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第二章 仲間
第五百八十九話 解放と介錯
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左塔最上部に登ったシーは、酷い光景を見た。
両手を縛り上げられ、吊るされた……モンスター化している見覚えのあるもの。
それは、もともと見覚えのある容姿でメナスを痛めつけていた張本人。
エルゲンだった。
なぜこいつがここに、このような形でいるのかわからない。
だが……予測はつく。こいつらを動かしていたのがあの偽王女か側近の誰かで
薬の出所がそこなら、いいように利用されていた可能性はある。
そして、その代償……褒美というべきか……結果がこれなのだろう。
「エプタはこれを知っていたのか……」
「エルゲン……」
「こいつ、メナスを苦しめていたやつよね。でもこれはあまりに……」
「もう、人じゃない……」
「ウグオオオオオオ! コロス、コロスコロス! オマエダ! ヲマエゴロズ!」
しばりつけられている手を振りほどこうと必死だが、びくりともしない。
その手からは魔力が吸い上げられ続けている。
以前対峙したときとは比較にならないほど強力な魔力を感じた。
「私が止めを、決着をつけようぞ……」
「ダメよ! 仮にも兄弟なんでしょう? そんなこと、絶対ダメよ!」
「どんな酷い仕打ちをしようと、兄を殺すなんて……そんな残酷なこと、させたくないわ」
「ツイン、お願いよ。どうにか、してあげて……」
「わかってる。介錯を……でも、それだけじゃ収まらないみたいだ。三人とも、封印にいてくれるか。
直接、見ない方がいい」
「コロス、コロスコロス! ヲマエゴロサセロ!」
魔力の供給源が経ちきれないからか、腕の形がどんどん変形していき、供給されている手とは
別の肩から腕が生える。捕縛された部分は伸び、移動できるほどになった。
もう、人とは呼べないグロテスクな形へと変貌したそれは、見るに堪えがたい生物へと変化していた。
「人をこんなおぞましい形にまで変化させるとは……ロキ、狂っている……あいつを野放しにするのは
あまりにも危険だ……封剣、剣戒。こいつを救うには、介錯してやるしかないのか……」
哀れとか、当然の報いという気持ちはない。
こいつは確かに性格が歪んでいた。
反省もしないやつだろう。
それでも人として最後を迎える権利はあるはずだ。
「行くぞ、エルゲン。俺は……お前が立ちはだかる敵だから倒す。
お前がモンスターだから倒すわけじゃない」
「コロス!」
肩から出た腕が伸び、俺を襲い始める。とっさにルーニーを展開し、
炎熱を纏わせるが、あまり効果が見受けられない。
その時だった。頭に児玉していた邪念のような言葉が、より深い声へと変わった。
クックック。ここはいい。実にでやすい場所だ。変われ。お前じゃそいつを殺せないだろう?
「く……そ……こんな時……に」
浅はかだった。ここは恐らく魔を吸い上げる仕組みがある。
こいつを刺激したことにより、こいつから得られる魔が少なくなり、俺をターゲットにした。
無意識的に魔を覗いてしまったのかもしれない。
クックック。安心しろよ。どうせここを破壊すれば元に戻る。
それにこいつはお前の手に余る。再生、進化能力が異常だ。
こういうのはな……能力として取り込むんだよ!
