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第三章 舞踏会と武闘会
第三百四十四話 第一試合 サラ、真化す
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「すげー戦いだけどよ。これぜってー不利じゃねーか?」
「いや、そんなことはない。リルをよくみてみるんだメルザ。いろいろ考えて動くタイプだからさ、リルは」
リルとよく行動をしていたからわかる。まだ諦めてはいないし、それにサラと二人だ。
いくらベルローゼ先生に変身したとはいえ、劣勢というわけではないだろう……本物のベルローゼ
先生と同じというわけではないだろうし。
外見や声は同じだ。だが思考や全ての技などあらゆるものまで一緒ではない……と思いたい。
「二人とも、悪いが一気に終わらせるぞ。黒星の双鎌」
巨大な黒い鎌を二つ生成した……あれは、まずい。まともに放てば正面方向が消し飛ぶぞ!
先ほどのリルの攻撃を防いだ防壁があるが、あれで平気なのだろうか。イネービュは微動だにしていない。
「サラ! 僕のところへ……ありがたいね。こんなに早く耐久確認できるとは。
ブエルの甲殻!」
「お兄ちゃん助けてー!」
ブエルの甲殻が発動し、黒星を防いだ。驚くほどの防御性能……黒星を防ぎきるとは。
やはり守護者の能力はどれも高い。サラの技もかなり使い勝手がいいように見える。
通常のモンスターの技をノーマルとするなら、確実に上位技ともいえるだろう。
しかしあの黒星……確かに先生のものにそっくりだが、威力はどうなんだろうか。
ブエルの甲殻で確実に防いでいるように見えるが……。
もし本物の先生なら、とっくに追い打ちをいれてる。
だが……どうにも慎重に行動しているのか、はたまた身動きがうまくとれないのかよくわからない。
リルは冷静に観察しつつ、サラへと合図を送っている。
「サラ、ここで挽回しないとルインが幻滅するよ」
「わ、わかってるわよ! ちゃんとやるから見てて!」
サラはブエルの甲殻から飛び出すと、一気に奇襲をかける。
ベルディア程ではないが、思い切りはいい。しかし当然見切られている……はずなのだが、あれ?
ベルローゼ先生は近づくサラに回し蹴りを放って吹き飛ばそうとした。
先生はあんな戦い方はしない。
近づくもの皆切り裂いていく……というか黒星の技が危険すぎて誰も近づこうとはしない。
さらに言うなら先生は既にロゼ……赤と白の星の技を使用していた。
……そこまでは出来ないってことだろう。
そして俺はずっとリルの動きに注目していた。
煩わしくサラを振り払おうとしている先生。動き自体は悪くない。
「あらどうしたの。使わないの? 黒星。 この位置なら真っ二つよ」
「……黙れ、鬱陶しいぞ」
「しゃべり方はベルローゼそのものなのにね。技は多様出来ないみたいね……邪術釣り糸!」
飛び跳ねて邪術を回避し、再び黒星を放つが、サラはぴゅーんと急いでリルの許まで逃げていた。
あの機転の良さこそまさしくサラ。違う意味ではめられた記憶がある。
あいつが前世にいたらきっと美魔女と呼ばれていたに違いない。
男としてはもっとも敵に回したくない存在……というか嫁になったような気もしないでもない。
「ここでベルローゼ……じゃなかった、ペンデが動いたわ! ……ややこしいからベルローゼで
いいわよね、もう」
「ちみはいい加減だな。まぁいいだろう。しかしわらにはほかに気になる事があるのだ」
「なによ。勿体ぶってないでさっさと言いなさいよね。試合終わっちゃうかもしれないじゃない」
「なぜあちらは先ほどのリルのように神魔化せぬのだ」
「たしかに! あんたいいとこに気付くじゃないの。別に私は気づいてたけどね!
本当よ!」
俺も気になっていた。だが聞かなくてもわかる。実力差がかけ離れるからだ。
ここで初めてイネービュが声を上げる。
とはいってもリルとサラ、ペンデの攻防は続いている。
「人の子よ。神格化できぬ者の戦いに合わせて争わねば公平に反すると思ったからだよ。
しかしまさか、不十分とはいえ彼がそれを行うとは思わなかった。
ここへ来るしばらくの間だけでも成長をする。なんという素晴らしさだ。
私はこの身が震えるほどに嬉しく感じているよ」
「ふぅーん。つまり……手加減されて戦ってるっていうのかい。この僕にさ」
「あ、やば。私しーらない。お兄ちゃんああ見えてすごく気位が高いんだよね」
アルカーンに劣等感を抱いて育ったリル。
気位がは高いだろうし、何気に負けず嫌いでもある。
俺には大分遠慮しているように見えるが、そうでない場面では自ら勝利を勝ち取ろうとする
姿勢。負傷したカノンを背負い、足が砕けても俺の許へ向かう度胸、自己犠牲。
リルは強く、そして優しいのに、とっても熱いものを持っている妖魔だ。
いや、案外妖魔は熱い奴ばかりなのかもしれない。この俺を含めて……。
【妖真化】
「……ここからは殺す気でいくぞ」
「あらお兄ちゃん、それじゃ私もいくわよ?」
【妖真化】
「いや、そんなことはない。リルをよくみてみるんだメルザ。いろいろ考えて動くタイプだからさ、リルは」
リルとよく行動をしていたからわかる。まだ諦めてはいないし、それにサラと二人だ。
いくらベルローゼ先生に変身したとはいえ、劣勢というわけではないだろう……本物のベルローゼ
先生と同じというわけではないだろうし。
外見や声は同じだ。だが思考や全ての技などあらゆるものまで一緒ではない……と思いたい。
「二人とも、悪いが一気に終わらせるぞ。黒星の双鎌」
巨大な黒い鎌を二つ生成した……あれは、まずい。まともに放てば正面方向が消し飛ぶぞ!
