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第二章 仲間
第五百八十五話 甘い考え
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「あんなのどうしろってんだ? 急ぎ避難を!」
「この中では一番俺が早い! ひきつける間に避難してくれ。老師! 先生やブネをお守りください!」
「お主……いいか。魔をそれ以上覗くのはよすんじゃ。今のお主にはまだ早い」
「ええ。ファニー、サニー、メナス。ついてきてくれ。レッジ、レッツェルイーニー、ドーニーは男爵を。
「俺も行くぜ、シー」
「ダメだ! お前はレナさんを守るんだろう? 早くいってやれ。あの城、真っすぐ南下している。
下町が危ないかもしれないんだ!」
「だったら尚更お前と行くべきだ。止められなきゃ、助かるとは思えないぜ」
「……わかったよ。あっちは酒場の女将さんを信じよう」
「わしたちはレニーちゃんたちが向かった方から脱出を図る。無茶するんじゃないぞい!」
「お願いします!」
ふざけたサイズのそれは、以前海底で戦ったゴーレムを遥かに凌ぐ。
高さよりも幅がやばい。七百メートル程はあるだろうか。こんなふざけた物、破壊できるはずがない。
「どうすんの、あれ? 私たちでどうにかなるとは思えないわ」
「ひとまず中に乗り込んでみる? 停止する方法があるかもしれないわよ」
「さっきの変態王女もどきが、旦那を狙ってるのは確かね。つまりこの城の狙いは旦那じゃなくて別ね……」
「あんた、変態王女もどきと城の狙いでうまいことかけたわね……」
「何を悠長に話していようぞ? 貴様たちに危機感はないのか!?」
「こいつらいっつもこんな感じだから。メナスもそのうちなれるよ。それより……ファニーの言う通り、中へ
入って動力源を探すのが手っ取り早いかもしれない。今のところ蹂躙しているだけで、攻撃してくる気配はない」
「潜入ね。手分けして探しましょう。ファニー、早く非行型モンスターに変身しなさいよ」
「はぁ? できないわよ、そんなの」
「使えないわね……それでもメタモルフォーゼ強化したわけ?」
「お、おい。ここで喧嘩してる場合か! コウテイとアデリーを出してある。ファニーは俺の封印内でいい。
それに……あいつ、ファニーを知っているようだった。少々気がかりなんだよ」
「え? そんなこと言ってた?」
「……ああ。あいつが神だとするなら、神兵絡みでしっていてもおかしくない。以前イネービュがわずかに
ロキの名前を語っていたことがある。そういえばファナの過去については一度もまだ触れていなかったな」
「……今度。今度、ちゃんと話すから……」
「別にいいよ。さぁ行くぞ!」
全員でコウテイとアデリーに乗り、巨大な動く城へと向かう。
あらゆる障害物をなぎ倒していくその様は、まるでデスウォール……迫る壁のようだった。
「一体どうやったらあんなもの、動かせるわけ? 妖魔の国だってあんなこと、起こったことないわよ」
「この国は魔術が盛んな国だ。魔力を強く持つ何か……例えば玉のような物があるんじゃないか?
それこそ、闇のオーブとかな」
「そっか! それじゃその闇のオーブを探して手に入れちゃえばいいんじゃない!?」
「どうかな。そううまくいくとも思えない。本物の王女が見つかってくれてるといいんだが……あっちにレニーを行かせてあるし、うまくやってくれると思う」
と、突然正面に何者かが現れる。よくみたら……エプタだった。
「おい、ちょっと待て。あの城の中はやばいぜ」
「エプタ? お前今までどこに……」
「うるせえな。どこでもいいだろ? それよりあん中行くつもりか? 死ぬぞ」
「どういう意味だ」
「あの中は三つのプロテクションで構成されてる。場所は左の塔、右の塔、中央塔。
それぞれに強力な魔術使いがいる。全員殺すか魔力の供給を絶たない限り、海まで押し出す形で動き続けるだろう」
「つまりそいつらを全員倒せば……」
「倒す? そんな甘い方法でどうにかなると思ってるのか?」
「殺すか、魔力を絶つ。魔力を絶てば反動でそいつは死ぬ。結果で言えば全員殺せってことだ」
「……」
「お前みたいな甘っちょろいやつに、殺せるのか?」
「わからない。でもできれば殺さずに解決する方法を模索したい」
「はっ! だから甘っちょろいって言うんだよ。この城が止まらなきゃ、何人くたばると思ってるんだ?
