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第三章 舞踏会と武闘会
第三百二十九話 結婚式 後編
しおりを挟む「素敵な曲ね。今この場に、生きていてよかったと思うわ」
「私もっしょ。こんな風に結婚するなんて思ってもなかったけど」
「お母さん……私もお母さんみたいに、なれるのかな」
「三人共、手を」
ファナ、ベルディア、サラの指にも指輪をはめた。思っていたよりおとなしくて
びっくりしたが、三人共やっぱり、泣いてしまった。
やっぱり、特別なんだろうな。
「リル、カノン。二人には俺からじゃなくて、互いにつけあってもらえないか?」
「いいのかい?」
「ああ。その方がしっくりくるだろ」
リルとカノンに一つずつ誓いの指輪を渡した。お互い見つめ合い、指輪をはめ合った。
リルは優しくカノンを包み抱き合っていた。
イーファ、パモ、レウスさん、ドーグルにも同様に渡した。パモは指につけられないので
羽にはめるように加工してある。とても喜んでくれた。
「ふふ、不思議な感覚だね。だが女性にとってはいつでも、悪くないものなんだ」
「俺も生前はなー。美しい妻を娶ったんだぞ。八人もだ。な? 驚きだろ?」
「ほう。レウス殿は随分ともてたのだな。わらは随分と驚いた」
「俺もだよ。レウスさんの事は、よくしらないんだよな。箱に入ってたし」
「そんな事もあったな? けど今は楽しいぞ。箱の中つまらないからな?」
ジェネストは指が剣だったが、形態を変えられるようで今は普通に手だ。
真っ白なので神の手に近いが。
「……」
「あの、嫌だったらいいんだけど」
「……嫌ではありません。さっさとしてください」
「あ、ああ。これで」
「……ふん」
仮面だから喜んでいるかどうかわからないんだが……あの仮面外れないのかなぁ?
これでブレディーとドルドー以外の分は全て渡し終えた。
俺たちは名実ともに家族。
ブレディーの分は賢者の石の上に乗せておいた。
「そういえばドルドーってどこにいるんだ?」
「それが、ずっと落ち込んでいるように見えたんだけど。しばらくして闇に溶け込んじゃったのよ」
「そんな……」
「悲しいっす」
「ええ。そうね。ちょっとえろい目ばかりしてたけど」
「ん? ファナの影がなんか」
「うへへへ、ファナちゃーん、最高っすーー!」
「げ! あんたいつからそこにいたの!? ……もしかして私たちの着替え」
「え? だってこんな絶好の機会見逃すわけないじゃないっすかー! ぐはぁっ、闇の体なのに攻撃が!」
「そりゃメルザの幻術纏ってるからな」
派手に吹き飛ぶドルドー。心配していたが、こいつは案外タフなようだ。
一通り説明だけはしておくか。
ドルドーは考えていたが、固い決意をしたようだった。
「あっしはあのブレディーじゃないと絶対いやっす。何としてでも元に戻すっすよ!」
「わかってる。どうしたらいいか見当もつかないが、バラムも、賢者の石もどちらも存在している。
だからきっと戻せるって、俺は信じてるよ」
「そうね。そして私とベルディスのお祝いをしてくれることも、信じてるわ」
「おいライラロ、おめぇこりゃいってぇどういうことだ。なんで俺とお前の結婚式になってやがる」
「だって、これは結婚式としか言わなかったわよね、私」
「くっ、おれぁウェアウルフだぞ? おめぇはユニカ族じゃねえか」
「だからなに? 私は約束したはずよ。ずっとあなたと一緒よ、ベルディスぅー!」
「おい引っ付くな、噛み殺すぞ!」
「はい、愛の口づけ、チュッ」
「ライラロぉー!」
「あはは……このやり取り、久しぶりだな。帰って来たって感じがするよ」
「もー諦めた方がいーと思うぜ。俺様、ライラロししょーの事も大好きだしよ。
すげー尽くしてくれるしいいんじゃねーのか?」
「おめぇよ。他の女と喋ってるだけでこいつがどんな行動するかわかるか?」
「あ、ああ。そういわれると確かに……」
「あーら私が側にいれば別に何もしないじゃない。膝の上とかにのってるときに他の女と話せばいいのよ」
「無茶な……師匠のクールキャラが崩壊するわ……」
「さ、それよりそろそろよ。この世界の四柱、絶対神イネービュ……その姿を見る事ができるなんてね」
うまいこと話を切ったライラロさん。
師匠のでかいため息が聞こえた気がした。
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