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第四章 メルザの里帰り
第四百二十五話 クアドロプルドラゴン
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翌朝早くに起きた俺は、付近にいる鳥類の卵を確保した。
食用できるかを確認すると、こいつはムクバードの卵で食用。
早速温泉上部で茹でて、温泉卵にすることにした。
温泉といえばやっぱりこれだ。
「あれ先生。それも薬の材料?」
「いえ、これは食べられる野草です。おいしいんですよ」
「へぇ。こっちの世界に来てからは、そういったものに目を向ける余裕はなかったな。
メルザは……ああだめだ。本当に朝が弱い」
「えへへ。こうしてると、妹みたいで可愛くて……やだ、変なとこは触らないで!」
「母さん……むにゅむにゅ」
「ははは、癒される光景ですね」
メルザは寝ぼけながらレミにしがみついていた。寂しがりやで寝坊助な主だな。
そこが可愛らしく、微笑ましいのだが。
「ルイン、高い木になってた果物、とってきたぞ? 食べてみていいか? な?」
「レウスさんは食えないだろ……いや食いながら下に落ちるのか? うーん……」
朝のそんなやり取りを終わらせ、寝ぼけ眼のメルザもフラフラしながら食事を済ませて
出発の準備が整った。
「よし、それじゃ昨日聞いた通りドラゴンの依頼を済ませよう。
そいつの特徴とか、わかるか?」
「大型の赤竜です。私も現物は見た事が無くて。テヘヘ……」
「ドラグア山脈東側の中腹まではそこまで強そうなドラゴンはいなかったな。
噴煙の影響により強いドラゴンでなければ、こちら側に来れないってのは、噴煙に紛れて
ブレスなんかが飛んでくるからか?」
「どうなんでしょうね? 竜は自分たちの住処を荒らされるのを嫌いますから。
人間のような小動物的存在であれば、大型竜はさして気にも留めないですが、派手に動けば怒ります。
今回の討伐対象理由は、町に降りて町を襲ったため……ですね」
「竜にもいろいろあるんだな。俺の知ってる竜は可愛いルーやトウマ、グリーンドラゴンくらいだ」
「トウマってまさかドラゴントウマの事ですか!? 私、見た事ないんですけど」
「そうか? ほら、トウマ。挨拶しな……ってトウマは俺が攻撃しないと基本動かないけど」
ずしーんと巨大なドラゴントウマを出す。久しぶりだな、トウマ!
「あ、あわわわわわわ……」
「な、なんですか!? 突然ルインさんから巨大な恐ろしいドラゴンが!」
「や、その……俺の能力ということで……ついでにグリドラもここなら出せるか」
「あひゃーー! 噂は本当だったんだ! 恐ろしいモンスター集団を操るとんでもないモンスター使い、ルイン!」
「俺、そんな風に噂されてるの!? ただの剣術、妖術使いなはずだったんだけど。
これ以外にもだいぶモンスターは増えたな……」
「も、もう結構です! はぁ……ジェネストさんたちを封印していたのにも驚きましたけど、まさか
大きさに関わらず封印出来てしまうなんて……」
「この個体があの中に……一体どうやって……」
まずい、二人共頭を抱えてしまった。無理もないか。こんなの妖魔の間でも普通じゃない。
これは個性! 単純にそう思ってもらうことにした。
「それで話を戻すが……レミ。この温泉水が流れる山の上にいるのか?」
「どうでしょうね。赤竜を目撃したというのがこの辺りという事までしか。けれどルインさん
たちなら……」
「確かに上空からも探せるが、少々危険だな。どうだ? セーレ」
「ヒヒン! 当然いけるけど、その後はしばらく君の中で休むよ! ヒヒン!」
「ああ。ここから聖堂までは徒歩でもいけるだろう。それじゃ頼む」
「任せといて! ヒヒン!」
一気に飛び出して空を駆けるセーレ。この辺りには似合わないその容姿は、襲われても仕方ないほど目立つ。
だがセーレは速い。上空をたまに飛翔する竜たちは追う事すらままならない。
しばらくしてセーレが戻ってきて、そのまま着地せず俺の封印の中に入った。
「ヒヒン! ここは僕には暑すぎるよ! ヒヒン! でも見つけたよ。変わった形の竜だったよ。ヒヒン! この山の山頂付近。行くならメルザちゃんは置いていった方がいいね。ヒヒン!」
「ならば、安全をとって俺とレウスさん。ウォーラスで行こう。ジェネストはここを守ってくれ」
「わかりました。早く戻ってきてください。後がつかえてますから」
「えー、私も行きたいです!」
「レミさん。この山は彼じゃないと難しいでしょう。私たちはここで、出来る限り採取を続けましょう」
「仕方ないかぁ……はぁーい。わかりました。全力で採取してますから、倒したら爪と鱗は絶対お願いします!」
「あ、ああ。なるべく素材となるようなものは持ち帰るよ。えーと……殺さないと、だめか?」
「うーん。殺せとは言われてません。知能の高い竜種であれば説得という方法もあるんでしょうけど。
その辺はお任せします! 討伐は爪と鱗で済んじゃいますけど、また出現したら討伐報酬を返してもらわないといけませんし」
「対話は試みるつもりだ。じゃあ、行ってくる。メルザ、ちゃんとジェネストのいう事聞いてくれよ」
「俺様は子供じゃないぞ! 賢い俺様は大人しく待ってるのだ! にはは!」
「随分と今回は聞き分けがいいな。どうしたんだ?」
「どうも温泉卵というのが美味しかったらしくて……もっと作ると張り切ってるんですよ」
「ははは、我が主らしい」
そう言い残すと、獣形態になって炎を纏いつつ、バネジャンプで飛翔し一気に活火山へと入っていった。
食用できるかを確認すると、こいつはムクバードの卵で食用。
早速温泉上部で茹でて、温泉卵にすることにした。
温泉といえばやっぱりこれだ。
「あれ先生。それも薬の材料?」
「いえ、これは食べられる野草です。おいしいんですよ」
「へぇ。こっちの世界に来てからは、そういったものに目を向ける余裕はなかったな。
メルザは……ああだめだ。本当に朝が弱い」
「えへへ。こうしてると、妹みたいで可愛くて……やだ、変なとこは触らないで!」
「母さん……むにゅむにゅ」
「ははは、癒される光景ですね」
メルザは寝ぼけながらレミにしがみついていた。寂しがりやで寝坊助な主だな。
そこが可愛らしく、微笑ましいのだが。
「ルイン、高い木になってた果物、とってきたぞ? 食べてみていいか? な?」
「レウスさんは食えないだろ……いや食いながら下に落ちるのか? うーん……」
朝のそんなやり取りを終わらせ、寝ぼけ眼のメルザもフラフラしながら食事を済ませて
出発の準備が整った。
「よし、それじゃ昨日聞いた通りドラゴンの依頼を済ませよう。
そいつの特徴とか、わかるか?」
「大型の赤竜です。私も現物は見た事が無くて。テヘヘ……」
「ドラグア山脈東側の中腹まではそこまで強そうなドラゴンはいなかったな。
噴煙の影響により強いドラゴンでなければ、こちら側に来れないってのは、噴煙に紛れて
ブレスなんかが飛んでくるからか?」
「どうなんでしょうね? 竜は自分たちの住処を荒らされるのを嫌いますから。
人間のような小動物的存在であれば、大型竜はさして気にも留めないですが、派手に動けば怒ります。
今回の討伐対象理由は、町に降りて町を襲ったため……ですね」
「竜にもいろいろあるんだな。俺の知ってる竜は可愛いルーやトウマ、グリーンドラゴンくらいだ」
「トウマってまさかドラゴントウマの事ですか!? 私、見た事ないんですけど」
「そうか? ほら、トウマ。挨拶しな……ってトウマは俺が攻撃しないと基本動かないけど」
ずしーんと巨大なドラゴントウマを出す。久しぶりだな、トウマ!
「あ、あわわわわわわ……」
「な、なんですか!? 突然ルインさんから巨大な恐ろしいドラゴンが!」
「や、その……俺の能力ということで……ついでにグリドラもここなら出せるか」
「あひゃーー! 噂は本当だったんだ! 恐ろしいモンスター集団を操るとんでもないモンスター使い、ルイン!」
「俺、そんな風に噂されてるの!? ただの剣術、妖術使いなはずだったんだけど。
これ以外にもだいぶモンスターは増えたな……」
「も、もう結構です! はぁ……ジェネストさんたちを封印していたのにも驚きましたけど、まさか
大きさに関わらず封印出来てしまうなんて……」
「この個体があの中に……一体どうやって……」
まずい、二人共頭を抱えてしまった。無理もないか。こんなの妖魔の間でも普通じゃない。
これは個性! 単純にそう思ってもらうことにした。
「それで話を戻すが……レミ。この温泉水が流れる山の上にいるのか?」
「どうでしょうね。赤竜を目撃したというのがこの辺りという事までしか。けれどルインさん
たちなら……」
「確かに上空からも探せるが、少々危険だな。どうだ? セーレ」
「ヒヒン! 当然いけるけど、その後はしばらく君の中で休むよ! ヒヒン!」
「ああ。ここから聖堂までは徒歩でもいけるだろう。それじゃ頼む」
「任せといて! ヒヒン!」
一気に飛び出して空を駆けるセーレ。この辺りには似合わないその容姿は、襲われても仕方ないほど目立つ。
だがセーレは速い。上空をたまに飛翔する竜たちは追う事すらままならない。
しばらくしてセーレが戻ってきて、そのまま着地せず俺の封印の中に入った。
「ヒヒン! ここは僕には暑すぎるよ! ヒヒン! でも見つけたよ。変わった形の竜だったよ。ヒヒン! この山の山頂付近。行くならメルザちゃんは置いていった方がいいね。ヒヒン!」
「ならば、安全をとって俺とレウスさん。ウォーラスで行こう。ジェネストはここを守ってくれ」
「わかりました。早く戻ってきてください。後がつかえてますから」
「えー、私も行きたいです!」
「レミさん。この山は彼じゃないと難しいでしょう。私たちはここで、出来る限り採取を続けましょう」
「仕方ないかぁ……はぁーい。わかりました。全力で採取してますから、倒したら爪と鱗は絶対お願いします!」
「あ、ああ。なるべく素材となるようなものは持ち帰るよ。えーと……殺さないと、だめか?」
「うーん。殺せとは言われてません。知能の高い竜種であれば説得という方法もあるんでしょうけど。
その辺はお任せします! 討伐は爪と鱗で済んじゃいますけど、また出現したら討伐報酬を返してもらわないといけませんし」
「対話は試みるつもりだ。じゃあ、行ってくる。メルザ、ちゃんとジェネストのいう事聞いてくれよ」
「俺様は子供じゃないぞ! 賢い俺様は大人しく待ってるのだ! にはは!」
「随分と今回は聞き分けがいいな。どうしたんだ?」
「どうも温泉卵というのが美味しかったらしくて……もっと作ると張り切ってるんですよ」
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そう言い残すと、獣形態になって炎を纏いつつ、バネジャンプで飛翔し一気に活火山へと入っていった。
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