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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め
第五百二十三話 続、バイブランシーの酒場 医者でも治せない病
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音楽が落ち着くと、激しい拍手と歓声が沸き上がった。
「最高だぜブネ様ぁー!」
「最高だった! 感激した!」
「本当、美しい調べね。下町の酒場で聞かせてもらって、本当にいいのかしら」
「お得過ぎて毎日予約したいくらい」
湧き上がる歓声の中、一人の女性は、すっとその場を後にする。
その直後、男女二人組が入って来た。
「あら先生。いらっしゃい。奥にいるわ。案内するね」
「これはベニーさん。遅れてしまいすみません。急な患者が入ってしまって」
「いいのよ。飲み物も直ぐもっていくわね」
「ありがとうございます。スピアには甘いものを」
「うん。直ぐに……ちょっと何であんたが持っていこうとするのよ!」
「自分だけずるいっしょ。今度は私が行く番」
「ちっ。ぬかりない女ね。ほらレナ。あんたももう一度行きなさいよ。きっかけがないと
二度と会えなくなるかもしれないわよ」
「う、うん。でも……」
「さぁ、いこレナッち。ベニーが一緒ならうまくいくよ!」
奥へと案内された男女はすぐさま目的の場所を見つけ、席へと着いた。
「お待たせしました」
「待たせたな!」
「エーは大丈夫か? 急に倒れたみたいだけど」
「ええ。医者には到底治療する事が出来ない病でしたので。アネスタさんにお任せ
してきました。彼女へはお土産を頼んでおきましょう」
「それは心配だな……うん? 医者には到底治せない病でアネさんに…? ……ああ、なるほど。
それは確かに適任だ」
「しかしあんた、随分と腕のたつ医者だ。どこで医学を習ったのが気になるが……おっと、これは
トループらしくなかったな。失礼」
「いえ、いいのです。それに私の知識と技術ではまだまだ、多くの者は救えませんよ」
「そんなことは……おや? ベニー。先生の注文をとりにきてくれたのかい?」
「それもあるっしょ。でもその前に見て! 酒場で仲良くなったレナっちだよ。私と同じように
こうして……こうすると可愛いでしょ?」
「うん? ああ、可愛いな」
「下町の娘にしては随分と色白で美しい娘ぞ。貴族に目をつけられずよかったな」
「っ! ……」
「あれ、レナっち顔色悪いよ? 貴族に何かされた?」
「ううん。私、戻って……いい?」
「ま、待ってくれないか。その……君に、注文を……頼みたい」
ベニーが思い切りシーをつついた。しかしシーも理解したようで、何をすべきかを思案していた。
注文を取るためビーの近くにレナが駆け寄ったその時を見計らって。
「あーーー、手が、すべったぁあーーーー!」
飲み物を二人にぶちまけるシー。
普段であれば回避可能だろうが、ビーは完全に我を失いレナの注文を書く板に視線を固定して
みないようにしていた。
「ぶはっ。お、おいシー! 手が滑って普通そんなぶっかけるか!?」
「きゃーっ」
「大変っしょ! お客さんたらいいかけっぷり……じゃなくて随分滑ってたね。奥で拭くから
二人とも奥に来て。私が注文の続きをとるから」
「え? でも、あの……」
拳を胸の前でぎゅっと構えて応援している素振りをみせるベニー。
二人を厨房のずっと奥へ連れて行った。
「おや、こちらでも厄介な病が発生していましたか」
「そのようだ。こればっかりはどうにもしてあげられないし、飲み物でもかけて少し冷やす
のが、ちょうどいいのかもしれないな」
「ふふ。貴様は本当に優しい男ぞ」
「最高だぜブネ様ぁー!」
「最高だった! 感激した!」
「本当、美しい調べね。下町の酒場で聞かせてもらって、本当にいいのかしら」
「お得過ぎて毎日予約したいくらい」
湧き上がる歓声の中、一人の女性は、すっとその場を後にする。
その直後、男女二人組が入って来た。
「あら先生。いらっしゃい。奥にいるわ。案内するね」
「これはベニーさん。遅れてしまいすみません。急な患者が入ってしまって」
「いいのよ。飲み物も直ぐもっていくわね」
「ありがとうございます。スピアには甘いものを」
「うん。直ぐに……ちょっと何であんたが持っていこうとするのよ!」
「自分だけずるいっしょ。今度は私が行く番」
「ちっ。ぬかりない女ね。ほらレナ。あんたももう一度行きなさいよ。きっかけがないと
二度と会えなくなるかもしれないわよ」
「う、うん。でも……」
「さぁ、いこレナッち。ベニーが一緒ならうまくいくよ!」
奥へと案内された男女はすぐさま目的の場所を見つけ、席へと着いた。
「お待たせしました」
「待たせたな!」
「エーは大丈夫か? 急に倒れたみたいだけど」
「ええ。医者には到底治療する事が出来ない病でしたので。アネスタさんにお任せ
してきました。彼女へはお土産を頼んでおきましょう」
「それは心配だな……うん? 医者には到底治せない病でアネさんに…? ……ああ、なるほど。
それは確かに適任だ」
「しかしあんた、随分と腕のたつ医者だ。どこで医学を習ったのが気になるが……おっと、これは
トループらしくなかったな。失礼」
「いえ、いいのです。それに私の知識と技術ではまだまだ、多くの者は救えませんよ」
「そんなことは……おや? ベニー。先生の注文をとりにきてくれたのかい?」
「それもあるっしょ。でもその前に見て! 酒場で仲良くなったレナっちだよ。私と同じように
こうして……こうすると可愛いでしょ?」
「うん? ああ、可愛いな」
「下町の娘にしては随分と色白で美しい娘ぞ。貴族に目をつけられずよかったな」
「っ! ……」
「あれ、レナっち顔色悪いよ? 貴族に何かされた?」
「ううん。私、戻って……いい?」
「ま、待ってくれないか。その……君に、注文を……頼みたい」
ベニーが思い切りシーをつついた。しかしシーも理解したようで、何をすべきかを思案していた。
注文を取るためビーの近くにレナが駆け寄ったその時を見計らって。
「あーーー、手が、すべったぁあーーーー!」
飲み物を二人にぶちまけるシー。
普段であれば回避可能だろうが、ビーは完全に我を失いレナの注文を書く板に視線を固定して
みないようにしていた。
「ぶはっ。お、おいシー! 手が滑って普通そんなぶっかけるか!?」
「きゃーっ」
「大変っしょ! お客さんたらいいかけっぷり……じゃなくて随分滑ってたね。奥で拭くから
二人とも奥に来て。私が注文の続きをとるから」
「え? でも、あの……」
拳を胸の前でぎゅっと構えて応援している素振りをみせるベニー。
二人を厨房のずっと奥へ連れて行った。
「おや、こちらでも厄介な病が発生していましたか」
「そのようだ。こればっかりはどうにもしてあげられないし、飲み物でもかけて少し冷やす
のが、ちょうどいいのかもしれないな」
「ふふ。貴様は本当に優しい男ぞ」
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