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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第四百九十二話 トループの鉄則

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 目的地へと到着した部隊一行。
 二十三闘技場……そこはかなり大きな建物で、入口は封鎖されていた。
 どうやって入るのだろうか。入口付近に着くと、隊長が全員に向けて激励する。
 
「お前ら、わしゃレオルム殿に報告へ呼ばれておる。あまり派手にやりすぎるなよ! 勝利報告を期待しておる!」
「隊長、見ていかないのでありますか?」
「貴族相手だから防戦一方と思ったが、まともにやりあっていいのか?」
「おいおいシー。俺たちトループの鉄則を忘れたんじゃないだろうな」
「戦場には身分も差別も、ルールすらもない。あるのは強さのみ……であります!」
「えーと、そうだったな。それなら多少は応戦してもいいか……」
「しかし相手は伯爵の息子とその取り巻き。実力者であることは間違いない」
「重術を用いてきた。それなりの威力はある」
「秘術持ちか。今のうちに戦術を決めよう。シー、エー。それぞれの得意な事を教えてくれるか?」
「自分は槍術と支援強化術が得意であります!」
「そいつは助かる。支援強化持ちは貴重だ」
「俺は剣術と……水、火、氷……術が一応使える」
「反発属性だと!? お前本当かよ? レアどころの騒ぎじゃないぜ?」
「は、初めて聞いたであります!」
「あー……火はあれだ、あんまり使えなかったような、水術が得意なんだ、うん」
「どちらにしても剣術の腕次第じゃ立ち回りがききやすいな。お前、銃は?」
「それがまだいまいちでな。練習中だよ」
「そうか。俺は銃術に様々な術を封じて放てる奇銃使い。部隊じゃ遠距離特化だった。
適当に組まされたのに近、中、遠距離が揃ってやがる。こいつぁいい。なんか運命めいたものを
感じるぜ」
「ふふっ、懐かしいな……」
「あ、シーがやっと笑ったであります! それじゃ役割と戦法を決めるであります!」

 三人はしばし闘技前で話し合うと、戦略を練った。
 話し合ってみると、相性が非常にいい事がだんだんとわかる。
 シーを除いては興奮した様子でそれぞれの行動パターンを覚えていく。

「これなら貴族相手でもかなり戦えるんじゃないか? まさか二刀流とはな」
「もともとは一刀一拳だったんだが、色々あってな。本来のスタイルは一刀一拳だよ」
「格好いいであります! 自分は槍以外適性がないので、羨ましいであります!」
「いいや、槍ってのは集団戦においてめっぽう強いだろう。俺の場合は一対一以外だと
剣での戦いはやり辛い。剣ってのは最強の武器じゃない。扱いやすさ最強ってだけだ」
「まぁそりゃわかるが、剣以外は獲物を認識されやすいだろ? ……いやいや武器談義してる余裕はなかったな。さすがに兵士三人集まれば、こうなるか。ははっ、この続きは下町の酒場でやろう。
勿論勝利の祝いで、隊長のおごりだ!」
「それはいいであります! 絶対勝つであります!」
「へぇ……まさか闘技場に入る前に、ここでやり合いたいのかな、君たちは」

 突如背後から鋭い言葉を浴びせられる。それはまるで重力がのっているかのようだった。

「おい貴様ら。エルエレン・シュトラ・コーネリウス様の前で、随分と余裕な態度だな」
「ふん。こいつら下船の血の者でしょぉー? こーんなの相手にするのーぉ?」
「エルゲン、フィルミナ。そういうな。私たちが強すぎて、誰も相手をしようとしないのだ。
力がありあまっているのだろう? 遠征前の軽い運動だと思え」
「はぁーい。ねぇそれよりコーネリウス様ぁ。勝ったらちゃーんと、ご褒美くださいねぇ」
「おいフェルミナ。そりゃ既にご褒美確定だろ、ずるいぞ」
「えー-、だってぇ。すっごい欲しい宝石があってぇ。ね? いいでしょぉ?」
「……すまないが、そろそろ始めないか?」
「あん? 誰に者言ってるかわかってるのか、お前。怪我させる程度で許してやろうと思ったが……
ギタギタにしてやるぜ」
「……いいだろう。それにエルゲン。そいつを甘く見ない方がいい。私の重力コインを指二つで受けきった奴だ」
「何? こいつが? とてもそうは見えねぇ……何かの間違いじゃありませんか?」
「やればわかることだ。行くぞ。そのコインをかざせば中に入れる。十分準備してから来ることだ」
「イーーだ。あんたたちなんか秒で終わらせてやるんだからぁ」

 そう告げると、コーネリウス、エルゲン、フィルミナの三名は二十三闘技場へと入っていった。
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