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第三章 舞踏会と武闘会
第三百三十四話 ブレディーを救う手がかり 一緒に行ってあげるわよ
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「……ってことなんです」
「あんた、どんどん人を越えていくわね……まぁ強い方がベルディスの弟子にふさわしいけど。
それにしても点…ブレアリア・ディーン。この海底と同じく、伝説ではなかったのね。
賢者の石、貸してもらえるかしら」
これまでの経緯をライラロさんに話し、賢者の石を手渡した。
この石、俺には全く使う事が出来ない。ライラロさんなら使えるのだろうか?
「ふーん。思ったより普通の石ね。ダメだわ。私にもよくわからない」
「当然だろう。それを創造したのは絶対神。人の子に使用できる道理はない」
「ブネ。ライラロさんのように突然現れるのはやめてくれ。そういうのは一人で間に合ってる」
「そこの娘はユニカ族だろう。高き知力と美しい容姿を兼ね備えた種族。
その希少さ故に多く争いを生み出す存在だ」
「……どういう意味よ、それ」
「ライラロさん、気にしないでくれ。神ってのは人の感情を考えて発言したりしない。
さっきイネービュから嫌というほど感じ取った。人の生も死も、思い描くような幸せも不幸も
何もかも。神にとっては揺れ動く振り子のようなものなんだよ……」
「……ベリアールよ。神とて気に入った者からの発言は強く受け止める。
貴様がそう望むのなら気を付ける事にしよう。だが……イネービュ様は存在その者が異次元。
このブネの意すらも遠く及ばぬ存在だ」
「あんたはあれの分体なんでしょ? それなら意識共有くらいしているんじゃないの?」
「それは違うぞユニカ族の娘よ。分体とはいわば道具のようなものだ。我々は使役して頂いている
のと同じ。消滅せよと言われれば今すぐにでも消えうる存在だ」
「……怖くはないのか?」
「このブネに恐怖などない。だが、喪失感はある。それは……」
「ベルーファルクとフェルドランス……か。それは俺たちの言葉でいう愛とか好きという感情
と等しい。俺はブネや……それから俺を攻撃したエプタには、強い感情があるように思えるけど」
「……あやつか。実は我ら十の神の遣いは以前、十一おった。ディーカ。
あやつとディーカは行動を同じくすることが多かったが、ディーカは神々の戦いの折、消滅した。
人の魂を生業とした神の兵によってな」
「人の魂を生業とした……神兵?」
「ふむ……ここでなら話しても問題なかろう。ディーンめが口止めしておったが、そなたの
妻の一人、ファーフナーという娘がおるな。
あの娘はその神兵で間違いない。それともう一人、ここに呼ばれたあの少年もそうだろう」
「ファナとニーメが神の兵だっていうのか?」
「そうだ。何れの神兵かまではわからぬ。だがそもそも両者には特別な力が感じてとれる」
「ファナとニーメは……三夜の町で出会ったんだ。けど、俺は……二人の事、何も知らなくて」
「話したくない過去など、誰にでもあるものよ。それは私だっておんなじよ。
あの子がどんな出自だって関係ないじゃない。あんたが守る。それで十分よ」
「当たり前だ! 例え魔王の子だろうが、神の子だろうが関係ない。
そいつらがファナをどうにかしようっていうなら俺は戦うだけだ」
「安心しろ。追われているような神兵であるならとっくに制裁者が遣わされている。
あの娘は恐らく……神兵と何者かの間に生まれた子だろう。
どちらも見てみよ。このブネと違い、幸せそうな顔つきをしておる……」
ファナもニーメも中のいい姉弟だ。いまも姉を祝福し、無邪気な笑顔を振りまいているニーメが
見える。あの子はまだ子供。それでも精一杯生きている。この厳しい世界で。
「ファナたちのことはわかった。教えてくれてありがとう。
ブレディーの事を聞きたいんだが、いいか? イネービュにはこう言われたんだがわからなくて。
闇の衣、闇のオーブ、闇の知識を探しなさい。賢者の石は闇を飲み込み身にまとう。
器をかざし、結び付けなさい。
我々神に出来る事。それは新しく芽吹く創造を見守る事だけなのだから」
「……イネービュ様が本当にそう伝えたのか?」
「ああ。一言一句間違えてなどいない。あいつの命に関わる事なんだろう?」
ブネは感情のない表情のままだが、唇指をあて思案しているように思える。
「……それならばきっと、ディーンは甦るかもしれん。
貴様はバラムを封印したといったな。それが器だ。器はどこにある」
「今、アルカーンさんのとこだ。最悪時が進まない部屋に封印できるようにしてある」
「そうか。ならば他の三つ。それらを全て集めよ。
闇のオーブは貴様らの世界、地上のシフティス大陸とやらにあるはずだ。詳細は知らぬ。
闇の知識……これはキゾナ大陸にある古代樹の図書館で手がかりを探るがよい。
あの場所以上に知識の宝庫と呼べる場所はない」
「闇の衣ってのは?」
「ドルドロスだ。やつは最後、どこにおった?」
「俺たちの町だ。ルーンの町」
「ならば復活場所はそこだな。全て集まるかどうかわからぬが……」
「集めてみせる! どんな手段を尽くしてでも、必ず」
「なら、決まりね。私も行くわ。本当は新婚旅行に行くつもりだったけど。
あんたには借りがいっぱいあるから。それにシフティス大陸、行ったことないでしょう?」
「いいのか? 師匠は絶対行かないと思うけど」
「いいわよ。だってもう、私の夢は叶っちゃったんだから。幼い頃、ずっと決めていた、あいつらと
語った夢。生きてるかわからないけれど、あいつらに報告したいのよ」
「あいつら……?」
「こっちの話。それよりあんた。さっきの話考えるとどんだけやることつめてんのよ。
少し分散しないといけないんじゃない? バカ弟子は意地でもあんたと行くっていうでしょうけど」
「そうだな……俺には多くの仲間がいる。だからきっと大丈夫だ」
「……しばし待て。このブネも貴様に助力できぬかかけあってみよう。
あくまでイネービュ様の遣いとしてだがな」
「冗談だろ? 神の遣いなんて俺に一体どうしろってんだ」
「ふふ、気負う事などない。貴様たちから人の常識とやらを学んでみたくなっただけだ。
それに……一凛の花くらい、添えてやりたくてな」
「あ……そうか。それなら頼もう。これ以上ないくらい頼もしい」
ブネはすーっとイネービュの許へ向かい、俺は天を仰いだ。
またあいつの毒舌を浴びせられたくなったのかな。
ジオの気持ちが少しだけわかる気がする。
「あんた、どんどん人を越えていくわね……まぁ強い方がベルディスの弟子にふさわしいけど。
それにしても点…ブレアリア・ディーン。この海底と同じく、伝説ではなかったのね。
賢者の石、貸してもらえるかしら」
これまでの経緯をライラロさんに話し、賢者の石を手渡した。
この石、俺には全く使う事が出来ない。ライラロさんなら使えるのだろうか?
「ふーん。思ったより普通の石ね。ダメだわ。私にもよくわからない」
「当然だろう。それを創造したのは絶対神。人の子に使用できる道理はない」
「ブネ。ライラロさんのように突然現れるのはやめてくれ。そういうのは一人で間に合ってる」
「そこの娘はユニカ族だろう。高き知力と美しい容姿を兼ね備えた種族。
その希少さ故に多く争いを生み出す存在だ」
「……どういう意味よ、それ」
「ライラロさん、気にしないでくれ。神ってのは人の感情を考えて発言したりしない。
さっきイネービュから嫌というほど感じ取った。人の生も死も、思い描くような幸せも不幸も
何もかも。神にとっては揺れ動く振り子のようなものなんだよ……」
「……ベリアールよ。神とて気に入った者からの発言は強く受け止める。
貴様がそう望むのなら気を付ける事にしよう。だが……イネービュ様は存在その者が異次元。
このブネの意すらも遠く及ばぬ存在だ」
「あんたはあれの分体なんでしょ? それなら意識共有くらいしているんじゃないの?」
「それは違うぞユニカ族の娘よ。分体とはいわば道具のようなものだ。我々は使役して頂いている
のと同じ。消滅せよと言われれば今すぐにでも消えうる存在だ」
「……怖くはないのか?」
「このブネに恐怖などない。だが、喪失感はある。それは……」
「ベルーファルクとフェルドランス……か。それは俺たちの言葉でいう愛とか好きという感情
と等しい。俺はブネや……それから俺を攻撃したエプタには、強い感情があるように思えるけど」
「……あやつか。実は我ら十の神の遣いは以前、十一おった。ディーカ。
あやつとディーカは行動を同じくすることが多かったが、ディーカは神々の戦いの折、消滅した。
人の魂を生業とした神の兵によってな」
「人の魂を生業とした……神兵?」
「ふむ……ここでなら話しても問題なかろう。ディーンめが口止めしておったが、そなたの
妻の一人、ファーフナーという娘がおるな。
あの娘はその神兵で間違いない。それともう一人、ここに呼ばれたあの少年もそうだろう」
「ファナとニーメが神の兵だっていうのか?」
「そうだ。何れの神兵かまではわからぬ。だがそもそも両者には特別な力が感じてとれる」
「ファナとニーメは……三夜の町で出会ったんだ。けど、俺は……二人の事、何も知らなくて」
「話したくない過去など、誰にでもあるものよ。それは私だっておんなじよ。
あの子がどんな出自だって関係ないじゃない。あんたが守る。それで十分よ」
「当たり前だ! 例え魔王の子だろうが、神の子だろうが関係ない。
そいつらがファナをどうにかしようっていうなら俺は戦うだけだ」
「安心しろ。追われているような神兵であるならとっくに制裁者が遣わされている。
あの娘は恐らく……神兵と何者かの間に生まれた子だろう。
どちらも見てみよ。このブネと違い、幸せそうな顔つきをしておる……」
ファナもニーメも中のいい姉弟だ。いまも姉を祝福し、無邪気な笑顔を振りまいているニーメが
見える。あの子はまだ子供。それでも精一杯生きている。この厳しい世界で。
「ファナたちのことはわかった。教えてくれてありがとう。
ブレディーの事を聞きたいんだが、いいか? イネービュにはこう言われたんだがわからなくて。
闇の衣、闇のオーブ、闇の知識を探しなさい。賢者の石は闇を飲み込み身にまとう。
器をかざし、結び付けなさい。
我々神に出来る事。それは新しく芽吹く創造を見守る事だけなのだから」
「……イネービュ様が本当にそう伝えたのか?」
「ああ。一言一句間違えてなどいない。あいつの命に関わる事なんだろう?」
ブネは感情のない表情のままだが、唇指をあて思案しているように思える。
「……それならばきっと、ディーンは甦るかもしれん。
貴様はバラムを封印したといったな。それが器だ。器はどこにある」
「今、アルカーンさんのとこだ。最悪時が進まない部屋に封印できるようにしてある」
「そうか。ならば他の三つ。それらを全て集めよ。
闇のオーブは貴様らの世界、地上のシフティス大陸とやらにあるはずだ。詳細は知らぬ。
闇の知識……これはキゾナ大陸にある古代樹の図書館で手がかりを探るがよい。
あの場所以上に知識の宝庫と呼べる場所はない」
「闇の衣ってのは?」
「ドルドロスだ。やつは最後、どこにおった?」
「俺たちの町だ。ルーンの町」
「ならば復活場所はそこだな。全て集まるかどうかわからぬが……」
「集めてみせる! どんな手段を尽くしてでも、必ず」
「なら、決まりね。私も行くわ。本当は新婚旅行に行くつもりだったけど。
あんたには借りがいっぱいあるから。それにシフティス大陸、行ったことないでしょう?」
「いいのか? 師匠は絶対行かないと思うけど」
「いいわよ。だってもう、私の夢は叶っちゃったんだから。幼い頃、ずっと決めていた、あいつらと
語った夢。生きてるかわからないけれど、あいつらに報告したいのよ」
「あいつら……?」
「こっちの話。それよりあんた。さっきの話考えるとどんだけやることつめてんのよ。
少し分散しないといけないんじゃない? バカ弟子は意地でもあんたと行くっていうでしょうけど」
「そうだな……俺には多くの仲間がいる。だからきっと大丈夫だ」
「……しばし待て。このブネも貴様に助力できぬかかけあってみよう。
あくまでイネービュ様の遣いとしてだがな」
「冗談だろ? 神の遣いなんて俺に一体どうしろってんだ」
「ふふ、気負う事などない。貴様たちから人の常識とやらを学んでみたくなっただけだ。
それに……一凛の花くらい、添えてやりたくてな」
「あ……そうか。それなら頼もう。これ以上ないくらい頼もしい」
ブネはすーっとイネービュの許へ向かい、俺は天を仰いだ。
またあいつの毒舌を浴びせられたくなったのかな。
ジオの気持ちが少しだけわかる気がする。
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