400 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会
第三百四十七話 第二試合 忍術、風火遁 不知火
しおりを挟む鋭角に鎗を突き出しながらエプタへ向け突進する。竜騎士ならではの技だろうが、明らかに
スピードが違う。この場所だとそこまで高さはないが、相当な重量を乗せて下降しているように見える。
一体どうやっているんだ? あの鎧に秘密でもあるのか? なんかルピィーとか聞こえたような気が
したんだが。
「すげー、かっこいいなミリルは。俺様もあれ、やってみてーぞ!」
「そもそもメルザがあんな肉体を酷使したら倒れるだろう。いや待てよ。幻術をもっと工夫すれば
色々出来るようになるんじゃないか?」
「そーなのか? 俺様よくわからねーしよ。むつかしーことは全部フェド先生に聞いてたから」
そうだった……フェドラートさんが恋しいです。今頃どうしているのかな……。
そう考えつつ試合をみていたら……ミリルの攻撃をいともたやすく腕の変な装備で防いで見せた。
その衝撃で地面に少しヒビが入る。まじかよ、あれで制限かけて戦ってるのか?
「この程度かよ、人のわりにゃまぁまぁじゃねえか、な!
「きゃああー-! 腕が!」
慌てて飛びのいたが、ミリルの両腕には矢が突き刺さっていた。俺の時と同じだ!
後方に突き進んで攻めていたベルドとシュウは、反転して左右後方からエプタへと迫る。
切り返しの機転もいい。連携が取れてる証拠だ。
「いくぞ。風臥斗!」
「風に乗れ! 和が力、忍術、風火遁、不知火!」
「これはシュウとベルドの連携術だー! やるじゃないあんたたち!」
「うまい連携をしているな。見事だ。あれならばミリルも距離を取りやすい。しかし後方は
まるで微動谷せぬな。余裕をみせたままだ」
冷静に解説するドーグル。状況をよくみている。だてに俺の中からサポートをしていない。
「エプタ」
「人の攻撃なんざきかないね。黙って見てろ」
エプタは大きく息を吸い込み……吸い続け……巨大な火炎を全て飲み込んだ!
火炎と共に追撃に向かっている二人は足を止める。この止め方は想定外だろう。
避けるにせよ防ぐにせよ、あの巨大な炎をどうにかしようと思えば少なからず隙ができる。
そこを追い打ちするはずだったんだろうが……どうみても当てが外れている。
エプタ一人をミリルとシュウ、ベルドが挟む形になっている。恐らく火力的には一番がミリル。
ついでベルド、シュウの順番だろうか。
しかし後方にオクトたちがいる以上、シュウもベルドも油断はならない。
「ミリル、平気か!」
「はぁ……はぁ。この矢、抜けませんわ。それに……連携、うまく決められずごめんなさい……」
「切り替えろ! 来るぞ! シュウ、後ろの警戒を頼む。俺がいこう」
ベルドは短鎗を二本持ち構える。以前と少し形が違うように見える。
いや、別物だ! 片方の先端からは炎が出ている。もう一つは不明だが、仕掛けがあるとみた。
きっとニーメのお手製だろう。あの子は努力家で真面目。鍛冶の腕も相当上がっているに違いない。
シュウは巻物のようなものを展開して土壁を作っている。ああやって忍術は使用するのか。
ストック次第で体力を使わず術を行使できるなら、十分な良い手になる。
ミリルは上空からも地上からも攻めれるし、これは実にいいパーティーだ。
だが……相手が悪い。
「悪いがこれ以上エプタに任せておけぬようだ。イネービュ様がにらんでおられる。
人の子の努力に報いよと」
「……んだよ。人なんざもっといたぶってもいいだろう」
「お前の気持ちもわからぬでもない。だが見えたものもあっただろう」
「まずいぞ! 後ろのやつらが動く……あれは……竜? しかも、四匹の竜だと!?」
「う……そ……なにあれ」
シュウの後方には、以前対峙したルービック、サファール、ペリドーそしてトパージオが
突如として現れた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める
シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。
メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。
しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる