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第四章 メルザの里帰り
第四百六十六話 足止めをくらう者たち
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「リリエル。怪我の具合はどうじゃ」
「はい、フェルドナージュ様。おかげですっかりよくなりました」
「アネスタに感謝するがよい。あやつの治癒術は妖魔の中でも極めて優秀」
フェルドナージュと話す女性。以前道すがら助けられ、命を取り留めた女性。
そして……フェルドナージュたちは自国へ帰る途中で足止めを食っていた。
ベオルブイーターによる妨害の影響。ベオルブイーターそのものがいるわけではなく、眷属である
レルムイーターが無数徘徊しており、なかなか移動しない。
レルムイーターに攻撃をすれば、たちまち無数のレルムイーターが集まり、最終的にベオルブイーターが
現れる事となる。極めて厄介な存在。
「ふふふ、傷を負う綺麗な女性を放ってはおけないからね。それにしてもリリエルは初めて会った気が
しなかったんだよね」
「姉上。今はそれより帰りの進路をどうするか話し合いあしょう。あれが過ぎ去るのを待って
いるのは少々難儀です」
「アルカーン。どうにかならぬか」
「申し訳ありません。あれに関しては異質な存在故、俺の力ではどうにもなりません。手を出せば亜空間に
逃げても追ってまいりましょう」
「其方の空間までか? なんという執念深い者だ。いっそエッジマールを餌にして通るか」
「扱いが酷いねぇ!? それにそちらの女性とも話をさせてくれないねぇ!?」
「彼と喋ってはいけないよ。お尻を触られるからね」
「ひぃ……怖いです」
「そんな事しないねぇ!? 弱ったな……妖魔で僕は助平の認定を受けてしまっているようだ。はぁ……」
「日頃の行いですよ。本当にこれでも王子だったのでしょうか。姉上への視線がいつも下の方で固定
されているのを私は知っていますよ」
「ぎくっ。僕はニンファ一筋だ! 濡れ衣だ! アルカーンからも何か言ってほしいねぇ」
「興味ない。貴様が新しい時計の技法でも提供するなら一考してやろう」
「そんなのルイン君でもないと無理だよ! ああ、彼はとても僕に優しかったのに……」
「エッジマールよ。其方を頼りにしていないわけではないのだ。強靭な肉体と剣の腕はここの誰もが
認めておるところ。それでじゃな……地下を通ろうと思うのだが」
「フェルドナージュ様。ここから地下への道は通じていないと思われます」
「そこでじゃ。エッジマールよ。掘ってはくれぬか?」
全員エッジマールをじーっと見る。
言われた本人は当然、はい? といった顔をしている。
「掘るって、ここからだとどのくらい掛かるかわからないねぇ? いくら僕がドワーフのレア種といっても
無理があるよねぇ?」
「ほら、リリエルさん、姉上」
「ほ、掘れる人って恰好いいです! 素敵ですよねー、アネスタ様」
「そうだね。頼れる男って感じがして女としてはぐっとくるね」
「頼もしい其方の鋼の肉体だからこそできる事だと思うのじゃが、どうだエッジマールよ。戻ったら褒美
も出そう」
「やる、やるぞーーー! 僕はエッジマールウルキゾナ。穴の一つや二つ、開通して見せよう!」
両手を高く掲げ、やるぞ! の意気込みを見せるジオ。
女性陣は引きつり顔。男性陣はヤレヤレといった表情を浮かべている。
そう、ジオはちょろかった。
「そういえばリリエルよ。記憶はどうじゃ? 少しは戻ったか?」
「いえ。名前以外は何も……」
「ふうむ、医者にでも見せねば難しいか。アルカーンよ、ルインへの連絡はどうか」
「まもなく新しいルーニーが完成します。これを届ければいつでも可能かと」
「そうか。あやつも成長しておるのだろう。メルザにも会うのが楽しみじゃ」