「我と汝、契約の儀に基づき行使せん。汝の血肉は我が武器の一部。
汝の持つべき憎しみを食らわん、行け、ラーヴァティン」
邪悪なオーラを帯びる剣が突如現れ、エルゲンへ深々と突き刺さる。
そのまま捕食するように、どんどんと剣の内側へ引きずり込まれていった。
「コロス、コロ……シ……たすかっ……メナ……」
「ふん。別に助けたつもりはねえ。お前の魂がいらねえだけだ。生まれ変わったら
少しはまともに生きやがるんだな。まぁおめえの地獄行は逃れられねえだろうから、せいぜい
反省してたっぷり味わうといいぜ。お前が与えた恐怖をな」
両手を縛り上げられ、吊るされた……モンスター化している見覚えのあるもの。
それは、もともと見覚えのある容姿でメナスを痛めつけていた張本人。
エルゲンだった。
なぜこいつがここに、このような形でいるのかわからない。
だが……予測はつく。こいつらを動かしていたのがあの偽王女か側近の誰かで
薬の出所がそこなら、いいように利用されていた可能性はある。
そして、その代償……褒美というべきか……結果がこれなのだろう。
「エプタはこれを知っていたのか……」
「エルゲン……」
「こいつ、メナスを苦しめていたやつよね。でもこれはあまりに……」
「もう、人じゃない……」
「ウグオオオオオオ! コロス、コロスコロス! オマエダ! ヲマエゴロズ!」
しばりつけられている手を振りほどこうと必死だが、びくりともしない。
その手からは魔力が吸い上げられ続けている。
以前対峙したときとは比較にならないほど強力な魔力を感じた。
「私が止めを、決着をつけようぞ……」
「ダメよ! 仮にも兄弟なんでしょう? そんなこと、絶対ダメよ!」
「どんな酷い仕打ちをしようと、兄を殺すなんて……そんな残酷なこと、させたくないわ」
「ツイン、お願いよ。どうにか、してあげて……」
「わかってる。介錯を……でも、それだけじゃ収まらないみたいだ。三人とも、封印にいてくれるか。
直接、見ない方がいい」
「コロス、コロスコロス! ヲマエゴロサセロ!」
魔力の供給源が経ちきれないからか、腕の形がどんどん変形していき、供給されている手とは
別の肩から腕が生える。捕縛された部分は伸び、移動できるほどになった。
もう、人とは呼べないグロテスクな形へと変貌したそれは、見るに堪えがたい生物へと変化していた。
「人をこんなおぞましい形にまで変化させるとは……ロキ、狂っている……あいつを野放しにするのは
あまりにも危険だ……封剣、剣戒。こいつを救うには、介錯してやるしかないのか……」
哀れとか、当然の報いという気持ちはない。
こいつは確かに性格が歪んでいた。
反省もしないやつだろう。
それでも人として最後を迎える権利はあるはずだ。
「行くぞ、エルゲン。俺は……お前が立ちはだかる敵だから倒す。
お前がモンスターだから倒すわけじゃない」
「コロス!」
肩から出た腕が伸び、俺を襲い始める。とっさにルーニーを展開し、
炎熱を纏わせるが、あまり効果が見受けられない。
その時だった。頭に児玉していた邪念のような言葉が、より深い声へと変わった。
クックック。ここはいい。実にでやすい場所だ。変われ。お前じゃそいつを殺せないだろう?
「く……そ……こんな時……に」
浅はかだった。ここは恐らく魔を吸い上げる仕組みがある。
こいつを刺激したことにより、こいつから得られる魔が少なくなり、俺をターゲットにした。
無意識的に魔を覗いてしまったのかもしれない。
クックック。安心しろよ。どうせここを破壊すれば元に戻る。
それにこいつはお前の手に余る。再生、進化能力が異常だ。
こういうのはな……能力として取り込むんだよ!
「我と汝、契約の儀に基づき行使せん。汝の血肉は我が武器の一部。
汝の持つべき憎しみを食らわん、行け、ラーヴァティン」
邪悪なオーラを帯びる剣が突如現れ、エルゲンへ深々と突き刺さる。
そのまま捕食するように、どんどんと剣の内側へ引きずり込まれていった。
「コロス、コロ……シ……たすかっ……メナ……」
「ふん。別に助けたつもりはねえ。お前の魂がいらねえだけだ。生まれ変わったら
少しはまともに生きやがるんだな。まぁおめえの地獄行は逃れられねえだろうから、せいぜい
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