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第三章 舞踏会と武闘会

第三百七十九話 呪われた黄金の腕輪

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 メルザを励ました俺たちは、全員同じ気持ちだった。

「さぁて、帰ろうか!」
「ああ、俺様たちの町に!」
「私たちは一足先に帰って少しだけ休めたけど、ルインはバタバタしてたもんね」
「ああ。早く温泉に入りたい……パモもおとなしくさせたままだったけど……そうだ! イネービュに
聞いておかないといけないんだった。パモ、在れ出してもらえるか?」
「ぱみゅー! ぱみゅ」

 俺はパモに、以前ニーメから渡された呪いの腕輪を出してもらった。
 強力な呪いが付与されているが、解呪されている……と思う。

 イネービュは熱心にロブロードの研究をしているようだが、いくつも硝子を粉砕させている。
 ……はじいただけで世界が崩壊するとかでなければいいんだが……いやいや、この神は
どちらかというと好奇心がありすぎてそんな勿体ない事しないか。

「絶対神イネービュ。これを見て欲しい。なるべく人目につかないようにはしてきたんだが……多分
やばいものだよな、これ」
「これは……まさか君たちがこれを保有していたのかな。随分と危険な事をするね」
「やっぱりやばい物だよな、これって」
「そうだね。この形態のまま人が持ち続ければ簡単に死に至る。どうやって持ち歩いていたんだ?」
「パモの中で解呪したうえで持ち歩いていたんだ」
「これは……これそのものは解呪されていない。だがこのパモって子には耐性が出来ているようだね。
一度呪われた上で封印し、そこから解呪を試みた影響だろうか? 最大級の呪いが付与されている。
君自身が呪いを防ぐ魂魄で無ければ、とっくに死んでいるだろうね」
「そうか。最初に所持していたニーメは平気なのか? 持ってるのが俺とパモだけにしておいて
正解だったな。パモもそれを理解してたのかもしれない」
「いや……随分と疑問だったが謎と警戒心が解けたよ。あの子には神を避ける術と耐呪の首飾りを
身に着けていた。だから何とも無かったんだろうね。少々危険な手段ではあるが、これを持ち歩くために
というわけではないようだ。
これは既にアーティファクトとして君の所有物だが、少々預かっておいても構わないかな? 
武器に加工するにも今のままだと難しい。呪いの武具には技術者がいれば変えられるけど。
この呪いを解くには別の神の力が必要だ。もちろん条件は、ロブロードの情報だけどね」
「構わない。今のままではどうしたらいいかわからなかったんだ。頼むよ」
「神兵の子たちは多分……そうするとロキの……いや、何でもない。
君のそばにいるならきっと、平気だろう。もしもの話だが、神兵を名乗るものたちに襲われたらイネービュの名を出すように」
「……? ああ。覚えておくよ。それじゃ俺たちはそろそろ地上に戻る。多分また近いうちに
……会うよな」
「そうだね。いつでも君にだけなら会いにいけるけど、今はロブロードで忙しい。後の事は
ブネとエプタに聞いて欲しい」
「わかった。それではまたお会いしよう、絶対神イネービュ」
「君にはもっと普通に呼んでもらいたいものだね。そう、君のいた星でいうあだ名っていうのでさ」
「あだ名? 絶対神にか? エーナたちにまた白い目で見られそうだが……まぁそういうなら。
ネイビー。この濃い海底のような色の意味だ。イネービュの瞳の色によく合うだろう」
「君は名前を付ける能力に長けているね。どうやって考えているんだい?」
「物の名前などを覚えた時、自分の脳内にある知識を文字列で引っ張りだしてそれに該当するものを
はめてる感覚……っていえばわかるか?」
「それを数秒でこなしているのか。人というのは本当に面白いね」
「誰しもがやってるわけじゃないだろうけど、俺はこういうのが好きなんだ。
無駄に記憶力がいいものでね」
「それは無駄などではないよ。君の誇れる能力だろう」
「ありがとうネイビー。また何れお会いしよう」
「ところで……」
「おーい! お前、帰す気ないだろう!」
「ふふふ、冗談だよ。少し……いや大分かな。寂しいと思ったんだろう。こういった感情が出る
ということは、人に触れ過ぎた証拠でもあるんだろうね。それでは、また」


 呪いの黄金腕輪をイネービュに託すと、ようやく解放され、ルーンの町へ戻る準備を急いだ。
 といっても俺が持っていくものなんて、あまり無いけど。
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