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第二章 仲間

第五百六十六話 迫り来るコーネリウス

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 二人に案内され、屋敷の中へ入る。豪邸過ぎる程の豪邸だ。
 しかも地下まであるらしく、一階に下り階段が見える。
 しかも驚くべき事に、向かう先は地下だ。

 壁に設置された何かが、青白い光を発していく。
 装飾された階段はどれも美しく輝いて見える。

 そして、この屋敷に入ってからは、自分の歩く音すら聞こえない。
 何かしらの仕掛けが施されているのだろう。
 
「こちらです。気性はご存じかと思いますが、荒れていますので、お気をつけください」
「コーネリウス様。お仕事のご報告があるという方をお連れしました。どうか心安らかに……」

 そう言い放った瞬間、ゴードン、イライザ共に地面へべしゃりと潰れるような姿勢をとる。
 重力魔術……しかも制御など全くしていない。殺すつもりの威力だというのが見て取れた。
 急ぎ扉を開き落ち着かせなければ! 

「な……ぜ。コーネリウス……様……」
「うぐっ……」
「よせ! コーネリウス! やめろ! 殺すつもりか!」

 扉を開けよう……にも開かない。
 苦しそうな二人に念のため断りを入れて扉へ蹴りを入れるが、それでも開かない。
 
 ビーと二人で勢いをつけて扉をぶち破った。
 中は言葉に出来ない程ズタズタのボロボロ。地面は抉れ、その中央にコーネリウスはいた。

「はぁ……はぁ……殺して……やる」
「落ち着けコーネリウス! 魔術を止めろ!」
「俺たちがわかるか? おい! しっかりしろ!」

 目からは正気が失われているように見える。頬はやつれ、衣服も乱れたまま。
 怒りを通り越しているかのようだ。

「誰……だ……お前たちなど、知らない」
「おい、しっかりしろ! ……これは、何か薬物でももられたのか?」
「俺が取り押さえる! ビーはゴードンさんたちを頼む!」
「わかった! 気をつけろよ。あの時とは違い、本気で殺しにくるはずだ!」

 かなり広めの部屋の中央に立つコーネリウスは、ボロボロの体のままだらんと手を下に下げ
 こちらを睨むように見ている。
 一体ここで何があったんだ……できれば傷つけたくはないが、まずは気絶させなければ
いけないか……。

「それ以上近づけば殺す」
「それは困るな。コーネリウスの依頼を達成できなくなる」
「族が。戯言をぬかすな。私はこれから……これから何をしようとしていた? 何を……」
「今はコーネリウスと俺だけか……封剣! 剣戒! ……といっても直接
斬るわけにはいかない。峰打ち狙いだな」
「雄大なる魔の世界より這い出て力となれ。
その身を持ち汝の宿敵を打て
汝の求むるは我が血肉。出でよ、ハイエンドリッチ」

 自らの手首を切り、血肉を地面に落としながら魔術を詠唱した。
 虚ろな髑髏の目が怪しく光を発している。

「ハイエンドリッチー。こんなものまで召喚出来るのか。いや、ここはシフティス大陸。
伯爵の子ならこれくらいしてのけて当然か……」

 だが召喚したコーネリウスの顔色は益々悪くなっている。
 もしかするとエビルイントシケートの影響か!? 
 
「ハイエンドリッチー一体相手なら!」

 一気にケリをつけるべく突撃する。
 しかし急激に体が重くなり、片手で状態を逸らしながらの攻撃態勢となる。

 追撃で重力魔術。さらに召喚されたハイエンドリッチーが攻撃態勢に入る。
 
「赤閃!」
「ククク。無駄ナ足搔キヲ。滅ビルガイイ! フレイムデス」

 黒色の炎をこちらへ飛ばしてくるが、回避は難しくない。
 重力をこちらへぶつけてくるコーネリウスの方がはるかに危険だ。
 今更ハイエンドリッチーにてこずるわけにはいかない。

「悪いがそれ、見た事あるんだ。そして……サルバシオン救罪の剣 !」

 

【求】の文字を刻みながら、ハイエンドリッチーは光に包まれていく。
「グオオオ。貴様、ナニモノダ……我ヲタヤスク……」
「一度戦った相手なんでね。それにお前に構ってる暇は無い! っ妖楼」

 ハイエンドリッチーをしとめながらも、髪を振り払いながら両手を下げたコーネリウスが
 斬りつけてきた。
 すぐさま回避するが、動きは全く止まらない。
 自らの周りを軽くしているのか、動きも目視出来ない程早い。ターゲットがなければ何発か
もらっているほどだ。
 そして……パチーンという音が鳴りとっさに目を瞑る。
 すると辺り一面が光に包まれた。ビーの閃光弾。いいタイミングだ。
 俺へ重力を向けたので、あちらの重力は解けたのだろう。
 
「ふう。フェルドナージュ様にお会いしておいて本当によかったよ。もともとお前の所有物。
権利を再び俺に返してくれるとは思って無かった。でも、これ以上にしっくりくる暗器、他にないんだ」
「目が、目が! くそ、死ねぇーー!」
「ラーンの捕縛網、放出」
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