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第三章 幻魔界
第六百六話 吸収と力
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ナナーを吸収したベリアルは、少し満足そうに頷くと、ブツブツと呟きながら何かを構築した。
それをナナーに持たせて頭を撫でてやる。
「おいガキ。おめえはこれから戦い方を覚えろ。角眼鬼族とやらがどんなことが出来るか知らねえ。
だがこいつを使えるようになれ。そうすりゃ俺の役に立つ」
「役に……立つだ? どうやって使えばいいだ?」
渡したのは筒のような道具。小さいナナーでも簡単に持ち歩けるような物だった。
「そうだな、そいつを持ってあっちの池に向かい吹いてみろ。軽くだ。
おめえの魔次第ではなかなか面白い事が起こるぜ」
「うん、わかっただ。やってみるだ……フーッ!」
ナナーが池に向かって筒を吹くと……ナナーと同じような角に眼がある鳥が筒から飛び出して
池に向かい飛び込んでいった!
そして池に入った鳥は直ぐに音もたてず消えていく。
「面白いだ! 今の見ただ? 鳥が出ただ!」
「おめえの角眼付きが出たか。最初でそれだけできりゃ上等だぜ。ガキ……いや、ナナーだったか」
「うん! お兄さんの名前は何て言うだ?」
「俺はベリアルだ。好きに呼べ」
「……それならご主人様がいいだ!」
「ふん。勝手にしろ。それを使いこなせるようになればおめえも戦力として期待できるからな。
まぁおめえの役割はそれより、俺に美味い団子を作れるようになることだけどな」
二人のやり取りを見ていたクリムゾンは、すっと席を立つ。
食事も終え、旅立つ支度をするのかと思いきや……ナナーに剣を向ける。
「……なんのつもりだ」
「ナナーに一つ訪ねたい事がありましてな。正直に答えてもらおう」
「……何だ? 怖いだ……」
「お前の父であるゴンゴはどこでどうして亡くなったかを聞きたい。
かなり腕の立つ角眼鬼族だったはずだが?」
「……父ちゃんは急に瘦せ衰えて餓死しただ」
ぶるぶると震えるナナー。
それをみて真っ先に静止しようとするジェネスト。
「罠とも考えられます。しかし……さすがに子供へ剣を向けるべきではありません」
「剣を下ろしな。こいつは別に俺たちを狙ってねえ。さっきから狙ってんのは……そこだろ!」
ナナーの筒をさっと手に取り思い切り吹くベリアル。
池の近くの木に向け、巨大な竜が炎を吐きながら飛んで行った。
「ぐぎぃ! なぜ見破った! ニンゲンが!」
「はぁ? 人間だと!? おめえ今俺に喧嘩売ったな!」
「あれは餓鬼か。なるほど……こいつの仕業か? ここに団子の材料が無いというのは」
とっさに逃げようとする餓鬼の前には、既にベリアルが間近まで迫っていた。
しかし拳を叩き込もうとした手を慌てて引っ込める。
急ぎ静止しようとしたクリムゾンも安堵の表情を浮かべた。
「ちっ。下らねえ体質をもってやがる。触れた物を飢餓にする性質持ちか」
「ギケッ! 勘のいいやつめ! だがわかったろう? このガギョク様には誰も触れられね……あん?」
ケタケタと笑う餓鬼、ガギョクは次の瞬間空を見上げていた。
両方の足が吹き飛んでいる。
後方にいる少女ナナーは、筒をガギョクに向け思い切り吹き、一本の巨大な角刀眼を持つ兎に
足を切断されていた。
「よくも、父ちゃんを……」
「おいおい、もう扱えるようになっちまったのか。いい才能だぜナナー。気に入った」
「ギゲエエエエエエエ! ガギョク様の足が、足がぁーー!」
その兎は次々とガギョクを切断しつくし、バラバラにしてしまった。
「くだらねえ餓鬼に割いている時間はどちらにしろ無い。それじゃ行こうぜ、さっさとよ」
ギゲエという断末魔だけ残し、ベリアルたちは茶屋を経つ。
こ幻浅の玄を目指して。
それをナナーに持たせて頭を撫でてやる。
「おいガキ。おめえはこれから戦い方を覚えろ。角眼鬼族とやらがどんなことが出来るか知らねえ。
だがこいつを使えるようになれ。そうすりゃ俺の役に立つ」
「役に……立つだ? どうやって使えばいいだ?」
渡したのは筒のような道具。小さいナナーでも簡単に持ち歩けるような物だった。
「そうだな、そいつを持ってあっちの池に向かい吹いてみろ。軽くだ。
おめえの魔次第ではなかなか面白い事が起こるぜ」
「うん、わかっただ。やってみるだ……フーッ!」
ナナーが池に向かって筒を吹くと……ナナーと同じような角に眼がある鳥が筒から飛び出して
池に向かい飛び込んでいった!
