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第二章 仲間
第五百六十話 十八領区へ。お前ならきっとできる
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イーグルサーカス団はゆったりと進行。サーカス団の知らせは受けており、八領区内を進行。
八領区トループにも大盛り上がりだった。
特にファニーとサニー、レッツェルは注目を集める。
「ここのトループは荒くれが多いじゃんよ。少しは一領区を見習ってほしいじゃん!」
「彼に無理やり腕相撲に絡まれたと聞いたぞ?」
「うぐっ。あれはたまたまゴンザレスが暴れたかっただけじゃんよ」
「そーいうのを荒くれって言うんでしょ! もう」
八領区もなんなく通過でき、十八領区手前の検問を受ける。こちらも通達が入っているようで、簡単
な荷物検査を終えると、中へ入れてもらった。
ただしここからしばらくは、術の詠唱などを禁止。
本番まで恰好はサーカス団としてわかるようにそのままでよいが、サーカス行動は行わないよう
指摘を受ける。
第十八領区を収めるのはアウグスト・ラトゥーリア・シルベンという人物らしい。
その町並みは、断固たる処置を行う厳しさがみえる。というのも、景観を保つためだろう。
屋根の形や色、道の色などを全て統一してある。屋根は茶色。壁の色は暖味のある茶色で
シンプルな作りだ。
道もかくかくしており、少し走り辛い。つまり規律を重んじて厳しく歩くように設定されている。
土と砂利を敷き詰めてあり、確かに赴きはあるのだが、決して走り良い道とはいえない。
まるで昔の日本の道のようだった。馬車にはこちらの方が走りやすいのだろう。
十二領区もそうだが、やはり町並みは統治者の性格がよくみえる。
メナスがここにいるのなら、一筋縄ではいかないだろう。
「領主の住まう場所まではどのくらいかかる?」
「そんなにかからないはずだ。この区画、息が詰まりそうだ。景色が常に一緒だぞ」
「ああ。理路整然とされてはいるが、美しいとは言い難いな。独裁者の傾向にある造りだ……ここには
自由な発想も、行動も存在しないだろう」
「そうだな……」
ビーは少し物思いにふけると、外の景色を再度見る。
ファニーとサニーも今は馬車の中におり、つまらなそうに外を見ていた。
「二人とも、暫くは中で休むか?」
「いいの? そうするね!」
「私もそうさせてもらおうかな。それじゃ」
「へ?」
俺へと封印されるファニーとサニーを見て、茫然とするビー。
おかしいな。ベニーが俺から出るのを見ていたはずだけど。
「……もしかして奥さん全員出し入れ可能なのか?」
「いや、一人だけは出来ない。後は全員出来るかな。なんか寝心地が最高らしい」
「まじかよ。ますます入ってみたくなるじゃないか」
「だからダメだって。レナさんだったか? の事も片付いていないんだろ?」
「うっ……それは、その……まだケジメがついていないんだ。あの子の気持ちはわかったつもりだけど」
「今回も同行させなかったしな。酒場の女将がしっかりと見ていてくれるとの事だったけど。
レナさんは一緒について行きたがっていた」
「ダメだ! もうあの子を危険な目に、合わせたくないんだよ……」
「それはわかる。身を挺して守っても、守る側が死ねば守られた者も死ぬかもしれない」
「そうだろ? だから俺は……」
「だから大切に思う人が生きていて、自分が死んでも安全であればそれでいい。
俺もそう思っていた。けれど、俺が死んだと思ったあいつは、一度壊れてしまったらしい。
あの子のあの時の目は……大切なあいつに似ていた。恐らくあの子は理解を……」
「シー、それ以上は……言わないでくれ。俺には……資格がないんだ。資格が……」
「すまない。一つだけ言わせてくれ。俺はお前に彼女が出来るように動く。
結ばれたいと呟いたあの日。お前と行動をするようになったあの日から。俺の答えは変わらないよ」
