上 下
420 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会

第三百六十六話 第三第四試合混合 バトルロイヤル 乱入! 古竜招来 レヴィアタン

しおりを挟む
「後がつかえてるみてぇなんでな。そろそろ決着つけようや」
「そうですね。狼の顔も見飽きた所です。倒れてもらうことにしましょうか」
「嬢ちゃんは口が悪ぃな。佇まいは美しいのによ」
「当然です。この体はディーン様より賜ったもの。美しいに決まっています」

 そう話している時だった。観客席からとんでもない水術が飛んでくる。

「……ちょっとベルディス。妻を前に堂々と浮気発現するとはいい度胸じゃないの」
「げ、ライラロ。てめぇ! そりゃ反則……どわぁぁぁーー!」
「……? あの方も選手だったのですか? かなりの幻術使いとお見受けしますが、なぜあんなところに」
「や、やべぇ。あいつマジだ。乗り込んできやがるつもりだ!」
「どういうことです? あなたの奥さんなのでは?」
「し、知らねぇ。勝手に妻になりやがっただけだ! 俺は知らねぇ!」
「あーらベルディス。この幻残のライラロ相手にそのまま戦うつもりかしら」
「お、おい。反則負けになるじゃねえか!」
「構わないよ。彼女も実力者なのだろう? この試合限りではあるが参加を認めようじゃないか」
「わらは止めたのだが……止まらないようだ。頑張れベルディス殿」
「へーえ。もしかしてあなた、ユニカ族ですか。これは面白いですね」
「ちっとも面白くないわよ。人の旦那をつまみ食いしようとはいい度胸じゃないの」
「つまみ食い? どういう意味です?」
「どうでもいいわ! 二人仲良くしちゃって! どっちも許せないわ! お仕置きよ! 
究極幻術、古麒麟、水刃流乱斗」
「やべぇ、本当に出しやがった! 洒落じゃきかねえぞこいつぁよ!」
「これは……水幻術最古の術の一つ。地上にこのような使い手がまだいようとは。面白い、面白いです。
少しですが地上に興味が沸きました。いいでしょう……我が深淵をお見せしましょう。
深淵、シャル、ディー、土刃斗アルファ!」
「けっ。やっぱり幻術も使えるんじゃねえか。危ねぇなおい。斧重裂撃!」

 ライラロが放った古麒麟は触れるものを刃で切断する。だが土は水を吸収し勢いを弱める。
 ジェネストが放つ土の刃は打ち砕かれこそするが、古麒麟の威力を弱めるのに十分。
 そこにベルディスの巨大な斬撃が古麒麟の刃を押しのけていった。

「ないよなによ! なんであんたが私のダーリンと連携してるのよ! 何なの? 喧嘩売ってるのよね?
もう怒ったわ! 徹底的にやってやるわよ! 主として権限を徹底行使。
古の水の斗。改元せし一つの理。
古の水竜レヴィアタンを我が元に」
「へぇ。これは驚いたね。まさかレヴィアタンを呼び出す程の実力者が混じっていたとは」
「おいばかてめぇライラロ! それ使ったらしばらく動けねぇだろうが! 何してやがる!」
「夫の浮気現場を見逃すわけにいかないじゃない!」
「く……この水竜は……なんという威圧感を放っているのか。これはどうやら相当骨がおれそうですね」
「かー、またこいつと敵対してやりあうはめになるとは。おい! 仮面の嬢ちゃん。一時休戦だ。
あれをどうにかしねぇとここら一面水浸しじゃすまねえぞ!」
「そのようですね。仕方ありません。あちらで座っている彼の力も借りてはどうですか?」
「あん? ルインか! まさかハーヴァルを倒しちまったのか。がっはっは! こりゃいい。
おいルイン! 聞こえるか? おめぇも戦え! 非常事態だ!」
「……遠目に見てたんですけど、絶対巻き込まれると思ってました。なんですかあれは」
「ライラロの秘密兵器みてぇなもんだ。古の水竜レヴィアタン。あいつが呼び出せるように
なった究極の招来術だ」

 その巨体は十メートルほど。渦を巻き、こちらを見下ろしている。
 海底においてこれほどの竜と対峙する事になろうとは……しかも呼び出したのがあのライラロさん。
 相変わらず無茶苦茶な人だよ……。どーすんのよ、これ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~

ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。 対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。 これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。 防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。 損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。 派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。 其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。 海上自衛隊版、出しました →https://ncode.syosetu.com/n3744fn/ ※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。 「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。 →https://ncode.syosetu.com/n3570fj/ 「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

処理中です...