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第四章 メルザの里帰り
間話 名コンビから名トリオ? イーファとドーグル、そしてエプタ
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ルインたちが里帰りに旅立ち、しばらくたった頃――――。
「まさか古代樹の図書館地下にこんな道があったとはね」
「わらはこう思う。王都への抜け道につながっていたのではないかと」
「しかし結局、闇の知識についてはここからだとわからないままだ。あの機械たち
はここにはいないようだが……」
「おいおまえら。俺より先に先行するんじゃねえ。それと手がかりなら調べておいたぞ」
ここは古代樹の図書館隠し通路。
イーファとドーグルは、イーファがスライム化してドーグルにまとわりつき、認証を
突破しようとしたものの、結局うまくいかずに散々受付の機械に追い掛け回された。
それを見かねたエプタにより、内部に潜入成功したが、正面からの突入ではなく
裏側から潜伏したため、おかしな場所に出てしまう。
「手がかりがあったというのは本当なのか?」
「ちみはなぜかルインのようだな。時折そんな雰囲気を感じる。頼りになる」
「俺をあいつと同類にするのはやめてもらいたいね。
それより闇の知識について知りたいんだろう? どうやらこの隠し通路を抜けた先に
ある、裏図書館に封じてある書物に記されているらしいが、俺が読み取った情報は
そこまでだ。後は知らねぇ」
「……ちみは彼より優秀な側面があるのかもしれない。神の遣いというのは能力に
長けた者の集まりか」
「彼の場合は他者からの情報を引き出す術に長けているのだろう。なかなかの男前だし、もう
少しだけ口が悪くなければよかったんだけどね」
「何言ってやがる。お前らは見た目から人間とは別の種族だからまだマシだが、人間なんかとつるむ気も
話す気も本来はねえな。人間でも紅色の髪は別だが……」
「おや、それはメルザのことかい? 君は事あるごとにメルザを気にかけているようだが」
「確かに主殿は可憐だが、ルインの妻だぞ」
「ばかやろう、そういう意味で言ってるんじゃねえ! ただ似ている。それだけの事だ」
「ふふっ。似ている……か。そうだな。似ている……いいじゃないか。ここにいる三人も
少し似ていると思う。雰囲気が……ね」
「それはわらも感じていたぞ。暴れたり突撃したり考えなしではなく、冷静に行動をするのが我々。
慎重に行くとしよう」
「けっ。突撃していったお前らがよく言いやがる。別に俺には関係ねーけどな。
命令だから付き従ってやるだけだ」
「案外素直じゃないところも似ているのかもね。ふふっ」
「だー、もう! 俺は先を調べてくる。お前らゆっくり来い」
そう言うとエプタはずかずかと先へ進んでいってしまった。
本当に素直じゃないなと思うイーファとドーグル。顔を向けあい少し笑いあった。
先に進んだエプタは何かしらの気配を察知したようで、一度足を止める。
隠し通路の先は下り坂となり、その奥は少し広めの部屋になっていた。
「なんだろうね、あの部屋。エプタは部屋に入らず止まっているけど」
「わらもイーファも比較的遠距離攻撃型。そしてエプタもそうであろう。
接近戦に持ち込まれるのは好ましくない。いざとなれば念動力でけん制はできる」
「そうだね……しかし彼は接近戦も十分いける気がするんだよね……
神魔解放か。あれは反則のようなものだね」
「しかし何らリスクなく出来るようなものではないと思うぞ。ルインもあれの影響で獣落ちとやら
になり、かなりよくない状態になったと聞く。人の領域を超える形態なのだろう」
二人が話していると、エプタが手招きで合図をする。
特に何もしていなかったように見えたが……近づいて二人は理解した。
「これは、虫だね。凄く小さな。これで足止めされていたのかい?」
「よく見てみな。これは機械だ。こいつで監視してるのさ。どこのだれかは知らないがね」
「これが機械? わらには理解がお呼ばぬほど精工に出来ているように見えるのだが」
「こんな陰湿なやり口でこんな豆粒のような機械を作る。
