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第四章 メルザの里帰り

第三百九十九話 対ドン、ドグギアーテ

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「シッ! ……どうやらターフスキアーはあの三体だけだったようですね。他のモンスターは大した事
ありません!」
「油断するな。ジェネス……っ!」
「ああっ! ……ぐ、う……」

 一気に突き進んでいたその時だった。ちょうど広い場所に出た瞬間、ジェネストが横へはじきとばされる。
 目の前にいるのは……羽が生えたとかげ顔のような、手が二本あり、槍のようなものを持っている。
 竜というよりは爬虫類のような奴だ。

 幻神魔解放中のジェネストを弾き飛ばすだけの腕力と俊敏さを併せ持つってことか。

「大丈夫か、ジェネスト! なんだこいつは」
「起きていたか! ドン、ドグギアーテ! 急ぎ逃げるのだ弟よ! こいつは目があまりよくない! 
見つからなければ怖くはないが、見つかると狂暴だ!」

 ちらりとメルザを見る。今はコウテイの上だが息は荒い。
 氷り造形術で少し冷やせるようにして熱を少し下げる工夫はしてある。
 高熱すぎれば脳がいかれるってのは人間機能の脆さだ。何せ身体復旧活動を盛んにするために
オートメーションで勝手に産熱させる機能がある。
 人が持つ機能はよくできているが色々な調整があまい。
 だからこそ体温を保護しながら局所的に冷やす必要がある。

「果たしてこの世界の医者はどこまで信頼できるのか……それよりもまず! 剣戒!
邪魔をするなああああああああー---! 赤閃!」
「ゲギイイイイイイイイイ!」

 剣戒をして一気に赤閃を放つが、槍で器用に回避している。俺の赤閃は軽くないが、きっちり
一発一発受けと切っている。

「エレギー! この先こいつより強いやつがいないなら先行してメルザを町までつれていけないか? 
ジェネスト、動けそうならお前も頼む!」
「だから、それはあなたの役目でしょう! あなたは私の主になった。それならば駒のように私を使って
みなさい!」
「できるか! お前を巻き込んだのは俺だ! もう一度ブレディーに合わせるまで、無茶はさせられない。
封剣! ティソーナ。悪いが遊んでられない。本気で仕留めにかかる。力を貸してくれ」
「いいでごじゃろ。可愛いメルザちゃんのためでごじゃろ」
「弟よ! お前の嫁は必ずわてが助ける! バルバロッサで待っているからな! 必ず来い!」
「ジェネスト、頼む、行ってくれ! お前を信頼している! レウスさんも、頼んだぞ!」
「くっ……わかりました。道は私が開きます!」
「氷塊のツララ! お前の相手はこっちだ! ……ここでリーサルレデクを使うのは危険か。
ここはドラゴンフライを生成して注意を引くか……神魔解放はいったん終わりだな」

 一時状態を戻し呼吸を整える。 ドン、ドグギアーテはこちらを標的として認識したようだ。
 メルザたちが先に進めるよう威嚇を続ける。
 それでいい。弱点は……足……か。攻勢を考えつつカタストロフィを狙うか……真化か。
 こいつ一匹とは限らない。相手も俺の赤閃を受けて相当警戒しているようだ。

「ギギイイイイイ!」
「っ! 妖楼! 赤星の小星!」

 毒のような物を吐きかけてきたので回避。かなり大きく避けないと、成分がわからない以上は危険だ。
 小型の隕石のような星を放つ。散々使い慣れた技だが、威力的にはかなり下位。
 多様性のある技の中でも、矢と小星はけん制に向く。
 毒持ち相手とはほぼ対峙したことがない。接近して戦うにも危険か……しかも相手は槍。
 間合いに入るのも難しいとなると、ここはやはりこうか。

【真化】

「悪いが先を急ぐんでな。実験も兼ねるが恨むなよ。「黒海星の殺戮群ブラックスローターズ

 真っ黒なヒトデ形の物体が一面に降り注ぐ。それは、赤海星の殺戮群より倍は大きい。
 不気味な動きでゆっくりとドン、ドグギアーテへ近づいていく。
 毒を吐きかけても効果はなく、槍で突いても動きを止めることが無い。

「狩りつくせ」

 指示を出すと、それは勢いよくドン、ドグギアーテへとびかかり、咀嚼を始めた。
 赤海星の殺戮群より速度はないものの、対球面と咀嚼容量は大きいようだ。

「出会ったタイミングと相手が悪かったな」
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