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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

間話 ハクレイとの特訓

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 メルザがブネへ封印されてからしばらく――――。
 修練を積むべくハクレイへと挑む俺。
 シフティス大陸ではうかつに神魔解放や真化出来ない事から、新しい戦い方を模索していた。
 別状態に頼らない戦い方を覚えれば、組み合わせた時更なる力が生まれるという。

「そう簡単に新しい事って出来うるようにならないでしょう、老師」
「ふうむ。お主は魔族なのにちっとも魔族らしくないのう」
「だから言ったじゃないですか。元々はただの人間。ちょっとだけ記憶力と発想力、忍耐力とかが
よかっただけで、後は凡人ですよ」
「凡人ではあるまい。わしなんぞ覚えた先から忘れていくぞい」
「それは老師がお年を召されているからでは……」
「誰が天に召されるじゃい! まだ千年は生きるぞい」
「そうは言ってない……です。それで、属性変化ってのはどうやればいいんですか?」
「こう……じゃな。魔核から血液が送り込まれ、体を通り、発動しやすい手に集約する。
その者次第で集めやすい場所が違うのは理解できるじゃろう?」
「ええ。目とか足とかいろんな所からビーム出すやついますし」
「手がある生物であれば手が一番発しやすい。なぜかわかるか?」
「手が人の中で最も器用に動かせるからでしょう。いわゆる自らの意思で動かせる筋の集合体ですし」
「さよう。では魔核はどうじゃ。自在に動かせるか」
「いや、心臓と同じで自動で動いているのでしょう? だから制御出来ないのでやり方がわからないんです」
「そこが人との違いじゃ。魔核は自らの意思で動かせるんじゃよ。このようにじゃ」

 老師の形態が変わり、鎧へと白い血液が送られる。凄いけど凄い怖い。これは自分ではやりたくない。

「どこかに力を入れるとか、そういった感覚ですか?」
「違うのう。あだ名をつける感覚に似ておる」
「はい? あだ名?」
「あだ名は直感でつけるじゃろ?」
「ちょっか……ああ! そういうことか。直感……か」

 自分が今まで最も頼ってきた感覚じゃないか。それなら……。

 目を閉じて意識を体内へ集中させる。
 自らの意思に深く深く沈んでいく感覚。
 心臓の音、筋肉の収縮、弛緩。血液の拍動……そして。

「それ以上、魔を覗くな」
「……はっ! はぁ……はぁ……」
「危ないやつじゃ。自分の身体をみてみぃ」

 俺の身体は豹変していた。浅黒い甲冑に前進を纏い、目は充血。
 そして何より力に溢れていた。

「こりゃ大変じゃわい。力の制御を覚えさせるのにどれ程の時間がかかるか……じゃが
才能はやはりずば抜けておる。かなり上位の妖魔種じゃな。お主の直感、見事じゃったぞ」
「老師……でもこれじゃ全然だめだ。扱えるようになるのかな」
「大丈夫じゃ。お主にはこのハクレイがついておる。大船にのったつもりでおるがよいぞ。ルンルン」
「……老師。頼みますからそのあだ名はご勘弁を」

 その後幾度となく制御を加え、ようやく片腕に変化が見られた。
 その腕は海水のように変化しながらも、自分の意思で自由に動かせる。

「お主……使用する術は海水で間違いないんじゃな?」
「ああ。間違いない。イネービュから賜った力だと思うが」
「さらに雷撃も取得しておったな」
「そっちはメルザのお義父さんからの贈り物……かな」
「お主はもしかすると、海水を火に変える術を得ているかもしれん」
「海水を火に? 水と火は相反する関係だから難しいだろう?」
「その水部分を何とか出来ればどうじゃ?」
「塩を電気分解……なるほど! 試してみる。海水を火か……」

 こうして新たなルインの特訓は続くのだった。
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