それによ。海にこんなでかいもの放り込んでみろ。海底にいい迷惑だと思わねーか?」
「だからって、どんな奴かもわからない者を簡単に殺すなどと言えるのか?」
「言えるだろ。そいつを殺せるとして、殺さずにおいて、何千、何万のむ関係者が死ぬ。
それはお前のせいだろ? 違うか? 俺は別に人間なんざさっさと死ねばいいと思ってるけどよ。
お前は違うんだろ?」
「だから俺は! どっちも救う方法を考えるんだよ!」
「けっ。言ってろよ甘ちゃんが。その中にはブネの中にあるお前の大切な命だって含まれてるんだろうが!」
「っ! エプタ、お前!」
「ここでお前とやりあうつもりも、暇もねえな。俺は殺しに行く。甘いお前らは、死にたくねーなら帰るんだな」
「くっ……」
そう告げると、エプタは先に右の塔へ向かっていった。
くそ……言いたいことばかりいいやがって。俺だって……俺だって!
「守るべき最大の存在くらい、わかってんだよ! お前に言われなくても、痛いほどに!
だけどあいつは俺がそんなことしたら、怒って悲しい顔するに、きまってるじゃないか……」
「ああ、ツイン……ごめんね。私たちじゃ、メルザのようにはいかないの……」
「あいつ、好き放題言って! 旦那の気持ちもしらないで!」
「ここで引き返すわけにはいかぬぞ。我々もゆこうぞ。今この国を救えるかもしれぬのは、我々だけぞ……」
「ああ。行こう! エプタが右の塔に行った。それならまず、左の塔を目指そう」
「この中では一番俺が早い! ひきつける間に避難してくれ。老師! 先生やブネをお守りください!」
「お主……いいか。魔をそれ以上覗くのはよすんじゃ。今のお主にはまだ早い」
「ええ。ファニー、サニー、メナス。ついてきてくれ。レッジ、レッツェルイーニー、ドーニーは男爵を。
「俺も行くぜ、シー」
「ダメだ! お前はレナさんを守るんだろう? 早くいってやれ。あの城、真っすぐ南下している。
下町が危ないかもしれないんだ!」
「だったら尚更お前と行くべきだ。止められなきゃ、助かるとは思えないぜ」
「……わかったよ。あっちは酒場の女将さんを信じよう」
「わしたちはレニーちゃんたちが向かった方から脱出を図る。無茶するんじゃないぞい!」
「お願いします!」
ふざけたサイズのそれは、以前海底で戦ったゴーレムを遥かに凌ぐ。
高さよりも幅がやばい。七百メートル程はあるだろうか。こんなふざけた物、破壊できるはずがない。
「どうすんの、あれ? 私たちでどうにかなるとは思えないわ」
「ひとまず中に乗り込んでみる? 停止する方法があるかもしれないわよ」
「さっきの変態王女もどきが、旦那を狙ってるのは確かね。つまりこの城の狙いは旦那じゃなくて別ね……」
「あんた、変態王女もどきと城の狙いでうまいことかけたわね……」
「何を悠長に話していようぞ? 貴様たちに危機感はないのか!?」
「こいつらいっつもこんな感じだから。メナスもそのうちなれるよ。それより……ファニーの言う通り、中へ
入って動力源を探すのが手っ取り早いかもしれない。今のところ蹂躙しているだけで、攻撃してくる気配はない」
「潜入ね。手分けして探しましょう。ファニー、早く非行型モンスターに変身しなさいよ」
「はぁ? できないわよ、そんなの」
「使えないわね……それでもメタモルフォーゼ強化したわけ?」
「お、おい。ここで喧嘩してる場合か! コウテイとアデリーを出してある。ファニーは俺の封印内でいい。
それに……あいつ、ファニーを知っているようだった。少々気がかりなんだよ」
「え? そんなこと言ってた?」
「……ああ。あいつが神だとするなら、神兵絡みでしっていてもおかしくない。以前イネービュがわずかに
ロキの名前を語っていたことがある。そういえばファナの過去については一度もまだ触れていなかったな」
「……今度。今度、ちゃんと話すから……」
「別にいいよ。さぁ行くぞ!」
全員でコウテイとアデリーに乗り、巨大な動く城へと向かう。
あらゆる障害物をなぎ倒していくその様は、まるでデスウォール……迫る壁のようだった。
「一体どうやったらあんなもの、動かせるわけ? 妖魔の国だってあんなこと、起こったことないわよ」
「この国は魔術が盛んな国だ。魔力を強く持つ何か……例えば玉のような物があるんじゃないか?
それこそ、闇のオーブとかな」
「そっか! それじゃその闇のオーブを探して手に入れちゃえばいいんじゃない!?」
「どうかな。そううまくいくとも思えない。本物の王女が見つかってくれてるといいんだが……あっちにレニーを行かせてあるし、うまくやってくれると思う」
と、突然正面に何者かが現れる。よくみたら……エプタだった。
「おい、ちょっと待て。あの城の中はやばいぜ」
「エプタ? お前今までどこに……」
「うるせえな。どこでもいいだろ? それよりあん中行くつもりか? 死ぬぞ」
「どういう意味だ」
「あの中は三つのプロテクションで構成されてる。場所は左の塔、右の塔、中央塔。
それぞれに強力な魔術使いがいる。全員殺すか魔力の供給を絶たない限り、海まで押し出す形で動き続けるだろう」
「つまりそいつらを全員倒せば……」
「倒す? そんな甘い方法でどうにかなると思ってるのか?」
「殺すか、魔力を絶つ。魔力を絶てば反動でそいつは死ぬ。結果で言えば全員殺せってことだ」
「……」
「お前みたいな甘っちょろいやつに、殺せるのか?」
「わからない。でもできれば殺さずに解決する方法を模索したい」
「はっ! だから甘っちょろいって言うんだよ。この城が止まらなきゃ、何人くたばると思ってるんだ?
それによ。海にこんなでかいもの放り込んでみろ。海底にいい迷惑だと思わねーか?」
「だからって、どんな奴かもわからない者を簡単に殺すなどと言えるのか?」
「言えるだろ。そいつを殺せるとして、殺さずにおいて、何千、何万のむ関係者が死ぬ。
それはお前のせいだろ? 違うか? 俺は別に人間なんざさっさと死ねばいいと思ってるけどよ。
お前は違うんだろ?」
「だから俺は! どっちも救う方法を考えるんだよ!」
「けっ。言ってろよ甘ちゃんが。その中にはブネの中にあるお前の大切な命だって含まれてるんだろうが!」
「っ! エプタ、お前!」
「ここでお前とやりあうつもりも、暇もねえな。俺は殺しに行く。甘いお前らは、死にたくねーなら帰るんだな」
「くっ……」
そう告げると、エプタは先に右の塔へ向かっていった。
くそ……言いたいことばかりいいやがって。俺だって……俺だって!
「守るべき最大の存在くらい、わかってんだよ! お前に言われなくても、痛いほどに!
だけどあいつは俺がそんなことしたら、怒って悲しい顔するに、きまってるじゃないか……」
「ああ、ツイン……ごめんね。私たちじゃ、メルザのようにはいかないの……」
「あいつ、好き放題言って! 旦那の気持ちもしらないで!」
「ここで引き返すわけにはいかぬぞ。我々もゆこうぞ。今この国を救えるかもしれぬのは、我々だけぞ……」
「ああ。行こう! エプタが右の塔に行った。それならまず、左の塔を目指そう」
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