一のものだ。
そんな大事なもの、受け取れるはずがないだろう。指輪は、えっとこれがはまるかな?」
そういうとメナスの指に、サラたちと同じ指輪をはめてやる。
あまりの突然の事に驚いてしまって目をぱちくりさせているが、無理もないか。
シチュエーションも何もあったものじゃないな。
「これは俺の主、そして封印された者へ渡している本当の家族の証みたいなものだ。
でも、俺たちは物で繋がってるんじゃないんだ。お前が俺を守ってくれたように、互いを守り合う
誓いに交わした物……って思ってくれ。メナスは俺を庇い、守ろうとした。そして俺はメナスを庇った。
俺たちは守りあう家族だよ。随分と前からな」
「あたすもそれ、欲すぃけども……まだ守られただけだわぁ」
「ははは、リュシアンにも近いうち渡すんじゃないかな。
でも今はそうすると不公平だろ? 前にいる少女たちが騒ぎ立てるに決まってる。
今は目を瞑っていてくれ」
嬉しそうにはめられた指輪を空に翳すメナス。
こんな表情もするんだな。
全員分の指輪が、実は既に用意してある。でも今は懐で温めておこう。
「……と、話している場合じゃなくなった。さすがにこの集団だ。
モンスターに目を付けられてもおかしくないと思ったが……
左後方よりモンスターの反応、数は四。前にもいるかもしれない。
リュシアン、メナス、戦えるか?」
「勿論ぞ」
「あたすも頑張るよぅ!」
後ろのモンスターは上空から来る。リュシアンとメナスに任せ、前方に
知らせに行こう。
「バネジャンプ」
未だに使い勝手のいいこの技で前方へ大きく飛び、ビュイとナナーに
合図を送る。
いや、その前にイーファ、ドーグル、エプタは動いてるな。
「ごはんだ?」
「お腹すいたぞ」
「違う! 敵襲だ!」
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