679 / 1,085
第三章 幻魔界
第六百三話 手合わせ クリムゾン・ダーシュ対ベリアル
しおりを挟む
外へ出ると瘴気が弱い場所へ移動する二人。
クリムゾン・ダーシュは十指の剣を構え、対するベリアルはつまらなそうに虚空を見上げている。
「武器はいいのかな。ベリアル殿」
「……出てこねぇな。忠誠心の無いやつらだ」
「ふむ……あれは殿方殿の剣。あなた自身武器を放出出来ないようならお貸しするが……」
ヒュンッ! とクリムゾン・ダーシュの頬を何かが通ると、頬に
浅い傷が出来た。
ベリアルは自分の指をクリムゾン・ダーシュへ向けて嘲笑った表情を浮かべる。
「おい。見くびるんじゃあねえぜ。武器を貸してやるだぁ? 必要あるわけねーだろ。
俺が武器を使えばおめえは消滅する」
「……確かに恐ろしい力だ。では遠慮せず参る」
低い姿勢からゆらりと前に足を走らせるクリムゾン。
瞬時に距離を詰め、両の指で見境ない攻防が始まる。
「アニヒレーションズ!」
辺り一面を無数に切り刻むその技は、ジェネストもよく用いる特殊技。
特にクリムゾンは十指の剣を持ち、高速で辺り一面を斬り刻む。
「レピュトの手甲……アルカサルの腕甲……おめえらもこれくらいの役にはたてるようだな」
突如現れたもう一本の腕。さらにそれを取り巻くように結び付けられているのは……ティソーナと
コラーダの柄部分。
腕甲のようにレピュトの手甲を覆い、アニヒレーションズを防いでいる。
「くっ……効きませぬか。では……深淵に見舞え! シャル・D・セイバー!」
大きく身を引いた後、相手にねじ込むよう渾身の技を放つ。
Dの文字を刻みこむ必殺の剣技を、アニヒレーションズと併せて放つ。
「器用なやつだな。だがおめえ、剣の効かねえ相手に追加で剣を放つか?」
ベリアルはアルカサルの腕甲でアニヒレーションズを防いだまま、迫りくる次の
剣技を自らの拳で受け止める。
その拳部分には黒い竜の顔が浮かび上がっていた。
「これが……ベリアル殿の戦い方か。取り込んだものを巧みに使用する。
まさに魔の力だ……」
「安心しな、おめえを吸収するつもりはねえ。ただ、力の差を見せてやる。
死竜よ、その力を解放し己の一端を見せよ。【ゴクド・デ・ミエド】
拳に垣間見えた死竜の口が開き、クリムゾンはとっさに左へ回避するが、解き放たれた
ブレスが半身をかすめる。
正面にあった木々は粉々にちぎれて吹き飛び、跡形もなくなった。
「ぐっ……何という高濃度のブレス。これは……恐れ入りました。
その竜はドラゴントウマですな……」
「残念ながら中にいるパルームが力を貸しやがらねえ。くそ、もっと取り込んだ奴を連れてきてりゃ
色々できるってのによぉ……残念で仕方ないぜ」
「ベリアル殿の実力は十分にわかった。いいでしょう。幻魔界を少し、案内させてもらおう」
「それはいいがよ。少し腹が減った。何か食い物あるか?」
「ここではあいにく……茶屋なら十里程離れた場所にあるのでまずはそちらへ向かいますかな。
行くぞ、ジェネスト」
「私に命令しないでください。あなたを従えるのは私ですよ?」
「ふうん。何だお前ら。できてるわけじゃねえのか」
「何を言うのです! からかわないでください。深淵に見舞わせますよ!」
六指の剣を少し揺らめかせるジェネスト。
しかしまったく聞いていないベリアルは少しつまらなそうにしていた。
クリムゾン・ダーシュは十指の剣を構え、対するベリアルはつまらなそうに虚空を見上げている。
「武器はいいのかな。ベリアル殿」
「……出てこねぇな。忠誠心の無いやつらだ」
「ふむ……あれは殿方殿の剣。あなた自身武器を放出出来ないようならお貸しするが……」
ヒュンッ! とクリムゾン・ダーシュの頬を何かが通ると、頬に
浅い傷が出来た。
ベリアルは自分の指をクリムゾン・ダーシュへ向けて嘲笑った表情を浮かべる。
「おい。見くびるんじゃあねえぜ。武器を貸してやるだぁ? 必要あるわけねーだろ。
俺が武器を使えばおめえは消滅する」
「……確かに恐ろしい力だ。では遠慮せず参る」
低い姿勢からゆらりと前に足を走らせるクリムゾン。
瞬時に距離を詰め、両の指で見境ない攻防が始まる。
「アニヒレーションズ!」
辺り一面を無数に切り刻むその技は、ジェネストもよく用いる特殊技。
特にクリムゾンは十指の剣を持ち、高速で辺り一面を斬り刻む。
「レピュトの手甲……アルカサルの腕甲……おめえらもこれくらいの役にはたてるようだな」
突如現れたもう一本の腕。さらにそれを取り巻くように結び付けられているのは……ティソーナと
コラーダの柄部分。
腕甲のようにレピュトの手甲を覆い、アニヒレーションズを防いでいる。
「くっ……効きませぬか。では……深淵に見舞え! シャル・D・セイバー!」
大きく身を引いた後、相手にねじ込むよう渾身の技を放つ。
Dの文字を刻みこむ必殺の剣技を、アニヒレーションズと併せて放つ。
「器用なやつだな。だがおめえ、剣の効かねえ相手に追加で剣を放つか?」
ベリアルはアルカサルの腕甲でアニヒレーションズを防いだまま、迫りくる次の
剣技を自らの拳で受け止める。
その拳部分には黒い竜の顔が浮かび上がっていた。
「これが……ベリアル殿の戦い方か。取り込んだものを巧みに使用する。
まさに魔の力だ……」
「安心しな、おめえを吸収するつもりはねえ。ただ、力の差を見せてやる。
死竜よ、その力を解放し己の一端を見せよ。【ゴクド・デ・ミエド】
拳に垣間見えた死竜の口が開き、クリムゾンはとっさに左へ回避するが、解き放たれた
ブレスが半身をかすめる。
正面にあった木々は粉々にちぎれて吹き飛び、跡形もなくなった。
「ぐっ……何という高濃度のブレス。これは……恐れ入りました。
その竜はドラゴントウマですな……」
「残念ながら中にいるパルームが力を貸しやがらねえ。くそ、もっと取り込んだ奴を連れてきてりゃ
色々できるってのによぉ……残念で仕方ないぜ」
「ベリアル殿の実力は十分にわかった。いいでしょう。幻魔界を少し、案内させてもらおう」
「それはいいがよ。少し腹が減った。何か食い物あるか?」
「ここではあいにく……茶屋なら十里程離れた場所にあるのでまずはそちらへ向かいますかな。
行くぞ、ジェネスト」
「私に命令しないでください。あなたを従えるのは私ですよ?」
「ふうん。何だお前ら。できてるわけじゃねえのか」
「何を言うのです! からかわないでください。深淵に見舞わせますよ!」
六指の剣を少し揺らめかせるジェネスト。
しかしまったく聞いていないベリアルは少しつまらなそうにしていた。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる