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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第四百八十六話 パレードオンパレード

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「こら貴様、何やっちょる! こっちゃこい!」
「すみません。えーと」
「隊長、このままだと我々、遅れるであります!」
「何ぃっ! こうしちゃおれん。おい、貴様新人だな? 武器はどうした?」
「ええと、置いてきた……かな?」
「ええい、何か代用できるものはないか?」
「こういう武器であります!」
「妖氷造形術……ブラックイーグル」
「か、かっこいいであります!」
「どこから出したんだ? まぁいい! 行くぞ! 足並みそろえーい!」

 ここはとある大陸、とある国。現在パレードの真っ最中である。 
 国を挙げての式典には、多くの参列者がおり、兵士たちは国の威光を示すため、軍事パレード
を行っていた。

「隊長ぉー! やはり遅刻であります!」
「これはまずい! いいか、後ろからさっと加わり何事もなかったかのように歩幅を
あわせい! まずは貴様がやってみせろ!」
「行くであります!」

 兵士の一人が後方からさっと参列して足並みを見事にそろえ、進んでいった。

「次は貴様の番だ! ちゃんと歩幅を合わせて武器を構えるのだぞ!」
「ああ。やってみる」

 全身を鎧甲で包んだ者は、先ほどの者と同じようにパレードへさっと加わった。
 見事に足並みをそろえて、軍事パレードをやり過ごす。
 
「おい、何やってる」
「済まない。少し遅れた」
「横をみるな! 前を見てろ。それにしても急だったよな、今回のパレード」
「……ああ、そうだな。なぜこんなに急いでやったんだ?」
「さぁなぁ。詳しくは知らないが、王女の結婚前祝いとか聞いたぞ」
「へぇ。あの……何て言ったっけ」
「ミレーユ王女だ。名前を忘れたら首が飛ぶぞ、気をつけろよ」
「すまない。ただのど忘れだよ。それで、嫁ぎ先はどこなんだ?」
「知るわけないだろ。もっと上層部じゃないと。はぁ、俺も結婚してーなー」
「ははっ。お前ならきっとできるさ」
「そうか? そう言ってくれると自信になるぜ。狙っている子がいて……おっと、そろそろ
到着だ。お前なかなか面白いな。後でいっぱいどうだ?」
「行けたらな」

【全体、止まれー--!】

 すべての兵士がぴたりと動きを止め、武器を構える。
 
 一人の指揮官らしき見栄えのする男が浮遊し、喋り出す。

「素晴らしき兵士諸君。そして国民たちよ。本日のパレードに参加していただき
感謝する。ルイ・アルドハル・メイズオルガである。
今日は諸君らに素晴らしい報告がある。陛下により報告してもらおう。みな、我が指先を
身よ」

 男が指先を自分の上空へと向けると、空間より椅子に座り王冠をかぶる者の姿が
映し出された。

「我が国民よ。今日という日を迎えられた事、嬉しく思う。
我が娘のルイ・クシャナ・ミレーユが嫁ぐ事と相成った。
本日より三日の間、娘の門出を祝してやってほしい」
『ウォオオオオオーーーーー!』
『姫様、万歳ー----!』
『陛下に栄光あれ!』
『メイズオルガ様、格好いいですわー!』

 国民より口々に感嘆の声が沸き上がる。
 指導の行き届いた兵士たちは微動だにしない。

 ルイ・アルドハル・メイズオルガがもう片方の手をさっとあげ、上空に光弾を発すると、ぴたりと
歓声が止んだ。それと同時に映し出されていた陛下もフッと消える。
 
「陛下の思し召しの通り、本日より三日は祝日とする! 皆祝いの日を大いに楽しむように!」

 再び『ワァーーーーーー!』と歓声が沸き起こり、紙吹雪が町一面に飛翔した。
 ルイ・アルドハル・メイズオルガもまた美しい光弾を上空に放った。

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