425 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会
第三百七十一話 第三第四試合混合 バトルロイヤル 強者たちの死闘、決着
しおりを挟む
「……あんなイネービュ様のお顔を見るのは初めてだ」
「楽しいのではないか? 実際見ているわらとしても、ルインを援助し戦いたいのだが」
「それが貴様らの結びつきというやつか。我々にそういった感情は無い。いや……芽生えていないと
言った方が的確なのだろう。あのエプタでさえ、戦いに魅入られておる」
ブネはちらりとエプタを見ると、下唇を噛み締め、今にも乗り込んで参戦しそうだ。
「あやつを今一度地上へ向かわせ、人の見分を深めるのもいいかもしれぬな」
「神の遣いとはいったいどのようなものなのだ?」
「イネービュ様の分体であり、それぞれに特徴を持つ。だが神の遣いとは神ではない。
お主らの言葉で言うなら、天使が近いかもしれんな」
「天使、天から遣わされた者の相称か。神の兵士というわけではないようだが」
「神兵とは人の魂魄を詰めた者。我々は元々が人などではない……話はここまでだ。
状況が動くぞ!」
「むぅ、あれは……」
冷静に話をするブネとドーグルの会話が多少耳に入るが、それどころじゃない!
「おいルイン。ここでくたばっても復活できるなら、うらむんじゃねえぞ」
「くたばりませんよ! 会場でメルザが見てる! あいつのことだ。そんな状況飲み込めず、暴走
するに違いない!」
「わりぃな。手加減できねぇ、いくぞ! 仮面の嬢ちゃんもだ!」
「うぅ、さっきのダメージでまだ動けない。これまでか……」
「斧雷烈苦灰燼撃!」
「妖氷造形術……赤海星、氷の赤大盾!」
とっさにジェネストの前に立ったルインだが、灰色のライオンの形をした
雷がほとばしり、ルインが構築した赤い氷の大盾へとぶつかる。
それは氷盾でどうにか防がれたが……「ぐ、あああああー-! 身体が焼ける!」
「な、なぜ私をかばうのですか! それに氷の盾で防ぐなど……」
「ほう、とっさの判断力は鈍ってねぇじゃねえか。相当あれの威力を殺したな。
氷は雷を通しにくい。だが通さねえわけじゃねえからな。へへ、ちゃんと俺が話した
属性の事、覚えてやがったじゃねえか」
まだ、倒れるわけにはいかない。仮にもジェネストの主となった。
幻滅させるわけにはいかない。それに場外へ出て行ったメルザ。
恐らくこっちを見てる。
「師匠、すみませんが新技を。もう立ってるだけで精一杯だけど、この一撃で必ず俺は倒れる」
「来い。受けてやる。俺の技を受けきったんだ。避けやしねぇよ」
「……すみません。かなりの威力になる。試すのが怖いくらいに」
どうにか震えて焼け焦げた手を掲げ、構えた。今この位置姿勢で出せるのは、コラーダの技。
「剣戒! リーサルレデク・ルージュ!」
刀身はおろか柄まで紅色に染まるコラーダ。巨大化し一直線に紅色の閃光を放ち、師匠を貫いた。
「が、は……この鋼鉄の体毛を貫くとは……目の力……久しくみてねぇそれを……やる、じゃねえか」
「ここで、師匠に、どうしても負けたくなかっ……た」
「これは! ルイン、大丈夫か。いや、復活するのであったな」
「それは死んだ場合だ! いかん、あの技……後遺症が残りかねんぞ」
「ルイン、ルイーーーーーン! またむちゃしやがった。俺様が傍を離れたから! 俺様のばか!」
ブネとメルザが急ぎ駆け寄り、ブネは何かの術を施している。ベルディスも死んだわけではなく
深手を負っただけのようだった。セフィアも急ぎ向かい、治療を開始している。
残されたのはジェネストだけだった。
イネービュが声をかける。
「勝負ありかな。これは……判断に迷う結果だね」
「私は……守られただけだった。どう考えても私の負けでしょう」
ふわりと舞台にイネービュが降り立ち語り始めた。
「楽しいのではないか? 実際見ているわらとしても、ルインを援助し戦いたいのだが」
「それが貴様らの結びつきというやつか。我々にそういった感情は無い。いや……芽生えていないと
言った方が的確なのだろう。あのエプタでさえ、戦いに魅入られておる」
ブネはちらりとエプタを見ると、下唇を噛み締め、今にも乗り込んで参戦しそうだ。
「あやつを今一度地上へ向かわせ、人の見分を深めるのもいいかもしれぬな」
「神の遣いとはいったいどのようなものなのだ?」
「イネービュ様の分体であり、それぞれに特徴を持つ。だが神の遣いとは神ではない。
お主らの言葉で言うなら、天使が近いかもしれんな」
「天使、天から遣わされた者の相称か。神の兵士というわけではないようだが」
「神兵とは人の魂魄を詰めた者。我々は元々が人などではない……話はここまでだ。
状況が動くぞ!」
「むぅ、あれは……」
冷静に話をするブネとドーグルの会話が多少耳に入るが、それどころじゃない!
「おいルイン。ここでくたばっても復活できるなら、うらむんじゃねえぞ」
「くたばりませんよ! 会場でメルザが見てる! あいつのことだ。そんな状況飲み込めず、暴走
するに違いない!」
「わりぃな。手加減できねぇ、いくぞ! 仮面の嬢ちゃんもだ!」
「うぅ、さっきのダメージでまだ動けない。これまでか……」
「斧雷烈苦灰燼撃!」
「妖氷造形術……赤海星、氷の赤大盾!」
とっさにジェネストの前に立ったルインだが、灰色のライオンの形をした
雷がほとばしり、ルインが構築した赤い氷の大盾へとぶつかる。
それは氷盾でどうにか防がれたが……「ぐ、あああああー-! 身体が焼ける!」
「な、なぜ私をかばうのですか! それに氷の盾で防ぐなど……」
「ほう、とっさの判断力は鈍ってねぇじゃねえか。相当あれの威力を殺したな。
氷は雷を通しにくい。だが通さねえわけじゃねえからな。へへ、ちゃんと俺が話した
属性の事、覚えてやがったじゃねえか」
まだ、倒れるわけにはいかない。仮にもジェネストの主となった。
幻滅させるわけにはいかない。それに場外へ出て行ったメルザ。
恐らくこっちを見てる。
「師匠、すみませんが新技を。もう立ってるだけで精一杯だけど、この一撃で必ず俺は倒れる」
「来い。受けてやる。俺の技を受けきったんだ。避けやしねぇよ」
「……すみません。かなりの威力になる。試すのが怖いくらいに」
どうにか震えて焼け焦げた手を掲げ、構えた。今この位置姿勢で出せるのは、コラーダの技。
「剣戒! リーサルレデク・ルージュ!」
刀身はおろか柄まで紅色に染まるコラーダ。巨大化し一直線に紅色の閃光を放ち、師匠を貫いた。
「が、は……この鋼鉄の体毛を貫くとは……目の力……久しくみてねぇそれを……やる、じゃねえか」
「ここで、師匠に、どうしても負けたくなかっ……た」
「これは! ルイン、大丈夫か。いや、復活するのであったな」
「それは死んだ場合だ! いかん、あの技……後遺症が残りかねんぞ」
「ルイン、ルイーーーーーン! またむちゃしやがった。俺様が傍を離れたから! 俺様のばか!」
ブネとメルザが急ぎ駆け寄り、ブネは何かの術を施している。ベルディスも死んだわけではなく
深手を負っただけのようだった。セフィアも急ぎ向かい、治療を開始している。
残されたのはジェネストだけだった。
イネービュが声をかける。
「勝負ありかな。これは……判断に迷う結果だね」
「私は……守られただけだった。どう考えても私の負けでしょう」
ふわりと舞台にイネービュが降り立ち語り始めた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。


職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました
飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。
令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。
しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。
『骨から始まる異世界転生』の続き。


調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる