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第二章 仲間

第五百六十三話 急ぎ二十三領区へ

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 ビーたちの許へ戻ると、急ぎ馬車へメナスを入れる。
 すぐさまファンーとサニーも馬車へ出し、介抱してもらう。

「酷い! ドロドロであちこち傷だらけじゃない! 許せないわ! なんでこんなこと」
「女にする仕打ちとは思えないわ。外道がいるわね。ツイン! 当然叩きのめしてきたんでしょうね!」
「いや。騒ぎを起こすことがメナスのためになると思うか?」
「でも!」
「一刻も早くここから立ち去る事が、メナスのためだろう。あんな汚いやつ、殴る価値も
無いと思う」
「同感だ。顔を見るだけでいらつかされたのは久しぶりだぜ」
「あんまりよ。この子が何をしたっていうの。足首、これ、折れてるわ……」
「姉さんやお医者さんはいないのかい?」
「今は、別行動中なんだ。すまない……俺がへまして捕まらなければ、メナスを苦しませる
事にはならなかったのに!」
「あの状況、下手すれば命を失っていたのかもしれないんだ。自分を責めるな、シー」

 泣き崩れるメナスを必死に支えるファニーとサニー。泣いているのは悲しいんじゃない。
 嬉しいのだろう。
 ジェイクに合図を送り、馬車を動かさせる。
 エルゲンは気絶させ茂みに置いてきた。あいつも青いコインを見たからには
下手な事は出来ないと思いたいが……起きれば恐らく烈火のごとく怒り、襲ってくるだろう。
 そうなる前にさっさと二十三領区に行ってしまいたい。

「シー。こっちへ来て。メナスのお願い、聞いてくれる?」
「私たちも賛成。あなたの中でなら、もうこの子は苦しまなくて済むのよ。お願い」
「もう、怯えながら、さげすまされながら生きるのは嫌、嫌。断るなら、殺して。お願いぞ……」
「……わかったよ。一緒に、生きよう」

 メナスを封印すると、封印の中でとても安心し、安らいだ顔へ変わって意識を失っていた。
 ファニーとサニーも封印へ戻す。イーニーとドーニーも一度封印へと戻った。

「おいおい、あの大鎧も封印者なのか。てっきり人型は女性だけだと思ったぜ」
「いいや、様々な者がいるよ。骨とか」
「骨? アンデッドか?」
「レウスさんていう面白いおじさんだ……」
「……きっと、色々あったんだな」
「そうだな。色々あったが皆、仲間だよ」
「……やっぱり俺も……今はそれどころじゃないか。定員もありそうだし」
「すまないな。メナスの状況があれほど酷いとは思わなくて」
「いや、いいさ。その方がメナスも安全だろう。だが……俺も行けばよかったな。
あいつの顔面を二、三発は小突いてやりたかったよ」
「そのチャンスはまた来るさ。あいつのあの目。誰かに従い行動するような玉じゃない。
きっとまた会うだろう」
「お二人さん。二十三領区前についたじゃん。これからどうするじゃん? 
普通に通してもらえるかわからないじゃん?」
「おや、サーカス団の方かな。まだ男爵より通行の許可が下りていないのだが、急ぎかな?」
「ええ。こちらを……」
「これはコーネリウス殿の? これは失礼した。直ぐにお通ししよう」
「コーネリウス殿は現在どちらに?」
「なんでも結婚志願者がたまりすぎているので、全て相手をしろと領事館へ詰められたようだ。
コーネリウス殿もいつまでも遊んではいられないだろうな」
「そちらへお医者様がいらっしゃいませんでしたか? 我々の知り合いなのですが」
「ああ、確か一緒に連れてこられていた……客人として丁重に扱われているはずだ。
この領区から出さないようには言われているがな。早くコーネリウス殿の許へ向かうといい」
「ありがとうございます」

 二十三領区に入ると、見慣れた景色が目につく。
 それなりに情報を得ることができたが、ここの領主が住む場所へは行っていない。
 場所は聞いたがかなり広い領区のようだ。

「数日前だというのに、酷く懐かしく感じるな」
「そうだな。エーは大丈夫か心配だ」
「あちらにはしっかり者と、とんでもない能力者をつけてある。大丈夫だろう。
不安材料もいるけど」

 揺れる馬車で進む俺たち。今日は馬車内で交代しながら一泊だろう。
 エーたちは一体どう動いて、今どこにいるのだろうか。

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