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第二章 仲間

間話 霊族の密談

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「ふうむ。なかなかの勢いで領域が拡張されていますな」
「絶対神とやらも聞いて呆れるね。どこが絶対なのか。こんな穴だらけの世界構築をしておいて……」
「不合理と不一致。それらを構築したのはわざとかもしれませんな」
「アメーダ。君はそう思うのか」
「はい、シカリー様。ゲンドールを宇宙膨張の要としたがゆえ、宇宙膨張の代わりに領域を
無数に構築させる力を世界にばらまく必要があった。
だが中身に関しては領域を構築するものへ委ね、それらを見守り楽しむ……神々の考えそうな事ですな」

 謎めいた装置が無数にある部屋で対談する二人。
 テーブルにはロブロードの駒があり、対戦しながら話している。

「この遊びも見守り楽しんだ結果の産物だと思うか?」
「いえこれは……どこぞの星の遊びを作り替えたものでしょうな。
争いと差別に満ちたゲンドールであれば、身分によって対等に戦えない仕組みができてしまいます。
しかしこの遊びは平等に法が決まっている。このような遊びは神でも、魔王でも考えはしませんな」
「その通りだ。これを作った人物に興味があるが……今は会う事叶わぬか」
「残念ながら。イネービュの息がかかっておりますな」
「そのイネービュは何をしているんだ?」
「そうですな……最近はその遊びに夢中と聞いておりますが、それ以外にどうも……地底の動きに
着手しているようですな」
「ああ。タルタロス、フェルドナーガの共闘反乱か。対神相手に何をするつもりなのかな」
「地上への進出かと思われますな。ソロモンを打ち立て地底の魔族を地上へ終結させるつもりでしょう。
当然攻略に時間はかかるでしょうな。何せあのソロモン塔ですからな」
「金字塔か。地上に出て何をするつもりか……どちらにしろ我々の干渉するところではない。
神も、人も、魔族も勝手な連中は放っておこう。
しかしゲンドールを破壊するような事は許さん」
「そうですな。我ら原初の霊族はどこにも属しませぬ。既に形骸化した存在である我々に
敵はありませぬ」
「人にあっては人なりて、魔にあっては魔を覗き、神にあっては先見据え、霊にあっては死を望む。
しかし、退屈であった世も、我らで楽しめる遊びを用意してくれた礼はしたいものだ」
「しかし霊族たる我々が新しい駒を手にいれるのもなかなかに骨がおれます。
少しイネービュめと交渉してみますかな?」
「悪くない案だ。事と次第によっては手助けしてやってもいいが……霊族のやつらは暴れたくて
仕方ないだろう。ゲンドールは今、広く荒れている。
無理もあるまい。悪しき考えの者たちで満ち溢れている。
我々方に属さない死霊や悪霊がいつ暴れ出してもおかしくはないからな。
いつぞやのオホマガツヒ、ヤソマガツヒのように……な」
「下位神が随分と暴れていたようですな。封印されたと聞きましたが?」
「片身だけだろう。タルタロスなら当然だ。だが……精々下位神を封印したところで
絶対神に歯向かうとは考えにくいが、一体何を考えているのやら。おっと、アメーダ。
今回も私の勝ちのようだぞ」
「……もう一度、お頼みもうしてよいですかな?」
「いいだろう。続けよう」

 二人はロブロードを行いつつ、話し合っていた。
 その領域はまるで、時がとまっているかのように、静けさで包まれていた。
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