異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
上 下
434 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会

第三百七十九話 呪われた黄金の腕輪

しおりを挟む
 メルザを励ました俺たちは、全員同じ気持ちだった。

「さぁて、帰ろうか!」
「ああ、俺様たちの町に!」
「私たちは一足先に帰って少しだけ休めたけど、ルインはバタバタしてたもんね」
「ああ。早く温泉に入りたい……パモもおとなしくさせたままだったけど……そうだ! イネービュに
聞いておかないといけないんだった。パモ、在れ出してもらえるか?」
「ぱみゅー! ぱみゅ」

 俺はパモに、以前ニーメから渡された呪いの腕輪を出してもらった。
 強力な呪いが付与されているが、解呪されている……と思う。

 イネービュは熱心にロブロードの研究をしているようだが、いくつも硝子を粉砕させている。
 ……はじいただけで世界が崩壊するとかでなければいいんだが……いやいや、この神は
どちらかというと好奇心がありすぎてそんな勿体ない事しないか。

「絶対神イネービュ。これを見て欲しい。なるべく人目につかないようにはしてきたんだが……多分
やばいものだよな、これ」
「これは……まさか君たちがこれを保有していたのかな。随分と危険な事をするね」
「やっぱりやばい物だよな、これって」
「そうだね。この形態のまま人が持ち続ければ簡単に死に至る。どうやって持ち歩いていたんだ?」
「パモの中で解呪したうえで持ち歩いていたんだ」
「これは……これそのものは解呪されていない。だがこのパモって子には耐性が出来ているようだね。
一度呪われた上で封印し、そこから解呪を試みた影響だろうか? 最大級の呪いが付与されている。
君自身が呪いを防ぐ魂魄で無ければ、とっくに死んでいるだろうね」
「そうか。最初に所持していたニーメは平気なのか? 持ってるのが俺とパモだけにしておいて
正解だったな。パモもそれを理解してたのかもしれない」
「いや……随分と疑問だったが謎と警戒心が解けたよ。あの子には神を避ける術と耐呪の首飾りを
身に着けていた。だから何とも無かったんだろうね。少々危険な手段ではあるが、これを持ち歩くために
というわけではないようだ。
これは既にアーティファクトとして君の所有物だが、少々預かっておいても構わないかな? 
武器に加工するにも今のままだと難しい。呪いの武具には技術者がいれば変えられるけど。
この呪いを解くには別の神の力が必要だ。もちろん条件は、ロブロードの情報だけどね」
「構わない。今のままではどうしたらいいかわからなかったんだ。頼むよ」
「神兵の子たちは多分……そうするとロキの……いや、何でもない。
君のそばにいるならきっと、平気だろう。もしもの話だが、神兵を名乗るものたちに襲われたらイネービュの名を出すように」
「……? ああ。覚えておくよ。それじゃ俺たちはそろそろ地上に戻る。多分また近いうちに
……会うよな」
「そうだね。いつでも君にだけなら会いにいけるけど、今はロブロードで忙しい。後の事は
ブネとエプタに聞いて欲しい」
「わかった。それではまたお会いしよう、絶対神イネービュ」
「君にはもっと普通に呼んでもらいたいものだね。そう、君のいた星でいうあだ名っていうのでさ」
「あだ名? 絶対神にか? エーナたちにまた白い目で見られそうだが……まぁそういうなら。
ネイビー。この濃い海底のような色の意味だ。イネービュの瞳の色によく合うだろう」
「君は名前を付ける能力に長けているね。どうやって考えているんだい?」
「物の名前などを覚えた時、自分の脳内にある知識を文字列で引っ張りだしてそれに該当するものを
はめてる感覚……っていえばわかるか?」
「それを数秒でこなしているのか。人というのは本当に面白いね」
「誰しもがやってるわけじゃないだろうけど、俺はこういうのが好きなんだ。
無駄に記憶力がいいものでね」
「それは無駄などではないよ。君の誇れる能力だろう」
「ありがとうネイビー。また何れお会いしよう」
「ところで……」
「おーい! お前、帰す気ないだろう!」
「ふふふ、冗談だよ。少し……いや大分かな。寂しいと思ったんだろう。こういった感情が出る
ということは、人に触れ過ぎた証拠でもあるんだろうね。それでは、また」


 呪いの黄金腕輪をイネービュに託すと、ようやく解放され、ルーンの町へ戻る準備を急いだ。
 といっても俺が持っていくものなんて、あまり無いけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

魔法少女のなんでも屋

モブ乙
ファンタジー
魔法が使えるJC の不思議な部活のお話です

処理中です...