ビーがすっと顔を上げて俺を見る。
迷う事なく告げてやった。
「お前ならきっとできるさ」
八領区トループにも大盛り上がりだった。
特にファニーとサニー、レッツェルは注目を集める。
「ここのトループは荒くれが多いじゃんよ。少しは一領区を見習ってほしいじゃん!」
「彼に無理やり腕相撲に絡まれたと聞いたぞ?」
「うぐっ。あれはたまたまゴンザレスが暴れたかっただけじゃんよ」
「そーいうのを荒くれって言うんでしょ! もう」
八領区もなんなく通過でき、十八領区手前の検問を受ける。こちらも通達が入っているようで、簡単
な荷物検査を終えると、中へ入れてもらった。
ただしここからしばらくは、術の詠唱などを禁止。
本番まで恰好はサーカス団としてわかるようにそのままでよいが、サーカス行動は行わないよう
指摘を受ける。
第十八領区を収めるのはアウグスト・ラトゥーリア・シルベンという人物らしい。
その町並みは、断固たる処置を行う厳しさがみえる。というのも、景観を保つためだろう。
屋根の形や色、道の色などを全て統一してある。屋根は茶色。壁の色は暖味のある茶色で
シンプルな作りだ。
道もかくかくしており、少し走り辛い。つまり規律を重んじて厳しく歩くように設定されている。
土と砂利を敷き詰めてあり、確かに赴きはあるのだが、決して走り良い道とはいえない。
まるで昔の日本の道のようだった。馬車にはこちらの方が走りやすいのだろう。
十二領区もそうだが、やはり町並みは統治者の性格がよくみえる。
メナスがここにいるのなら、一筋縄ではいかないだろう。
「領主の住まう場所まではどのくらいかかる?」
「そんなにかからないはずだ。この区画、息が詰まりそうだ。景色が常に一緒だぞ」
「ああ。理路整然とされてはいるが、美しいとは言い難いな。独裁者の傾向にある造りだ……ここには
自由な発想も、行動も存在しないだろう」
「そうだな……」
ビーは少し物思いにふけると、外の景色を再度見る。
ファニーとサニーも今は馬車の中におり、つまらなそうに外を見ていた。
「二人とも、暫くは中で休むか?」
「いいの? そうするね!」
「私もそうさせてもらおうかな。それじゃ」
「へ?」
俺へと封印されるファニーとサニーを見て、茫然とするビー。
おかしいな。ベニーが俺から出るのを見ていたはずだけど。
「……もしかして奥さん全員出し入れ可能なのか?」
「いや、一人だけは出来ない。後は全員出来るかな。なんか寝心地が最高らしい」
「まじかよ。ますます入ってみたくなるじゃないか」
「だからダメだって。レナさんだったか? の事も片付いていないんだろ?」
「うっ……それは、その……まだケジメがついていないんだ。あの子の気持ちはわかったつもりだけど」
「今回も同行させなかったしな。酒場の女将がしっかりと見ていてくれるとの事だったけど。
レナさんは一緒について行きたがっていた」
「ダメだ! もうあの子を危険な目に、合わせたくないんだよ……」
「それはわかる。身を挺して守っても、守る側が死ねば守られた者も死ぬかもしれない」
「そうだろ? だから俺は……」
「だから大切に思う人が生きていて、自分が死んでも安全であればそれでいい。
俺もそう思っていた。けれど、俺が死んだと思ったあいつは、一度壊れてしまったらしい。
あの子のあの時の目は……大切なあいつに似ていた。恐らくあの子は理解を……」
「シー、それ以上は……言わないでくれ。俺には……資格がないんだ。資格が……」
「すまない。一つだけ言わせてくれ。俺はお前に彼女が出来るように動く。
結ばれたいと呟いたあの日。お前と行動をするようになったあの日から。俺の答えは変わらないよ」
ビーがすっと顔を上げて俺を見る。
迷う事なく告げてやった。
「お前ならきっとできるさ」
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