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第三章 幻魔界
第六百二十八話 バラム・バロム戦再び
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突っ込んでいった場所には、裸の青髪の女性がいた。
四の五の言っている場合ではない。全身から血を噴き出し、今にも死んでしまいそうだ。
ぴくりとも動かないので、担ぎ上げると、その場所目掛けて何かが降り注ぐ。
「土斗! 土臥斗!」
急ぎ壁を構築して爆発物と思われるそれを防ぎつつ、こちらの移動を見えづらくする。
今の俺の形態は移動に特化している。
一瞬でも目くらましができればそれで十分。後は……「ジェネスト! この人を頼む。クリムゾンの許へ一足先に! すぐルジリトもそちらへ連れて行く!」
「いいでしょう。ようやくらしくなってきましたね。それこそあなただ」
ジェネストは俺の代わりに青髪の女性を担ぎ上げると、クリムゾンのいる方向へ走っていく。
俺は超長距離戦闘を苦手としている。
そのため更なる知恵をルジリトへ借りる事とした。
対象は超長距離攻撃を得意とする相手。迂闊には近づいてこない。
そのため戦場を広い場所と考え、見つけづらい位置をいかに保ち続けるかで、相手をいらつかせて
引きずり下ろすのが得策。
更に沖と彰、ビュイとナナーに遊軍としてひきつける役を直ぐに実行。
組み合わせは彰とビュイ、沖とナナー。
それと出来る限り高台に潜み、相手を翻弄するように。負傷者は任せて頂きたい……か。
直ぐに沖虎と彰虎、ナナーとビュイを封印から出す。
全員理解しているようで、直ぐに動き出してくれた。
ナナーとビュイは、虎形態の二人に乗ってみたかったようで、やる気満々だった。
「全員気を付けてくれ。攻撃は最小限、かつ最小範囲だ。それと南東の高台から合図を出す。そしたら直ぐ、封印へ戻って欲しい」
「わかっております。幻奥の青を簡単に倒せる相手。勝てるとは思っておりませぬ」
「姉御がいない間は俺たちがしっかり働く!」
「ああ。任せた!」
頼りになる仲間だ。それにルジリトの意見も。
もし後四人、能力者がいれば、世界をひっくり返せる力があるかもしれない。
一人は地形把握者。即座に周囲の地形を把握し、その情報を伝える者だ。
一人は計略者。あらゆる場面で対象を罠にはめられる者。
一人は実行者。その罠を設置し、合図を待って実行できる者。
一人は交渉者。それらを交渉材料に、優位に事を運べる者。
そう考えている間にも、ジェネストたちの許へ辿り着き、上空を見る。
あちらは予定通り、沖虎、彰虎を狙って行動し始めた。
だがこちらに気づいていないわけではないようだ。
「傷はどうだ?」
「よくないです。かなり前から戦っていたのでしょう。既に満身創痍だったようですね」
「意識がない。衣服は着せたが、ジェネストに担いでもらっていたほうがいいな」
「クリムゾンは俺と行動を。ルジリト、治療を頼む。パモがまだ薬剤をもっている」
「私の知恵は伝わりましたかな?」
「ああ。そのように行動してみる。お前も気を付けてくれ。いつまた幻奥の青を狙って来るか
わからない」
「今しばらくは平気でしょう。致命傷を負わせたと思っているに違いない」
「なぜそう思う?」
「主が助けに入った事はあれも承知しているはず。攻撃の手が弱いというのは
放っておいても死ぬと認識しているからでしょう。しかし……」
ああ、なぜだろうか。どう見ても致命傷で死に至るほどではない。
再生能力が高い……ということか?
いや、今はそんなことを考えてる場合じゃないな。
まずは、高台に潜伏しつつ沖と彰たちに指示をだそう。
四の五の言っている場合ではない。全身から血を噴き出し、今にも死んでしまいそうだ。
ぴくりとも動かないので、担ぎ上げると、その場所目掛けて何かが降り注ぐ。
「土斗! 土臥斗!」
急ぎ壁を構築して爆発物と思われるそれを防ぎつつ、こちらの移動を見えづらくする。
今の俺の形態は移動に特化している。
一瞬でも目くらましができればそれで十分。後は……「ジェネスト! この人を頼む。クリムゾンの許へ一足先に! すぐルジリトもそちらへ連れて行く!」
「いいでしょう。ようやくらしくなってきましたね。それこそあなただ」
ジェネストは俺の代わりに青髪の女性を担ぎ上げると、クリムゾンのいる方向へ走っていく。
俺は超長距離戦闘を苦手としている。
そのため更なる知恵をルジリトへ借りる事とした。
対象は超長距離攻撃を得意とする相手。迂闊には近づいてこない。
そのため戦場を広い場所と考え、見つけづらい位置をいかに保ち続けるかで、相手をいらつかせて
引きずり下ろすのが得策。
更に沖と彰、ビュイとナナーに遊軍としてひきつける役を直ぐに実行。
組み合わせは彰とビュイ、沖とナナー。
それと出来る限り高台に潜み、相手を翻弄するように。負傷者は任せて頂きたい……か。
直ぐに沖虎と彰虎、ナナーとビュイを封印から出す。
全員理解しているようで、直ぐに動き出してくれた。
ナナーとビュイは、虎形態の二人に乗ってみたかったようで、やる気満々だった。
「全員気を付けてくれ。攻撃は最小限、かつ最小範囲だ。それと南東の高台から合図を出す。そしたら直ぐ、封印へ戻って欲しい」
「わかっております。幻奥の青を簡単に倒せる相手。勝てるとは思っておりませぬ」
「姉御がいない間は俺たちがしっかり働く!」
「ああ。任せた!」
頼りになる仲間だ。それにルジリトの意見も。
もし後四人、能力者がいれば、世界をひっくり返せる力があるかもしれない。
一人は地形把握者。即座に周囲の地形を把握し、その情報を伝える者だ。
一人は計略者。あらゆる場面で対象を罠にはめられる者。
一人は実行者。その罠を設置し、合図を待って実行できる者。
一人は交渉者。それらを交渉材料に、優位に事を運べる者。
そう考えている間にも、ジェネストたちの許へ辿り着き、上空を見る。
あちらは予定通り、沖虎、彰虎を狙って行動し始めた。
だがこちらに気づいていないわけではないようだ。
「傷はどうだ?」
「よくないです。かなり前から戦っていたのでしょう。既に満身創痍だったようですね」
「意識がない。衣服は着せたが、ジェネストに担いでもらっていたほうがいいな」
「クリムゾンは俺と行動を。ルジリト、治療を頼む。パモがまだ薬剤をもっている」
「私の知恵は伝わりましたかな?」
「ああ。そのように行動してみる。お前も気を付けてくれ。いつまた幻奥の青を狙って来るか
わからない」
「今しばらくは平気でしょう。致命傷を負わせたと思っているに違いない」
「なぜそう思う?」
「主が助けに入った事はあれも承知しているはず。攻撃の手が弱いというのは
放っておいても死ぬと認識しているからでしょう。しかし……」
ああ、なぜだろうか。どう見ても致命傷で死に至るほどではない。
再生能力が高い……ということか?
いや、今はそんなことを考えてる場合じゃないな。
まずは、高台に潜伏しつつ沖と彰たちに指示をだそう。
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