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第四章 メルザの里帰り
第四百五十四話 漆黒衣のキャットマイルド
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「燃刃斗!」
突如としてメルザの燃刃斗が漆黒の衣めがけて振り下ろされる。しかし……幻術が効かない!?
「何!? 上位幻術……一体どこからだ? そっちにいる貴様か!」
「これはもしかして、色や輪郭以外の視覚がほぼ失われているのかもしれませんね」
メルザはキャットマイルドの視点からではジェネストの影に隠れていてよく見えない。そして……スピアの髪色はメルザと少し違うが赤色だ。
「こいつはもう……相当おかしくなっている」
「そうですね。このまま放置すれば何れ強大なアンデッドになるでしょう。
そして……レミとこの者が繋がっていた可能性は高いでしょう。ですが……なぜ彼女は
一緒では無いのか」
「おい、このキャットマイルドを攻撃していいと思ってるのか! こっちには人質が
いるのを忘れてるのか? ……しかし非力な少女と聞いていたがなかなかどうして。力がある」
「ぐっ……この下衆! 放せ! いい加減に、しろぉーーーーー!」
一気に変身して巨大なクアドロプルドラゴンへと変わるスピア。
つかまれていた状態を振りほどき、一気に強烈なブレスを吐き出した。
「う、ぐおおおお! なんだと!? 変身するなど聞いていないぞ! おのれ、メルザ!」
「なぁなぁ、あいつ何言ってんだ? 俺様ここにいるぞ?」
「しっ。どうやら勘違いしているようです。このままやり過ごしましょう」
「いまいましいが……クックック。どうやらこれは好機のようだな。なぜかは知らんが
ルインは動けないらしい。そのまま貴様の最愛の者が死にゆくのを眺めているがいい」
ブレスをまともにうけつつも、その傷はみるみる回復していく。
そして……ブレスを受けたときに少し顔色が見えた。
顔面は真っ黒に染まり、どう見てもキャットマイルドの原型はとどめていない。
「何かの術か? これも常闇のカイナにいるものの能力か? まさに常闇……嫌な予感しかしない。
先生! 俺の体、どうだ!?」
「強力な電撃でも受けたのでしょうか……血管にかなりの傷を負っています。急いで治療を施していますが、もう少し治癒を助ける何かが……」
「やべ、忘れてた! 神魔解放! これでどうだ?」
「むぅ。これは凄いです。さすが……といってもまだ少しこのまま安静に!」
「ジェネスト、メルザ。すまない、俺が動けるようになるまでどうにか……」
「ルインさん、違うでしょう。あっちあっち」
「え? スピア?」
完全に戦闘態勢に入っているのはスピア。そして、メルザと勘違いしているキャットマイルドのターゲットもスピアだった。
「グルオオオオオアアアアアアアアアア」
「くっ……うおおおお! なんという強烈なブレス! メルザ、許さん、許さんぞおおお!」
まともにブレスを浴びながら後方に大きく吹き飛びつつ燃えるキャットマイルド。
スピアは相当ご立腹のようだが、あいつもあまり無茶はさせられない。
「ジェネスト!」
「言われずとも! 最も深き闇、クリムゾン。血の底に在りて歪より生じる力の一旦。
万物在りて己が力を欲するものの意思となれ。闇の幻魔人クリムゾンダーシュ招来」
十指の剣を携える男が、両手を胸の前で交差し現れる。美しい外見に鋭い眼光が光る。
「敵は」
「漆黒の衣を身に纏う者」
「数は?」
「今のところあいつのみです」
「承知。殿方殿、共闘を。おそらくかなりの強敵です」
「クリムゾンがそう感じるほどか。少しだけ時間を稼いでくれ」
「なるべくお早めに。行くぞジェネスト」
「命令するのは私の方です!」
突如としてメルザの燃刃斗が漆黒の衣めがけて振り下ろされる。しかし……幻術が効かない!?
「何!? 上位幻術……一体どこからだ? そっちにいる貴様か!」
「これはもしかして、色や輪郭以外の視覚がほぼ失われているのかもしれませんね」
メルザはキャットマイルドの視点からではジェネストの影に隠れていてよく見えない。そして……スピアの髪色はメルザと少し違うが赤色だ。
「こいつはもう……相当おかしくなっている」
「そうですね。このまま放置すれば何れ強大なアンデッドになるでしょう。
そして……レミとこの者が繋がっていた可能性は高いでしょう。ですが……なぜ彼女は
一緒では無いのか」
「おい、このキャットマイルドを攻撃していいと思ってるのか! こっちには人質が
いるのを忘れてるのか? ……しかし非力な少女と聞いていたがなかなかどうして。力がある」
「ぐっ……この下衆! 放せ! いい加減に、しろぉーーーーー!」
一気に変身して巨大なクアドロプルドラゴンへと変わるスピア。
つかまれていた状態を振りほどき、一気に強烈なブレスを吐き出した。
「う、ぐおおおお! なんだと!? 変身するなど聞いていないぞ! おのれ、メルザ!」
「なぁなぁ、あいつ何言ってんだ? 俺様ここにいるぞ?」
「しっ。どうやら勘違いしているようです。このままやり過ごしましょう」
「いまいましいが……クックック。どうやらこれは好機のようだな。なぜかは知らんが
ルインは動けないらしい。そのまま貴様の最愛の者が死にゆくのを眺めているがいい」
ブレスをまともにうけつつも、その傷はみるみる回復していく。
そして……ブレスを受けたときに少し顔色が見えた。
顔面は真っ黒に染まり、どう見てもキャットマイルドの原型はとどめていない。
「何かの術か? これも常闇のカイナにいるものの能力か? まさに常闇……嫌な予感しかしない。
先生! 俺の体、どうだ!?」
「強力な電撃でも受けたのでしょうか……血管にかなりの傷を負っています。急いで治療を施していますが、もう少し治癒を助ける何かが……」
「やべ、忘れてた! 神魔解放! これでどうだ?」
「むぅ。これは凄いです。さすが……といってもまだ少しこのまま安静に!」
「ジェネスト、メルザ。すまない、俺が動けるようになるまでどうにか……」
「ルインさん、違うでしょう。あっちあっち」
「え? スピア?」
完全に戦闘態勢に入っているのはスピア。そして、メルザと勘違いしているキャットマイルドのターゲットもスピアだった。
「グルオオオオオアアアアアアアアアア」
「くっ……うおおおお! なんという強烈なブレス! メルザ、許さん、許さんぞおおお!」
まともにブレスを浴びながら後方に大きく吹き飛びつつ燃えるキャットマイルド。
スピアは相当ご立腹のようだが、あいつもあまり無茶はさせられない。
「ジェネスト!」
「言われずとも! 最も深き闇、クリムゾン。血の底に在りて歪より生じる力の一旦。
万物在りて己が力を欲するものの意思となれ。闇の幻魔人クリムゾンダーシュ招来」
十指の剣を携える男が、両手を胸の前で交差し現れる。美しい外見に鋭い眼光が光る。
「敵は」
「漆黒の衣を身に纏う者」
「数は?」
「今のところあいつのみです」
「承知。殿方殿、共闘を。おそらくかなりの強敵です」
「クリムゾンがそう感じるほどか。少しだけ時間を稼いでくれ」
「なるべくお早めに。行くぞジェネスト」
「命令するのは私の方です!」
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