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第二章 仲間

第五百五十六話 サーカス団イーグル

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 酒場にて、全員に一連の話をすると、酒場の女将の表情がとてつもなく険しくなる。
 英雄オズワルの死を聞けば当然の反応だろう。なるべく口外しないようにだけ伝えておいた。
 そして、ビーは床の傷跡を一つずつ数えている素振りを見せる。相変わらずまだ、レナを直視できていない。
 思いは告げられたのだろうか? 聞くのは野暮なので聞かないが……。
 
「このままだと、この国はまずいね。いよいよ店じまいかもしれない」
「そんなにか? たった一人の伯爵が亡くなっただけでか?」
「伯爵がいたからこそ、他国はこの国へ侵略していなかったのさ。
何せこの国は資源が豊富な上、他国から嫌われていてね。幾度も戦争をしてるのさ。
今は大分落ち着いてるけどね」
「それほどの実力者が……一応そちらへはベニーが調査に向かってる。パモと、恐らくター君もだ」
「ター君ってのは何なんだ?」
「俺の仲間モンスター。ターフスキアーって種族の」
「シャドウモンスターのか? あれは相当厄介なモンスターだろう。そんなのも仲間にできるのか」
「妖魔ならではってところだけど、それは説明したろ?」
「あ、ああ。未だに信じられないけど。いいなぁ……俺もそういう仲間が欲しいぜ」
「確かにいい能力だが、死ねば消滅してしまう。人と変わらないんだ。だから心配でさ……それより
今後の話だ。サーカス団がここへ来てるって話だけど、知らないか?」
「噂にはなってるようだけど、詳しくは知らないね」
「そうか。俺たちの仲間が調べてる最中なんだ。もう結構な時間だな……そろそろ来るか?」
「あっ! 看板返してない! 返してくるね!」
「もしかして俺たち、閉まってるときに堂々と入ってきちゃった?」
「何言ってんだい。この子たちの旦那なら、関係者のようなもんだ。気にしなくていいよ」
「それは助かる。エーたちが戻っていない以上、ここを連絡口にするしかないからな」

 そう話していると、サニーが二人の客を連れてくる。レッジとレッツェルだった。

「この人たちでしょ? 入り口で待ってたわ」
「二人とも! すまない。先に来ていた」
「いや、こちらも少々早く調べがついたんだ。それで――――」
「それにしてもまーーーた可愛い子ひっかけてきたわ! 今度はどんな助け方をしたわけ?」
「はい?」
「随分と細い子ね。肉付きは確かに主ちゃんに似てるけど……ふふん。これなら私の勝ちだわ!」
「なんか、大変そうだな……シーは」
「ああ……話を進めていいかな。俺たちの調べでは、宿屋じゃなく、サーカス小屋を建てて寝泊まりしている
ようだ。小道具が多いみたいで宿屋に入れないらしい」
「その小屋はどこに?」
「下町の入り口付近だ。人の出入りが多いところのほうが、サーカス団が来てるってわかるからだろうな」
「イーグルサーカス団。とても面白そうな芸が見れそうよ」
「しかし、少しおかしな張り紙も見たな。団員募集中ってのはわかるんだが……ゆく先々で
探しているのだろうか」
「どんな内容だったんだ?」
「直接見てみるといい。俺たちでは該当しないかもしれないが、頼み込んでみるしかないだろう」
「うまく潜り込めればいいんだけどね……」
「サーカスなら、ファニーやサニーがいるから、募集があるなら採用は容易いと思ったんだけどな。
それに俺もモンスターを出せるし」

 そう話すと、二人の目が丸くなる。まだ説明していなかったようだ。
 ファニーやサニーの能力については誰にも話してないから無理もない。

 レッジたちも来たので、再び今の状況を説明する。この二人にはまだ、王女が別人であるかもしれない
事は伝えていなかった。それらも含めて話をすると、顔色は真っ青。そして、近年のおかしな出来事も
話してくれた。
 やはり何者かが暗躍しているのは間違いないようだ。
 
「それにしてもあんたたち四人。全員指名手配は免れないね。いいだろ。ここまでよく働いてくれた
ファニーたちに免じて、私はここで連絡役をおってやるよ。仲間の特徴、全部話していきな」
「女将さん……ありがとうございます。それじゃ……」

 女将さんに感謝しつつ、仲間の特徴それぞれを伝えていく。全員に伝わるか、そしてここへ
来るかもまだわからない。だが……俺たちの仲間ならきっと、たどり着く。そう信じている。

 明日はイーグルサーカス団の許を訪れることになり、食事を済ませた。
 レッジとレッツェルもファニーの食事にほおづえが落ちると表現するほど、喜んでもらえたようだ。
 

 そして翌朝――――ファニー、サニーを封印し、ブネとビーを連れ、イオナを肩に乗せた俺は
イーグルサーカス団がいるという下町の入り口へ赴いた。
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