人間の考えそうな事だ。さぁ、先を急ぐぞ」
エプタとイーファ、ドーグルたちは、闇の知識を得るためさらに奥へ奥へと進んでいった。
「まさか古代樹の図書館地下にこんな道があったとはね」
「わらはこう思う。王都への抜け道につながっていたのではないかと」
「しかし結局、闇の知識についてはここからだとわからないままだ。あの機械たち
はここにはいないようだが……」
「おいおまえら。俺より先に先行するんじゃねえ。それと手がかりなら調べておいたぞ」
ここは古代樹の図書館隠し通路。
イーファとドーグルは、イーファがスライム化してドーグルにまとわりつき、認証を
突破しようとしたものの、結局うまくいかずに散々受付の機械に追い掛け回された。
それを見かねたエプタにより、内部に潜入成功したが、正面からの突入ではなく
裏側から潜伏したため、おかしな場所に出てしまう。
「手がかりがあったというのは本当なのか?」
「ちみはなぜかルインのようだな。時折そんな雰囲気を感じる。頼りになる」
「俺をあいつと同類にするのはやめてもらいたいね。
それより闇の知識について知りたいんだろう? どうやらこの隠し通路を抜けた先に
ある、裏図書館に封じてある書物に記されているらしいが、俺が読み取った情報は
そこまでだ。後は知らねぇ」
「……ちみは彼より優秀な側面があるのかもしれない。神の遣いというのは能力に
長けた者の集まりか」
「彼の場合は他者からの情報を引き出す術に長けているのだろう。なかなかの男前だし、もう
少しだけ口が悪くなければよかったんだけどね」
「何言ってやがる。お前らは見た目から人間とは別の種族だからまだマシだが、人間なんかとつるむ気も
話す気も本来はねえな。人間でも紅色の髪は別だが……」
「おや、それはメルザのことかい? 君は事あるごとにメルザを気にかけているようだが」
「確かに主殿は可憐だが、ルインの妻だぞ」
「ばかやろう、そういう意味で言ってるんじゃねえ! ただ似ている。それだけの事だ」
「ふふっ。似ている……か。そうだな。似ている……いいじゃないか。ここにいる三人も
少し似ていると思う。雰囲気が……ね」
「それはわらも感じていたぞ。暴れたり突撃したり考えなしではなく、冷静に行動をするのが我々。
慎重に行くとしよう」
「けっ。突撃していったお前らがよく言いやがる。別に俺には関係ねーけどな。
命令だから付き従ってやるだけだ」
「案外素直じゃないところも似ているのかもね。ふふっ」
「だー、もう! 俺は先を調べてくる。お前らゆっくり来い」
そう言うとエプタはずかずかと先へ進んでいってしまった。
本当に素直じゃないなと思うイーファとドーグル。顔を向けあい少し笑いあった。
先に進んだエプタは何かしらの気配を察知したようで、一度足を止める。
隠し通路の先は下り坂となり、その奥は少し広めの部屋になっていた。
「なんだろうね、あの部屋。エプタは部屋に入らず止まっているけど」
「わらもイーファも比較的遠距離攻撃型。そしてエプタもそうであろう。
接近戦に持ち込まれるのは好ましくない。いざとなれば念動力でけん制はできる」
「そうだね……しかし彼は接近戦も十分いける気がするんだよね……
神魔解放か。あれは反則のようなものだね」
「しかし何らリスクなく出来るようなものではないと思うぞ。ルインもあれの影響で獣落ちとやら
になり、かなりよくない状態になったと聞く。人の領域を超える形態なのだろう」
二人が話していると、エプタが手招きで合図をする。
特に何もしていなかったように見えたが……近づいて二人は理解した。
「これは、虫だね。凄く小さな。これで足止めされていたのかい?」
「よく見てみな。これは機械だ。こいつで監視してるのさ。どこのだれかは知らないがね」
「これが機械? わらには理解がお呼ばぬほど精工に出来ているように見えるのだが」
「こんな陰湿なやり口でこんな豆粒のような機械を作る。
人間の考えそうな事だ。さぁ、先を急ぐぞ」
エプタとイーファ、ドーグルたちは、闇の知識を得るためさらに奥へ奥へと進んでいった。
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