天を仰ぎ見るフェルドナージュ。その耳には少々やかましいジオのやる気声が児玉していた。
「はい、フェルドナージュ様。おかげですっかりよくなりました」
「アネスタに感謝するがよい。あやつの治癒術は妖魔の中でも極めて優秀」
フェルドナージュと話す女性。以前道すがら助けられ、命を取り留めた女性。
そして……フェルドナージュたちは自国へ帰る途中で足止めを食っていた。
ベオルブイーターによる妨害の影響。ベオルブイーターそのものがいるわけではなく、眷属である
レルムイーターが無数徘徊しており、なかなか移動しない。
レルムイーターに攻撃をすれば、たちまち無数のレルムイーターが集まり、最終的にベオルブイーターが
現れる事となる。極めて厄介な存在。
「ふふふ、傷を負う綺麗な女性を放ってはおけないからね。それにしてもリリエルは初めて会った気が
しなかったんだよね」
「姉上。今はそれより帰りの進路をどうするか話し合いあしょう。あれが過ぎ去るのを待って
いるのは少々難儀です」
「アルカーン。どうにかならぬか」
「申し訳ありません。あれに関しては異質な存在故、俺の力ではどうにもなりません。手を出せば亜空間に
逃げても追ってまいりましょう」
「其方の空間までか? なんという執念深い者だ。いっそエッジマールを餌にして通るか」
「扱いが酷いねぇ!? それにそちらの女性とも話をさせてくれないねぇ!?」
「彼と喋ってはいけないよ。お尻を触られるからね」
「ひぃ……怖いです」
「そんな事しないねぇ!? 弱ったな……妖魔で僕は助平の認定を受けてしまっているようだ。はぁ……」
「日頃の行いですよ。本当にこれでも王子だったのでしょうか。姉上への視線がいつも下の方で固定
されているのを私は知っていますよ」
「ぎくっ。僕はニンファ一筋だ! 濡れ衣だ! アルカーンからも何か言ってほしいねぇ」
「興味ない。貴様が新しい時計の技法でも提供するなら一考してやろう」
「そんなのルイン君でもないと無理だよ! ああ、彼はとても僕に優しかったのに……」
「エッジマールよ。其方を頼りにしていないわけではないのだ。強靭な肉体と剣の腕はここの誰もが
認めておるところ。それでじゃな……地下を通ろうと思うのだが」
「フェルドナージュ様。ここから地下への道は通じていないと思われます」
「そこでじゃ。エッジマールよ。掘ってはくれぬか?」
全員エッジマールをじーっと見る。
言われた本人は当然、はい? といった顔をしている。
「掘るって、ここからだとどのくらい掛かるかわからないねぇ? いくら僕がドワーフのレア種といっても
無理があるよねぇ?」
「ほら、リリエルさん、姉上」
「ほ、掘れる人って恰好いいです! 素敵ですよねー、アネスタ様」
「そうだね。頼れる男って感じがして女としてはぐっとくるね」
「頼もしい其方の鋼の肉体だからこそできる事だと思うのじゃが、どうだエッジマールよ。戻ったら褒美
も出そう」
「やる、やるぞーーー! 僕はエッジマールウルキゾナ。穴の一つや二つ、開通して見せよう!」
両手を高く掲げ、やるぞ! の意気込みを見せるジオ。
女性陣は引きつり顔。男性陣はヤレヤレといった表情を浮かべている。
そう、ジオはちょろかった。
「そういえばリリエルよ。記憶はどうじゃ? 少しは戻ったか?」
「いえ。名前以外は何も……」
「ふうむ、医者にでも見せねば難しいか。アルカーンよ、ルインへの連絡はどうか」
「まもなく新しいルーニーが完成します。これを届ければいつでも可能かと」
「そうか。あやつも成長しておるのだろう。メルザにも会うのが楽しみじゃ」
天を仰ぎ見るフェルドナージュ。その耳には少々やかましいジオのやる気声が児玉していた。
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