421 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会
第三百六十七話 第三第四試合混合 バトルロイヤル ユニカ族の恐ろしさ
しおりを挟む
正気を失った目のライラロさんが、 レヴィアタンの傍らに浮かび上がる。
目は完全に白目。ユニカ族の角が伸び青白く光を放っている。
あんな形態みたことないぞ……これがユニカ族ってやつの力なのか?
じっとしていればただただ美しいライラロさん。今の形態の方が師匠好みなのでは……
と思ったが師匠は珍しく冷や汗をかいているようだ。
よほどまずい形態らしい……。
「少し舞台を整える必要があるね。今のままでは少々危険だ。辺り一面水浸しになり、観客の方が
死んでしまうかもしれない」
イネービュが浮かび上がると、パチリと指を弾く。
すると俺たちのいるリングがどんどんと上空へせり出し舞台が切り離されていく。
「これでいい。そこから下へ落ちても死ぬことはないから安心して戦いなさい。
少し冷水を浴びることになるけどね」
戦う場所があっというまに上空かつ水の舞台へと変貌した! 伊達に海の神じゃないな。
「思う存分戦えるらしいですよ。まったく。武闘会にしちゃもう滅茶苦茶ですね」
「ちげぇねぇが、いざ戦いってのはそんなもんだろ。ルールありきで殴り合い出来る程、世の中
甘くはねえからな。こういうのにも慣れておかねえと、前のデイスペルの時みたくなっちまうだろうが」
「あ……おっしゃる通りです。ルールありで殴り合いできるのって、ルールがしっかり決まった人同士の
戦いだからか……」
「そういうこった。俺もウェアウルフ。おめぇは妖魔だろ。人の世界でもまともなルールは
おしつけちゃくれねぇ。これも修行だな。以前あれとやり合った時は死ぬかと思ったが……俺も
あれから随分腕をあげた。そうそう遅れをとるわけにゃいかねえ」
「二人共。無駄な話はその辺にしていきますよ!」
「相変わらず厳しいなジェネストは。毒を吐くのはブレディー譲りか?」
「……御冗談を。けれどディーン様譲りと言われて悪い気はしないですね」
三者三用の武器を構える……が、二人は必ず突撃すると踏んだ俺は、遠中距離からの攻撃を選択する。
……だが先にレヴィアタンの口が大きく開いた。
「っ! やべぇ! 全員攻撃より先に防御しやがれ! せりあがったせいで上空が使えねぇ!
くそ、これじゃ余計なハンデをもらったようなもんだぜ」
「うおお、確かにやばい雰囲気だ! でかい大技がくる!」
「ほーう。開幕から混沌の大海嘯か。全員耐えられるかな」
レヴィアタンの口先から、その口から放出されたと思えない程の水が噴き出される。
それは俺の赤海星術など比較にならないほどの圧倒量。
「やっべぇ! なんだあの水量! ふざけろ、まるで海そのものじゃないか!」
「くそ! ここじゃせめぇ! よりによって範囲が決められた場所での戦闘でこいつとはよ!
早急にくたばるんじゃねえぞ! 斧重裂撃! おらおらおら、連打だ!」
「土臥斗! ……これでは全然無理ですね。仕方ありません……幻神魔解放!
……ブレッシブディフレクションズ」
二人共とんでもない動きで大海嘯に備えだした。ジェネストにいたっては切り札中の切り札だろ、あれ。
俺は……迷ってる暇はない! 今出来るとしたらこうだ!
【真化、獣戦車化】
「ぐ、う……神魔解放しないときつい……炎は厳しい、水で撃ち合え……赤海星の変革なる一撃!」
俺は獣形態を戦車形態に変異させる最大級の技を正面へとぶっ放した。
更に水の勢いを殺せるよう正面に赤星の盾を張り巡らせる。
赤海星の変革なる一撃は正面をぶち抜き、水の流れる形を大きくそらした。俺は奥を見て絶望した。
分厚すぎる。こんな海嘯起きたら豆腐がつぶれるようにぺちゃんこになるぞ。
「おいティソーナ! 大ピンチだ。頼む力を貸してくれ!」
「なんでごじゃろ? さっき助けたばかりでごじゃろ……あら、本当にまずいでごじゃろ。錆びたくない
でごじゃろ」
「錆びるのかお前! とかやってる場合じゃないんだよ! 強烈な水を防ぐ術とかないのか! あっちの
幻魔人形がやってるようなやつとか!」
「御前、妖魔ということを忘れておるでごじゃろ? 妖術はイメージが大事でごじゃろ。なんでも
やってみるでごじゃろ。造形術、使えるでごじゃろ?」
「そうか、その手が……ぶっつけ本番だがやってみるしかない! ありがとよ、てぃーちゃん!」
「そう、麿はてぃーちゃんでごじゃろ!」
ティソーナに土壇場でヒントをもらった俺は、獣戦車形態を一旦解き、構えた。
目は完全に白目。ユニカ族の角が伸び青白く光を放っている。
あんな形態みたことないぞ……これがユニカ族ってやつの力なのか?
