異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
上 下
567 / 1,085
第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第五百話 出発前

しおりを挟む
 ここはルーンの町。メルザが封印されてから二か月が経過していた。

 その間に地底妖魔の国は大変な事態となる。
 妖魔国は五つの大きな地域に分類される。
 北西、最も過酷な地域であり、フェルドナーガの収める地。
 北東、人ならざる者たちが最も多く住まう地域、タルタロス収める奈落の地。
 南西、ベルータスが納めていた、作物があまり育たない赤き土の地。
 南東、豊かな自然もあるが、死霊やモンスターが沸き上がる、フェルドナージュが納める地。
 そして中央、アトアクルークと呼ばれる、ベオルブイーターが滑空する地域一帯。

 この地はかつて、絶対神ネウスーフォがタルタロスと共に構築したとされている。
 その地に……突如として謎の塔や謎の者たちが現れた。
 そして……ルーンの町から妖魔の国への道が絶たれてしまう。
 ルーンの町に滞在していたサラ、アネスタと、スピアに指導をしていたフェドラート、自室で
研究に没頭していたアルカーン、新しいベルローゼ用の衣服を夢中で作っていたフォニー以外の
妖魔はほぼ、フェルス皇国側へ出払ったまま戻らず、みな不安にかられていた。
 ルインも相当心配したが、どうにもすることはできなかった。
 
 妖魔側の問題はこちら側で解決すると、フェドラートに散々説得され、ルインは
旅立ちの準備を急いだ。

「これから旅立つにあたり、向かうメンバーを選定しようと思う。全員連れていきたいが、そうも
いかないだろう? ジェネストは間に合わなかったが、あいつのことだ。後から意地でもくるだろう」
『絶対行くわ!』
「いや、お前たちが一番不安なんだが……」
「何言ってるの? お腹の子供を置いていく気?」
「それ、どんな男でも言われると背中がぞわぞわする台詞だろ……」
「また他の女ひっかけてくるんでしょ! そうはさせないわよ。私のお尻が一番魅力的でしょ!」
「身ごもってるなんて思えないくらい体は平気っしょ。これもブネの力ね。久しぶりに暴れたいっしょ」
「そもそもレミは偵察しないといけないしー? アイドル活動もしないとだしー?」
「パーミュ、パミュ!」
「ふふ、君は相変わらず大人気だね。今回は私も行こうかな。ラートの代わりにね」
「怪我をしたら治療も必要でしょう? 私も連れてってください!」
「先生が行くなら助手は必要だから、仕方なくだからな!」

 誰一人残るとは言わないメンバー。やれやれだ。あれ……ライラロさんとブネがいない。
 
「封印していける人数に限りがある。今回の旅では絶対トウマやター君の力を
借りる事になる。封印装備も変装を考えると、腰装備以外おいていかなきゃ
いけないんだ」
「それなら私とサラとベルディアとレミ、パモちゃんで五人でしょう?」
「いや、それがな……」
「ふふっ。実は私も封印されたんだ。アネさんなら……と快く了承してくれたよ」
『はぁ?』
「いやいや、だってお前らをうまくまとめてくれるのはアネさんが適任だから」
「まぁいいわ。姉さんは特別だし。姉さんを含めても六人よね」
「それにトウマ、ター君、グリドラ、ホー君をいれるともう一杯なんだよ。ルーニー用の頭装備は
調整中だし。アルカーンさんは鍵をかけて出てこないし」
「数はちょうどいいじゃない?」
「いや、空き枠は残しておきたくて。シフティス大陸のモンスターも封印したいし、何かあった時用にさ……」
「それならニーメ君に頼んでみてはどうかな。彼なら封印装備、もう作れるんじゃない?」
「えっへへー。実はお兄ちゃん用にいいものをもう作ってあるんだ。はいこれ!」
「これは……首飾りか? 中身は……封印箇所が二つ!?」
「アルカーン先生に言われた通り作ったら出来たんだよ。ずっと修行してたけど難しくて。
こんなの作っちゃうって妖魔の人たち本当すごいよね!」
「それをまねて作れるニーメが凄いと思うのだが……いやはや恐ろしい才能だ」
「これで全員つれていけそうね!」
「先生やスピアも本当に行くのか? 道中大変だと思うぞ?」
「ジェネストさんを待ちたい気持ちもあります。それでも私はあなたにお礼を返したい。
あなたは無茶をしすぎる。もし命でも落としたら、私はメルフィールが蘇っても、もう笑えないでしょう」
「そーだぞ。先生を悲しませるなよ! だからついていくんだからな!」
「ふふっ。まったく俺の仲間たちはみな、仲間思いだな。わかったよ。
セーレ! 運べるか? 俺はハクレイ、ブネ、ライラロさんと行く」
「ヒヒン! 定員多くなければ運べるよ! 先生とスピアだけだよね? ヒヒン!」
「ああ、いざとなればスピアは飛べるから……目立ちすぎるからセーレの方が助かるけど。さて……」
「ルイン、少し話がある。少々、いやかなりよくない話だ」
「うわぁ!? ブネ、いつも言ってるだろ。背後から話しかけるなって!」

 相変わらず突然現れて背後から話しかけてくるブネ。
 一体どうしたんだ? 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮
ファンタジー
 子爵家の長男であるレアンデル=アリウスは、剣は得意だが魔法が大の苦手。  生まれ持った火の紋章の加護により得意になるはずの火魔法も上手く使えない。  そのせいで通っている学園でも同級生にバカにされる日々を送っていた。  そんなある日、レアンデルは森の中で龍と出会う。  その龍はあらゆる知識を修め、龍の世界でも教鞭を執るほどの教え好き。  レアンデルの秘められた力に気付いた龍は自らの知識や経験を叩きこむ。  レアンデルの成長と出会いの物語。  紋章とは。龍とは。そして秘められた力とは――

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。 令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。 しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。 『骨から始まる異世界転生』の続き。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...