そして池に入った鳥は直ぐに音もたてず消えていく。
「面白いだ! 今の見ただ? 鳥が出ただ!」
「おめえの角眼付きが出たか。最初でそれだけできりゃ上等だぜ。ガキ……いや、ナナーだったか」
「うん! お兄さんの名前は何て言うだ?」
「俺はベリアルだ。好きに呼べ」
「……それならご主人様がいいだ!」
「ふん。勝手にしろ。それを使いこなせるようになればおめえも戦力として期待できるからな。
まぁおめえの役割はそれより、俺に美味い団子を作れるようになることだけどな」
二人のやり取りを見ていたクリムゾンは、すっと席を立つ。
食事も終え、旅立つ支度をするのかと思いきや……ナナーに剣を向ける。
「……なんのつもりだ」
「ナナーに一つ訪ねたい事がありましてな。正直に答えてもらおう」
「……何だ? 怖いだ……」
「お前の父であるゴンゴはどこでどうして亡くなったかを聞きたい。
かなり腕の立つ角眼鬼族だったはずだが?」
「……父ちゃんは急に瘦せ衰えて餓死しただ」
ぶるぶると震えるナナー。
それをみて真っ先に静止しようとするジェネスト。
「罠とも考えられます。しかし……さすがに子供へ剣を向けるべきではありません」
「剣を下ろしな。こいつは別に俺たちを狙ってねえ。さっきから狙ってんのは……そこだろ!」
ナナーの筒をさっと手に取り思い切り吹くベリアル。
池の近くの木に向け、巨大な竜が炎を吐きながら飛んで行った。
「ぐぎぃ! なぜ見破った! ニンゲンが!」
「はぁ? 人間だと!? おめえ今俺に喧嘩売ったな!」
「あれは餓鬼か。なるほど……こいつの仕業か? ここに団子の材料が無いというのは」
とっさに逃げようとする餓鬼の前には、既にベリアルが間近まで迫っていた。
しかし拳を叩き込もうとした手を慌てて引っ込める。
急ぎ静止しようとしたクリムゾンも安堵の表情を浮かべた。
「ちっ。下らねえ体質をもってやがる。触れた物を飢餓にする性質持ちか」
「ギケッ! 勘のいいやつめ! だがわかったろう? このガギョク様には誰も触れられね……あん?」
ケタケタと笑う餓鬼、ガギョクは次の瞬間空を見上げていた。
両方の足が吹き飛んでいる。
後方にいる少女ナナーは、筒をガギョクに向け思い切り吹き、一本の巨大な角刀眼を持つ兎に
足を切断されていた。
「よくも、父ちゃんを……」
「おいおい、もう扱えるようになっちまったのか。いい才能だぜナナー。気に入った」
「ギゲエエエエエエエ! ガギョク様の足が、足がぁーー!」
その兎は次々とガギョクを切断しつくし、バラバラにしてしまった。
「くだらねえ餓鬼に割いている時間はどちらにしろ無い。それじゃ行こうぜ、さっさとよ」
ギゲエという断末魔だけ残し、ベリアルたちは茶屋を経つ。
こ幻浅の玄を目指して。
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