じっとしていればただただ美しいライラロさん。今の形態の方が師匠好みなのでは……
と思ったが師匠は珍しく冷や汗をかいているようだ。
よほどまずい形態らしい……。
「少し舞台を整える必要があるね。今のままでは少々危険だ。辺り一面水浸しになり、観客の方が
死んでしまうかもしれない」
イネービュが浮かび上がると、パチリと指を弾く。
すると俺たちのいるリングがどんどんと上空へせり出し舞台が切り離されていく。
「これでいい。そこから下へ落ちても死ぬことはないから安心して戦いなさい。
少し冷水を浴びることになるけどね」
戦う場所があっというまに上空かつ水の舞台へと変貌した! 伊達に海の神じゃないな。
「思う存分戦えるらしいですよ。まったく。武闘会にしちゃもう滅茶苦茶ですね」
「ちげぇねぇが、いざ戦いってのはそんなもんだろ。ルールありきで殴り合い出来る程、世の中
甘くはねえからな。こういうのにも慣れておかねえと、前のデイスペルの時みたくなっちまうだろうが」
「あ……おっしゃる通りです。ルールありで殴り合いできるのって、ルールがしっかり決まった人同士の
戦いだからか……」
「そういうこった。俺もウェアウルフ。おめぇは妖魔だろ。人の世界でもまともなルールは
おしつけちゃくれねぇ。これも修行だな。以前あれとやり合った時は死ぬかと思ったが……俺も
あれから随分腕をあげた。そうそう遅れをとるわけにゃいかねえ」
「二人共。無駄な話はその辺にしていきますよ!」
「相変わらず厳しいなジェネストは。毒を吐くのはブレディー譲りか?」
「……御冗談を。けれどディーン様譲りと言われて悪い気はしないですね」
三者三用の武器を構える……が、二人は必ず突撃すると踏んだ俺は、遠中距離からの攻撃を選択する。
……だが先にレヴィアタンの口が大きく開いた。
「っ! やべぇ! 全員攻撃より先に防御しやがれ! せりあがったせいで上空が使えねぇ!
くそ、これじゃ余計なハンデをもらったようなもんだぜ」
「うおお、確かにやばい雰囲気だ! でかい大技がくる!」
「ほーう。開幕から混沌の大海嘯か。全員耐えられるかな」
レヴィアタンの口先から、その口から放出されたと思えない程の水が噴き出される。
それは俺の赤海星術など比較にならないほどの圧倒量。
「やっべぇ! なんだあの水量! ふざけろ、まるで海そのものじゃないか!」
「くそ! ここじゃせめぇ! よりによって範囲が決められた場所での戦闘でこいつとはよ!
早急にくたばるんじゃねえぞ! 斧重裂撃! おらおらおら、連打だ!」
「土臥斗! ……これでは全然無理ですね。仕方ありません……幻神魔解放!
……ブレッシブディフレクションズ」
二人共とんでもない動きで大海嘯に備えだした。ジェネストにいたっては切り札中の切り札だろ、あれ。
俺は……迷ってる暇はない! 今出来るとしたらこうだ!
【真化、獣戦車化】
「ぐ、う……神魔解放しないときつい……炎は厳しい、水で撃ち合え……赤海星の変革なる一撃!」
俺は獣形態を戦車形態に変異させる最大級の技を正面へとぶっ放した。
更に水の勢いを殺せるよう正面に赤星の盾を張り巡らせる。
赤海星の変革なる一撃は正面をぶち抜き、水の流れる形を大きくそらした。俺は奥を見て絶望した。
分厚すぎる。こんな海嘯起きたら豆腐がつぶれるようにぺちゃんこになるぞ。
「おいティソーナ! 大ピンチだ。頼む力を貸してくれ!」
「なんでごじゃろ? さっき助けたばかりでごじゃろ……あら、本当にまずいでごじゃろ。錆びたくない
でごじゃろ」
「錆びるのかお前! とかやってる場合じゃないんだよ! 強烈な水を防ぐ術とかないのか! あっちの
幻魔人形がやってるようなやつとか!」
「御前、妖魔ということを忘れておるでごじゃろ? 妖術はイメージが大事でごじゃろ。なんでも
やってみるでごじゃろ。造形術、使えるでごじゃろ?」
「そうか、その手が……ぶっつけ本番だがやってみるしかない! ありがとよ、てぃーちゃん!」
「そう、麿はてぃーちゃんでごじゃろ!」
ティソーナに土壇場でヒントをもらった俺は、獣戦車形態を一旦解き、構えた。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。
【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~
すちて
ファンタジー
謎のダンジョン、真実クエスト、カウントダウン、これは、夢であるが、ただの夢ではない。――それは世界のルールが書き変わる、最初のダンジョン。
無自覚ド善人高校生、真瀬敬命が眠りにつくと、気がつけばそこはダンジョンだった。得たスキルは『ガチャ』!
クラスメイトの穏やか美少女、有坂琴音と何故か共にいた見知らぬ男性2人とパーティーを組み、悪意の見え隠れする不穏な謎のダンジョンをガチャスキルを使って善人パーティーで無双攻略をしていくが……
1部夢現《ムゲン》ダンジョン編、2部アポカリプスサウンド編、完結済。現代ダンジョンによるアポカリプスが本格的に始まるのは2部からになります。毎日12時頃更新中。楽しんで頂ければ幸いです。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる