394 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会
第三百四十一話 第一試合、リルカーンの実力
しおりを挟む
美しい銀白色の髪を靡かせ、右手の蛇を前に突き出し、漆黒の目を光らせながら低い姿勢で構えるリル。
今までの妖真化とは明らかに違う雰囲気だ。
「おいおい、なんで君、神魔化出来ちゃってるんだい。反則だろう、それは」
「時間がない。余が先に向かう。カノン、後方からあれを頼む」
「う、うん。リルさん本当に意識あるみたい。よかったわ……」
武闘会会場にどよめきが走る。神の遣い側からだ。イネービュはそれを冷静に見ているだけだが、少し
笑みを浮かべているように見える。ブネは無表情のまま眉間にしわが寄っているように見えるが……怒り
なのか?
「なぁルイン。リル、暴走してねーぞ。すげーな! いつあんな風にできるようになったんだ?」
「俺の影響を強く受けたんだろう。どうにもこの封印、仕組みがいまいち俺にもわかってない。
リルの潜在能力からして神魔解放だって出来るとは思うけど、ああもあっさりやられると、俺としては
複雑だなぁ……苦労したから」
「あれは完全な神魔解放などではない。よくみろ!」
「うわぁ、ブネ! 突然背後から話しかけるのはやめてくれ!」
リルの方をよく見ると、確かに違和感がある。
神魔解放……つまり第七感を得て、最高の高揚感がある状態だが、リルは冷静そのものだ。
相手の対峙状況を見極めつつ、何をどうするか思案しているようにみえる。
ということは、あれは……そうか!
「わかったぞ、あれは模倣だ! リルのやつ、俺が一回サクラの木のところでメルザを連れて行く時
に模倣したってのか。まったくとんでもないやつだ」
「もほー? リルの必殺技か! すげー!」
「恐れ入ったぞ。あの妖魔センス。かつてのランスを思い出す。美しさといい技の閃きといい、なんという
逸材がいたものか……む、動くぞ!」
「余に殺されても文句は言わぬ事だ。邪眼連鎖! ……実に思考が回りやすい。限界点は三十秒程……
それで片を付ける! 。エビルパンデモニウム」
邪眼の視線をすり抜けつつ、灰色の空間がリルの前方へと広がっていく。
それを見てパチリとイネービュが指を鳴らすと、舞台の上以外は球場の膜で覆われた。
「あれ、くらったらまとめて封印される技だよな。リルの使用する技の中でも相当にやばい技だ」
「イネービュ様が手を出す程のものか。しかし十分操作できておる」
「カノンの方にも灰色の空間はむかってない。すげー集中力だ!」
司会のライラロさんは目をぱちくりさせてみている。当然だ、ライラロさんはあれを見ていない。
ここまでの急展開について来れなくても無理はない。
「えー、これはどうなってるわけ? リルが真化できて神魔解放? かっこよくなって灰色の空間を
展開……って何なのよこれー!?」
「ちみはもう少し落ち着くのだ。彼は飛躍的に成長した。海底に向かう途中彼を止められたのはカノンだけ
だったのだ」
「こんな面白そうな戦いなら私も参加すればよかったわ! 究極幻術をくらわしてやるんだから!」
「ちみが術を発動してどうするのだ。落ち着け。む、しかしあの灰色の空間、振り払ったようだぞ」
「エークシ! ありがと……でも大丈夫? その腕」
「いや、大丈夫ではない。あの小僧、さらに追撃を放っておった。三重の手、恐ろしい程の反応。
まさに神魔解放の力だった」
「……エークシ、君は離脱だ」
大きく負傷したエークシに、イネービュから離脱が告げられる。
負傷した腕はみるみるうちに元通りに戻り、何事もなかったかのような状態へと戻った。
だが、本人は膝をつき息も荒い。あそこまで消耗するのか……確かに続行は難しい。
先ほどの攻防を俺はしっかり見ていた。
今までの妖真化とは明らかに違う雰囲気だ。
「おいおい、なんで君、神魔化出来ちゃってるんだい。反則だろう、それは」
「時間がない。余が先に向かう。カノン、後方からあれを頼む」
「う、うん。リルさん本当に意識あるみたい。よかったわ……」
武闘会会場にどよめきが走る。神の遣い側からだ。イネービュはそれを冷静に見ているだけだが、少し
笑みを浮かべているように見える。ブネは無表情のまま眉間にしわが寄っているように見えるが……怒り
なのか?
「なぁルイン。リル、暴走してねーぞ。すげーな! いつあんな風にできるようになったんだ?」
「俺の影響を強く受けたんだろう。どうにもこの封印、仕組みがいまいち俺にもわかってない。
リルの潜在能力からして神魔解放だって出来るとは思うけど、ああもあっさりやられると、俺としては
複雑だなぁ……苦労したから」
「あれは完全な神魔解放などではない。よくみろ!」
「うわぁ、ブネ! 突然背後から話しかけるのはやめてくれ!」
リルの方をよく見ると、確かに違和感がある。
神魔解放……つまり第七感を得て、最高の高揚感がある状態だが、リルは冷静そのものだ。
相手の対峙状況を見極めつつ、何をどうするか思案しているようにみえる。
ということは、あれは……そうか!
「わかったぞ、あれは模倣だ! リルのやつ、俺が一回サクラの木のところでメルザを連れて行く時
に模倣したってのか。まったくとんでもないやつだ」
「もほー? リルの必殺技か! すげー!」
「恐れ入ったぞ。あの妖魔センス。かつてのランスを思い出す。美しさといい技の閃きといい、なんという
逸材がいたものか……む、動くぞ!」
「余に殺されても文句は言わぬ事だ。邪眼連鎖! ……実に思考が回りやすい。限界点は三十秒程……
それで片を付ける! 。エビルパンデモニウム」
邪眼の視線をすり抜けつつ、灰色の空間がリルの前方へと広がっていく。
それを見てパチリとイネービュが指を鳴らすと、舞台の上以外は球場の膜で覆われた。
「あれ、くらったらまとめて封印される技だよな。リルの使用する技の中でも相当にやばい技だ」
「イネービュ様が手を出す程のものか。しかし十分操作できておる」
「カノンの方にも灰色の空間はむかってない。すげー集中力だ!」
司会のライラロさんは目をぱちくりさせてみている。当然だ、ライラロさんはあれを見ていない。
ここまでの急展開について来れなくても無理はない。
「えー、これはどうなってるわけ? リルが真化できて神魔解放? かっこよくなって灰色の空間を
展開……って何なのよこれー!?」
「ちみはもう少し落ち着くのだ。彼は飛躍的に成長した。海底に向かう途中彼を止められたのはカノンだけ
だったのだ」
「こんな面白そうな戦いなら私も参加すればよかったわ! 究極幻術をくらわしてやるんだから!」
「ちみが術を発動してどうするのだ。落ち着け。む、しかしあの灰色の空間、振り払ったようだぞ」
「エークシ! ありがと……でも大丈夫? その腕」
「いや、大丈夫ではない。あの小僧、さらに追撃を放っておった。三重の手、恐ろしい程の反応。
まさに神魔解放の力だった」
「……エークシ、君は離脱だ」
大きく負傷したエークシに、イネービュから離脱が告げられる。
負傷した腕はみるみるうちに元通りに戻り、何事もなかったかのような状態へと戻った。
だが、本人は膝をつき息も荒い。あそこまで消耗するのか……確かに続行は難しい。
先ほどの攻防を俺はしっかり見ていた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

世界樹を巡る旅
ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった
そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった
カクヨムでも投稿してます
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる