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第四章 シフティス大陸横断
第六百四十六話 霊族ここにあり
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コテージからアースガルズまでの道のりを簡易的な地図で記してもらったため、道中はスムーズに
移動することができた。
移動も俺が彰虎、白丕にミレーユ王女を乗せての移動。
雪道であるにも関わらず、すいすいと移動を行える。
「意外と遠い場所まで哨戒任務を行っていたんだな。ここからずっと南東。
鉱山跡地を抜け、さらに進めばあの領区か……」
あの領区とは、第二十領区。ヘンブレン・ジョウイ・オズワルが管理していた
その場所である。
「ガォ」
「どうした、彰虎。何か……いる? いや、何も見えない」
「ガォ!」
「……白丕! 一度止まれ!」
急停止する白丕、そして辺りを警戒する彰虎。
確かに何かおかしい感じはする。
だが何がおかしいのかがわからない。
たとえようのないこの違和感のようなもの。
感じたことがある気がする。何だろう。
「ビュイ、ナナー、ルジリト。すまないが出てきて警戒を。
ルジリト、どう思う?」
「地形でも、モンスターでもない。違和感があるのは動くようなものではない
気がいたします」
「……! 気温だ! 以上な冷気、まさかあの時の吹雪か!?」
上空を見ると、確かに雲のうごめきが異常だとわかる。
しかしこれが意図的だとするなら狙いはやはり……。
「ミレーユ王女。あんたか俺、どちらかが狙われてる。
直接攻撃してこないところを見ると様子見だろう。いいか、俺から離れるなよ?」
「……」
しかし彼女は俺の言う事を聞いているのかどうかわからぬ素振りだ。
ただ上空を冷たい虚ろな目で眺めている。
「なぁなぁ。なんか暗くなってきただ」
「まだ日は登り始めだぞ。どういうことだ。地上ではいつもこうなのか?」
「いや……明らかに異常気象。天候の変化か、あるいは……」
自分たちのいる一帯だけ闇が覆う。真っ暗というわけではないが、視界としては
かなり悪い。
そう感じた時だった。
「お初にお目にかかります。アメーダと申します。ルイン・ラインバウト様……でございますね。
それとそちらはルイ・クシャナ・ミレーユ様でお間違いありませんか」
「……答えたらどうなるかわからない質問に答えるつもりはないな」
「……」
「何だ! いきなりあらわれただ!」
「ナナー! うかつに動くな!」
「いい判断でございます。と申しましても今は忠告をしに参っただけでございます。
ルイン・ラインバウト様。その実名を零族の者が聞き入れ興味を示しました。
あなた様で間違いありませんか? もし違うようでしたら、不要の挨拶と申します。
なお、嘘は召されるべきではありません。シカリー様を敵に回すことになりますゆえ慎重に
お答えください。ルイン・ラインバウト様」
「……そうだ」
「ふふふ、それでよろしいのでございます。状況が飲み込めているようですね。
察しのいい方でございます。この領域事、転移致します。お許しを」
「……!」
「ミレーユ。今は大丈夫だ。こいつの言っている事は間違ってない。
これは間違いなく転移。何処に連れて行かれるかも、推測できる。
対処の方法もあるから安心しろ。俺から絶対離れるな。お前の魔力もまだ使うな」
「……恐ろしい程の察しのよさでございます。二つの顔を持つルイン・ラインバウト様」
「アメーダと言ったか。一つだけいいか」
「何でございましょう。下手な真似はおすすめできませんが」
「下の名前を呼ぶな」
「これは失礼を。ルイン……様でよろしいでしょうか」
「ああ。それで構わない」
突然襲われた俺たち。
だが俺は、いつか襲われるものと思って覚悟はしていた。
こいつらがイネービュの言う、監視していた者か……。
だがなぜだろうか。
こいつらからは何の悪意も感じ取れなかった。
それがとても不思議で、妙な程に落ち着きを払っていた。
移動することができた。
移動も俺が彰虎、白丕にミレーユ王女を乗せての移動。
雪道であるにも関わらず、すいすいと移動を行える。
「意外と遠い場所まで哨戒任務を行っていたんだな。ここからずっと南東。
鉱山跡地を抜け、さらに進めばあの領区か……」
あの領区とは、第二十領区。ヘンブレン・ジョウイ・オズワルが管理していた
その場所である。
「ガォ」
「どうした、彰虎。何か……いる? いや、何も見えない」
「ガォ!」
「……白丕! 一度止まれ!」
急停止する白丕、そして辺りを警戒する彰虎。
確かに何かおかしい感じはする。
だが何がおかしいのかがわからない。
たとえようのないこの違和感のようなもの。
感じたことがある気がする。何だろう。
「ビュイ、ナナー、ルジリト。すまないが出てきて警戒を。
ルジリト、どう思う?」
「地形でも、モンスターでもない。違和感があるのは動くようなものではない
気がいたします」
「……! 気温だ! 以上な冷気、まさかあの時の吹雪か!?」
上空を見ると、確かに雲のうごめきが異常だとわかる。
しかしこれが意図的だとするなら狙いはやはり……。
「ミレーユ王女。あんたか俺、どちらかが狙われてる。
直接攻撃してこないところを見ると様子見だろう。いいか、俺から離れるなよ?」
「……」
しかし彼女は俺の言う事を聞いているのかどうかわからぬ素振りだ。
ただ上空を冷たい虚ろな目で眺めている。
「なぁなぁ。なんか暗くなってきただ」
「まだ日は登り始めだぞ。どういうことだ。地上ではいつもこうなのか?」
「いや……明らかに異常気象。天候の変化か、あるいは……」
自分たちのいる一帯だけ闇が覆う。真っ暗というわけではないが、視界としては
かなり悪い。
そう感じた時だった。
「お初にお目にかかります。アメーダと申します。ルイン・ラインバウト様……でございますね。
それとそちらはルイ・クシャナ・ミレーユ様でお間違いありませんか」
「……答えたらどうなるかわからない質問に答えるつもりはないな」
「……」
「何だ! いきなりあらわれただ!」
「ナナー! うかつに動くな!」
「いい判断でございます。と申しましても今は忠告をしに参っただけでございます。
ルイン・ラインバウト様。その実名を零族の者が聞き入れ興味を示しました。
あなた様で間違いありませんか? もし違うようでしたら、不要の挨拶と申します。
なお、嘘は召されるべきではありません。シカリー様を敵に回すことになりますゆえ慎重に
お答えください。ルイン・ラインバウト様」
「……そうだ」
「ふふふ、それでよろしいのでございます。状況が飲み込めているようですね。
察しのいい方でございます。この領域事、転移致します。お許しを」
「……!」
「ミレーユ。今は大丈夫だ。こいつの言っている事は間違ってない。
これは間違いなく転移。何処に連れて行かれるかも、推測できる。
対処の方法もあるから安心しろ。俺から絶対離れるな。お前の魔力もまだ使うな」
「……恐ろしい程の察しのよさでございます。二つの顔を持つルイン・ラインバウト様」
「アメーダと言ったか。一つだけいいか」
「何でございましょう。下手な真似はおすすめできませんが」
「下の名前を呼ぶな」
「これは失礼を。ルイン……様でよろしいでしょうか」
「ああ。それで構わない」
突然襲われた俺たち。
だが俺は、いつか襲われるものと思って覚悟はしていた。
こいつらがイネービュの言う、監視していた者か……。
だがなぜだろうか。
こいつらからは何の悪意も感じ取れなかった。
それがとても不思議で、妙な程に落ち着きを払っていた。
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