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第三章 舞踏会と武闘会

第三百四十八話 第二試合 負けない!

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「これはまずいわね。圧倒的に不利じゃない! 三対七よ三対七!」
「ちみは落ち着きがたりないな。確かに竜は脅威だが、あれは幻影竜に見えるぞ」
「幻影竜? 招来術とは少し違うわね……あれは術の類ではないの?」
「実態する存在の一部の力を借りて利用する儀式のようなものと、聞いたことがある。
竜種としての幻影は見るのが初めてだが」
「……あんた意外と物知りなのね。私でもしらないこと知っているなんて」
「ちみよりは長く生きているからな」
「ほう。人の子の知識の中に語り継がれているものがあるとは。そう、これは
ドラディニア大陸、シフティス大陸、キゾナ大陸、シーブルー大陸にいる伝説の竜種の幻影。
力はおおよそ二十分の一程度といったところだ」
「……伝説の竜の二十分の一の強さだっていうのかい。それが四匹も同時に……」
「おいおい、これじゃ話にならないぜ。俺の楽しみを奪うなよ」
「エプタ。いつも足並みを乱しすぎるぞ。控えろ」
「……正面の女は俺の獲物だ。後ろの二人は好きにしな」

 展開があわただしくなってきた。あの竜三匹だけでも相当やばかったのに、ボロボロとはいえ最後の
戦った一体。あのトパージオとかいう竜。あのブレスが一番効いた。

「何ぼさっとしてるの! やられちゃうわよ!」
「司会が援護に回ってどうするのだ。だがかなり劣勢のようだな」

 どう見ても不利に決まっている。竜を呼び出した本体たちは攻撃にこそ転じていないが
どんな能力かは不明。
 さらにミリルは両肩を矢で貫かれたまま。
 ベルドもシュウも巨大な竜四匹を眼前にたじろいでいるままに見えた。


 見えたのだが……違った! 

「強大な相手にも決して臆することなかれ」
「心を静め和を乱すな。恐れるな、立ち向かえ!」

 ベルドとシュウは息を合わせて手を合わせる。

『盛者必衰!』

 二人が重ねた手から巨大なエネルギーが放出され、それは二匹の竜を貫き消滅させた。
 あの技……確かフーがケルベロスを消滅させていた技だ! 何時の間にあんな技を!

「諦める理由なんて」
「俺たちにはない!」
「ほう。君たちも有資格者に見えるな」
「人の子よ。見事残りの竜も退けて見せるがいい」

 残ったのはルービックにトパージオ。
 赤竜と土竜の二匹は凶悪なブレスを放出する構えに入っている。
 
「土臥斗!」
「土遁、土重ね櫓伏せ!」

 両者が土の術で防御しようとしている。だが、あのブレス。そうそう防げるもんじゃない!
 おまけにルービックのブレスまで重なったら耐えられるわけがない! 

「二人ともだめだ! どうにか回避しろ!」

 俺は思わず叫んでした。

「はぁ……はぁ……ドラゴニックデルト、解除……お願いルー。私の代わりに!」
「ルイー! ルイルイー!」

「る、ぴいいいいいいー----!」

 二匹の竜からブレスが放たれた瞬間だった。突如ミリルから分かれた黒い何かが
そのブレスへ向けて、同じくブレスを吐き、一つを相殺して逃げ道を作った。

 あれはルーか? まさか同化したまま参戦していたとは。大きくなったなぁ……。
 ミリルには矢が突き刺さったままで、身動きが取れない分ルーを動かしたのか。
 あいつら、本当にいい仲間の動きになってる。
 俺がいない間、幻妖団メルもたくましく成長したもんだ。到底負けてられないな! 

「おいティソーナ。見てみろあれが俺の幻妖団メルのメンバーだぞ」
「なんでごじゃろ。麿は眠いでごじゃろ」
「お前な……出番がないからってちょっとは能力の事とか教えてくれよ……」
「甘えるなでごじゃろ。自分でつかんでこその力でごじゃろ?」
「ぐう……そりゃまそうなんだけど。ちゃんと使いこなせるようになるのか? ティソーナもコラーダ
も」
「選ばれたものなら大丈夫でごじゃろ。ふむ、人の子は劣勢でごじゃろ」
「何言ってる。あの竜をたおし……」

 だが、劣勢の意味がわかった。ミリルはその間に首に手をかけられ、吊るされていた――――。
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