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第二章 仲間
第五百七十一話 国を守るは意思そのもの
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「ここ……は」
「目を覚ましたか、コーネリウス。今は、動かない方がいい」
「私は……ここはどこだ。何を……うぐっ」
「コーネル様……よかった……」
ここは伯爵邸客間。コーネリウスを助ける事を条件に、俺たちはバンドール伯爵に、正式に客として
迎えられた。
愚かな男だが、コーネリウスを失う事をとても恐れていた。
無理もない。世継ぎとして残っている子供は、コーネリウスただ一人だけ。
結局犯人はコーネリウスを男にしようとしていたバンドールで間違いなかった。
しかしそのバンドールに薬を渡したのは、コーネリウス取り巻きの一人、フィルミナ。
取り急ぎ行方を追わせている。
そして、エルゲンもまた内通しているものである可能性が高い事を告げると、こちらも急ぎ呼び出しを
行った。
フィルミナの渡した薬の入手先などが気になるところだが……こいつ自身が騙されていたという可能性もある。
薬はエプタが入手してきたものだが、その後の処置は先生がしてくれた。
先生だけではどうにもならなかったという話だ。それほどに恐ろしい薬だったのだろう。
エプタやブネに言わせれば、グールパウダーより遥かに神を冒涜するのが性別変換薬らしい。
「私は助けられたのか。依頼主がこのざまでは、示しがつかないな。
それにビー、シー。君たち二人がこちらへいるということは、失敗に終わったか……」
「人払いが済んだら話すつもりだった。すまない……あれから日がたった。サーカス団を呼んで
王女をもてなす手筈になっているようで、俺たちはその場へ向かう予定だったんだ」
「詳しく聞きたい。人払いを頼めるか? 最初のメンバー、エー、ビー、シー。
君たち三人だけにしてくれないか? メナスも見当たらないようだし」
「彼女は……傷ついて、寝ているよ。先生が見てくれている」
「そうか……」
伯爵を含め人払いをすませると、これまでの事を話す。
ずっと天井を見ているコーネリウスは、どこか夢うつつのようだった。
「にわかには信じたくない話だ……。オズワル伯爵は私の憧れの人だった。
あれほど勇ましい戦士は二度と現れないだろう。この国は……滅ぶ運命にあるのかもしれない」
それを聞いて俺たちは首を横に振る。
「国ってのはさ……」
「人の意思……だったな」
「そうであります。自分もシーからそう聞いたであります!」
「オズワル伯爵がどれほど凄い人であろうと。本質的に国を守るのは人々の意思だ。
意思が折れなければ国は永劫続く。諦めるな。事態は最悪かもしれない……けれど終わったわけじゃない。
俺たちが力を合わせ、どうにかしよう!」
「だが……恐らく王女は、ミレーユはもう……」
「もう一度言うぞコーネリウス。俺たちはお前を諦めなかった。そのお前が王女を諦めてどうする! 諦めるな!」
「っ! ……その通りだ。死んでいれば楽。だがそれは逃げ道だとわかっている。こんな私に君たちはまだ
協力してくれるというのか」
「俺たちは、トループだぜ。いつでも国への熱い思いを忘れずに」
「戦場には身分も差別も、ルールすらもない。あるのは強さのみ……であります!」
『お前が俺たちに協力しろ! 共に戦え!』
「目を覚ましたか、コーネリウス。今は、動かない方がいい」
「私は……ここはどこだ。何を……うぐっ」
「コーネル様……よかった……」
ここは伯爵邸客間。コーネリウスを助ける事を条件に、俺たちはバンドール伯爵に、正式に客として
迎えられた。
愚かな男だが、コーネリウスを失う事をとても恐れていた。
無理もない。世継ぎとして残っている子供は、コーネリウスただ一人だけ。
結局犯人はコーネリウスを男にしようとしていたバンドールで間違いなかった。
しかしそのバンドールに薬を渡したのは、コーネリウス取り巻きの一人、フィルミナ。
取り急ぎ行方を追わせている。
そして、エルゲンもまた内通しているものである可能性が高い事を告げると、こちらも急ぎ呼び出しを
行った。
フィルミナの渡した薬の入手先などが気になるところだが……こいつ自身が騙されていたという可能性もある。
薬はエプタが入手してきたものだが、その後の処置は先生がしてくれた。
先生だけではどうにもならなかったという話だ。それほどに恐ろしい薬だったのだろう。
エプタやブネに言わせれば、グールパウダーより遥かに神を冒涜するのが性別変換薬らしい。
「私は助けられたのか。依頼主がこのざまでは、示しがつかないな。
それにビー、シー。君たち二人がこちらへいるということは、失敗に終わったか……」
「人払いが済んだら話すつもりだった。すまない……あれから日がたった。サーカス団を呼んで
王女をもてなす手筈になっているようで、俺たちはその場へ向かう予定だったんだ」
「詳しく聞きたい。人払いを頼めるか? 最初のメンバー、エー、ビー、シー。
君たち三人だけにしてくれないか? メナスも見当たらないようだし」
「彼女は……傷ついて、寝ているよ。先生が見てくれている」
「そうか……」
伯爵を含め人払いをすませると、これまでの事を話す。
ずっと天井を見ているコーネリウスは、どこか夢うつつのようだった。
「にわかには信じたくない話だ……。オズワル伯爵は私の憧れの人だった。
あれほど勇ましい戦士は二度と現れないだろう。この国は……滅ぶ運命にあるのかもしれない」
それを聞いて俺たちは首を横に振る。
「国ってのはさ……」
「人の意思……だったな」
「そうであります。自分もシーからそう聞いたであります!」
「オズワル伯爵がどれほど凄い人であろうと。本質的に国を守るのは人々の意思だ。
意思が折れなければ国は永劫続く。諦めるな。事態は最悪かもしれない……けれど終わったわけじゃない。
俺たちが力を合わせ、どうにかしよう!」
「だが……恐らく王女は、ミレーユはもう……」
「もう一度言うぞコーネリウス。俺たちはお前を諦めなかった。そのお前が王女を諦めてどうする! 諦めるな!」
「っ! ……その通りだ。死んでいれば楽。だがそれは逃げ道だとわかっている。こんな私に君たちはまだ
協力してくれるというのか」
「俺たちは、トループだぜ。いつでも国への熱い思いを忘れずに」
「戦場には身分も差別も、ルールすらもない。あるのは強さのみ……であります!」
『お前が俺たちに協力しろ! 共に戦え!』
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