先ほどのリルの攻撃を防いだ防壁があるが、あれで平気なのだろうか。イネービュは微動だにしていない。
「サラ! 僕のところへ……ありがたいね。こんなに早く耐久確認できるとは。
ブエルの甲殻!」
「お兄ちゃん助けてー!」
ブエルの甲殻が発動し、黒星を防いだ。驚くほどの防御性能……黒星を防ぎきるとは。
やはり守護者の能力はどれも高い。サラの技もかなり使い勝手がいいように見える。
通常のモンスターの技をノーマルとするなら、確実に上位技ともいえるだろう。
しかしあの黒星……確かに先生のものにそっくりだが、威力はどうなんだろうか。
ブエルの甲殻で確実に防いでいるように見えるが……。
もし本物の先生なら、とっくに追い打ちをいれてる。
だが……どうにも慎重に行動しているのか、はたまた身動きがうまくとれないのかよくわからない。
リルは冷静に観察しつつ、サラへと合図を送っている。
「サラ、ここで挽回しないとルインが幻滅するよ」
「わ、わかってるわよ! ちゃんとやるから見てて!」
サラはブエルの甲殻から飛び出すと、一気に奇襲をかける。
ベルディア程ではないが、思い切りはいい。しかし当然見切られている……はずなのだが、あれ?
ベルローゼ先生は近づくサラに回し蹴りを放って吹き飛ばそうとした。
先生はあんな戦い方はしない。
近づくもの皆切り裂いていく……というか黒星の技が危険すぎて誰も近づこうとはしない。
さらに言うなら先生は既にロゼ……赤と白の星の技を使用していた。
……そこまでは出来ないってことだろう。
そして俺はずっとリルの動きに注目していた。
煩わしくサラを振り払おうとしている先生。動き自体は悪くない。
「あらどうしたの。使わないの? 黒星。 この位置なら真っ二つよ」
「……黙れ、鬱陶しいぞ」
「しゃべり方はベルローゼそのものなのにね。技は多様出来ないみたいね……邪術釣り糸!」
飛び跳ねて邪術を回避し、再び黒星を放つが、サラはぴゅーんと急いでリルの許まで逃げていた。
あの機転の良さこそまさしくサラ。違う意味ではめられた記憶がある。
あいつが前世にいたらきっと美魔女と呼ばれていたに違いない。
男としてはもっとも敵に回したくない存在……というか嫁になったような気もしないでもない。
「ここでベルローゼ……じゃなかった、ペンデが動いたわ! ……ややこしいからベルローゼで
いいわよね、もう」
「ちみはいい加減だな。まぁいいだろう。しかしわらにはほかに気になる事があるのだ」
「なによ。勿体ぶってないでさっさと言いなさいよね。試合終わっちゃうかもしれないじゃない」
「なぜあちらは先ほどのリルのように神魔化せぬのだ」
「たしかに! あんたいいとこに気付くじゃないの。別に私は気づいてたけどね!
本当よ!」
俺も気になっていた。だが聞かなくてもわかる。実力差がかけ離れるからだ。
ここで初めてイネービュが声を上げる。
とはいってもリルとサラ、ペンデの攻防は続いている。
「人の子よ。神格化できぬ者の戦いに合わせて争わねば公平に反すると思ったからだよ。
しかしまさか、不十分とはいえ彼がそれを行うとは思わなかった。
ここへ来るしばらくの間だけでも成長をする。なんという素晴らしさだ。
私はこの身が震えるほどに嬉しく感じているよ」
「ふぅーん。つまり……手加減されて戦ってるっていうのかい。この僕にさ」
「あ、やば。私しーらない。お兄ちゃんああ見えてすごく気位が高いんだよね」
アルカーンに劣等感を抱いて育ったリル。
気位がは高いだろうし、何気に負けず嫌いでもある。
俺には大分遠慮しているように見えるが、そうでない場面では自ら勝利を勝ち取ろうとする
姿勢。負傷したカノンを背負い、足が砕けても俺の許へ向かう度胸、自己犠牲。
リルは強く、そして優しいのに、とっても熱いものを持っている妖魔だ。
いや、案外妖魔は熱い奴ばかりなのかもしれない。この俺を含めて……。
【妖真化】
「……ここからは殺す気でいくぞ」
「あらお兄ちゃん、それじゃ私もいくわよ?」
【妖真化】
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