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第四章 メルザの里帰り

第四百二十話 ドラグア山脈中腹

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 アデリーとコウテイを伴いながら、コラーダを出しつつ走る。
 競争とは言ったものの、登り始めて直ぐに地を走る竜種と遭遇した。
 まぁ当然いるよな……だが動きも遅いしどう見てもやばい竜じゃない。

「赤閃! ……この辺りの竜種は大したことないな」
「ええー、あれウィグルですよ、一応。小さいけど! 一撃でどんどん倒してる……
噂は本当だったんだぁ」
「あれくらいなら俺様の仲間たちみんな一撃だと思うぞ?」
「ひえー、幻妖団メル、、恐るべし! ですね」
「ルインさんは凄いですね。あんなに早く動きながら正確に魔物の弱点を捉えているように
見受けられます。いい目を持っているのでしょうか?」
「いや、ルインは……なんでもねー。きっとソードアイのせいじゃねーかな?」
「そういえば特殊職についてましたね……凄い、凄すぎる!」
「数が多いようですね。コウテイとアデリーの前方から襲われたら大変です。
私が先行しましょう」

 封印から出てきたジェネストが、一気に先頭へ立つ。毎回冷静に機転がきくな。
 優秀すぎる。ジェネストが味方になってくれたのは正直大きい。リルがよくその役目を
こなしてくれたが、リルも今後はより一層カノンを守らないといけない。それでもあいつは
俺をかばってしまうだろうけど。

「……っと、赤閃!」
「ギャルルウゥウウウ!」

 横から突如降りてきた竜種族を赤閃で封印した。ティラノサウルスか? これ。
 
「ルイン! 上から来ます! 気を付けなさい!」
「今度は上か! なんだありゃ。随分細い竜だな」
「あれはラプトーンですよ! 討伐対象です! お願いしまーす!」
「っていってもな。随分高く飛んでいるが、あそこから攻撃……っ妖楼! 
アデリー、コウテイ! いったん停止だ! メルザ、防護壁を上空にはってくれ! 
こいつ、上空から雷撃を撃って来る!」

 妖楼で急いで回避したが、危なかった。相変わらず雷撃にはとことん弱いな。
 
「撃ち落とせませんか? あの煩わしいやつ」
「距離が離れすぎてる。いや……届くか?」
「仕方ありません。あなたのバネジャンプと私の上空へ挙げる力をあわせますよ」
「よし、いくぞ! バネジャンプ!」
「ハァッ!」


 上空へ飛び上がるのと同時に勢いよく上空へ放り投げるジェネスト。
 グングン加速してラプトーンのもとまで届く。二匹なのがとりあえずは幸いしたな。

「赤連閃! シッ! もう一匹は頼むぞジェネスト!」
「ギュアーーー!」

 一匹を赤連閃で封印し、一番近い方は蹴りを下方へ落とすように入れて吹き飛ばした。
 
「いい位置です。深淵に見舞え、シャル・イー・テトラ!」
「ギュアーーー!」

 二匹の竜を討伐し終えた。レミが駆け寄ってラプトーンに泡を吹きかけ弾けると、素材
だけが綺麗に残った。随分と便利な技だな。

「これ、凄くいい素材になるんです。依頼達成です!」
「それで幾らくらいになるんだ?」
「レギオン金貨二十枚くらいになりますよ! 後で依頼料金はちゃんと渡しますからね!」
「分配分は色々考えておかないとな。その辺はメルザの里帰りが終わってからだ。
こんなことならパモも連れてくればよかったな。今頃温泉にでも浸かってるか……」

 大分パモを連れまわしたのでゆっくり休暇させてやりたいと思ったのが仇になったか。
 しかし町にはファナたちもいるし、パモは寂しくないだろう。

「ルインさん。この辺りで少々植物の採取をしましょう。ここより奥は魔物が多くなる
かもしれません。水の流れる音が近づいていますので」
「そうか。水辺は生活圏だからな。わかった。俺も手伝うよ先生」
「俺様も手伝うぞ!」
「メルザは肉体労働ダメだって。ジェネスト、メルザを頼む。代わりにレウスさんと
ウォーラスも手伝ってくれるか?」
「勿論だぞ! な? 高いところは俺に任せてくれな?」
「岩の間や壁の先なんかは入ってとってこれるかべ」
「なんと! それは素晴らしいです。お二人ともよろしくお願いしますね」

 どっちも考えてみたらぶっ飛んでるんだよな。この三人、やはりいい連携がとれそうだ。
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