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第三章 舞踏会と武闘会
第三百二十三話 結婚式はどこでやる?
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「おい貴様ら、早いところイネービュ様の許へと戻るぞ」
「あのー、ほかほかなブネがそれを言いますかねぇ……」
温泉にゅあがりのブネと出くわした俺は、湯気が上がる無表情なブネに呼び止められた。
「この温泉とやらが人の間で流行していると聞いてな。確かめる必要があるのだ」
「いや、急いでる割にゆっくりされていたような気がするけど……それより俺、これから結婚式
挙げないといけなくて」
「ついに子を設ける気になったのか。よい心掛けだ。人の子が生まれるたびに、神は喜ばしく思うものだ」
「ぶーっ、げほっ、げほっ、き、気が早いっての。まだ手に入れたティソーナの欠片も使いこなせてないのに」
「どれ、ティソーナの状態を確認する。見せてみよ」
「え? ええ、構わないけどここでか……封剣!」
人差し指と薬指で引き抜くように剣を出そうとする。するするとでてきたのは……。
紙だった。【寝てるでごじゃろ】
そう書かれていた。
バチコーンと紙を地面にたたきつける俺。なんなんだこいつは!
「ベリアールよ、ふざけておるのか」
「ふざけてんのは俺じゃなくてティソーナの方だよ! まったく」
「何を言っておる。ティソーナは剣だぞ」
「はい? こいつ意思持って喋ってるけど」
「そんなはずはない。それに魂など封じてなどいないぞ?」
「いやでも、こんな紙に寝てるでごじゃろとか書く奴だぞ」
「どういうことだ。無理やり引っ張り出せぬか?」
「封剣! 封剣! えーいでてこいティソーナ! おい! ……ダメっぽい」
「まぁよい。イネービュ様に引っ張り出してもらおう。ティソーナとコラーダの共鳴も必要だしな」
「共鳴?」
「そのあたりの話は……そうだな、こうするか。式はイネービュ様のご加護の許で行う。
お主はイネービュ様の加護を受けるがいい。生まれてくる子たちにも祝福がいきわたる様に」
「だから気が早いっての! なんで子供出来る前提だよまったく。メルザの子ならそりゃ可愛いだろうけどさ」
「何を言うか。他の娘の子も可愛いに決まっておろう。子供はみな可愛いものだ」
「あーーー、とりあえず俺、温泉入って来るから。ブネはルーンの安息所にでも行っててくれよ。
神の遣いが食べるかわからないけど、食べ物もあるし」
「ふむ。そうだな、なるべく早く四層に向かうぞ。よいな」
「はぁ……我が家に着いたばかりだからゆっくりしたいのになぁ……」
やたらとせかすブネを置いて、俺は久しぶりの温泉へ。
そして中には骨とカカシ。しかもせっちゃんだった。
「あれ、せっちゃんとここで会うとは。久しぶりだな」
「あーらいい男ね。結婚して!」
「いや、断る」
「残念ねー。そういえばアナタ。ブレディーちゃんは元気かしら?」
「そういえばブレディーはせっちゃんの友達だったな。あいつ元々スケルトンの姿だったんだっけ」
「正確には闇の生物であればどんな姿にもなれるのよー。アナタたちと会った時は少女の姿
だったのよね!」
「そうだな。少しいたずらっぽくって可愛い少女かな。でも俺は、ブレディーの事、よく知らないんだ。
それでもあいつは俺を慕ってくれたけど」
「アナタ、闇の種族に好かれる体質なのよ、きっと。闇の匂いがプンプンするわ!」
「へ? 体洗ったばかりなのに匂うのか?」
「そうじゃないわ。アナタ、恐らく普通の妖魔なんかじゃないわ」
「まぁ、神魔化とかも出来るし、最近じゃ獣落ちとやらを起こして獣化までしたからな……。
いつでも戻れるようになったのはメルザのお陰だけど」
「そういう事じゃないんだけど。そうね、魔族についてもっと調べてみるといいわよ」
「ふぇっふぇっふぇ。わし、会話に入ってもいいか?」
「すまんカカシ。久しぶりに会いたかったよ。畑はどうだ? メロン、出来てるかい?」
「ああ、できてるぞい。ちゃんと冷凍収納してある。後で取り出して持っていくんじゃぞ」
「助かるよ。今度稲を取りにいかないと……」
「稲じゃと? それならばシフティス大陸まで行かねばならんな」
「知ってるのか? カカシ」
「あら、稲ならトリノポートの最南西にもあるわ」
「本当か? ……これから神のいる海底第四層ってとこまでいかなきゃいけないんだ。
落ち着いたら詳しく話、聞かせてくれないか。ブレディーに聞くつもりだったんだけど、あいつ今……
そう、ちょっと出れない事情があって。直ぐ戻ってくるからさ」
「そうなの? またブレディーちゃんとゆっくりお話ししたいわぁ。待ってるわね!」
二人に別れを告げ温泉を後にした俺は、ルーンの安息所へと戻る。
カカシが入れておいてくれたメロンを取り出し、急いでメロンパイ作成の準備にかかった。
「あのー、ほかほかなブネがそれを言いますかねぇ……」
温泉にゅあがりのブネと出くわした俺は、湯気が上がる無表情なブネに呼び止められた。
「この温泉とやらが人の間で流行していると聞いてな。確かめる必要があるのだ」
「いや、急いでる割にゆっくりされていたような気がするけど……それより俺、これから結婚式
挙げないといけなくて」
「ついに子を設ける気になったのか。よい心掛けだ。人の子が生まれるたびに、神は喜ばしく思うものだ」
「ぶーっ、げほっ、げほっ、き、気が早いっての。まだ手に入れたティソーナの欠片も使いこなせてないのに」
「どれ、ティソーナの状態を確認する。見せてみよ」
「え? ええ、構わないけどここでか……封剣!」
人差し指と薬指で引き抜くように剣を出そうとする。するするとでてきたのは……。
紙だった。【寝てるでごじゃろ】
そう書かれていた。
バチコーンと紙を地面にたたきつける俺。なんなんだこいつは!
「ベリアールよ、ふざけておるのか」
「ふざけてんのは俺じゃなくてティソーナの方だよ! まったく」
「何を言っておる。ティソーナは剣だぞ」
「はい? こいつ意思持って喋ってるけど」
「そんなはずはない。それに魂など封じてなどいないぞ?」
「いやでも、こんな紙に寝てるでごじゃろとか書く奴だぞ」
「どういうことだ。無理やり引っ張り出せぬか?」
「封剣! 封剣! えーいでてこいティソーナ! おい! ……ダメっぽい」
「まぁよい。イネービュ様に引っ張り出してもらおう。ティソーナとコラーダの共鳴も必要だしな」
「共鳴?」
「そのあたりの話は……そうだな、こうするか。式はイネービュ様のご加護の許で行う。
お主はイネービュ様の加護を受けるがいい。生まれてくる子たちにも祝福がいきわたる様に」
「だから気が早いっての! なんで子供出来る前提だよまったく。メルザの子ならそりゃ可愛いだろうけどさ」
「何を言うか。他の娘の子も可愛いに決まっておろう。子供はみな可愛いものだ」
「あーーー、とりあえず俺、温泉入って来るから。ブネはルーンの安息所にでも行っててくれよ。
神の遣いが食べるかわからないけど、食べ物もあるし」
「ふむ。そうだな、なるべく早く四層に向かうぞ。よいな」
「はぁ……我が家に着いたばかりだからゆっくりしたいのになぁ……」
やたらとせかすブネを置いて、俺は久しぶりの温泉へ。
そして中には骨とカカシ。しかもせっちゃんだった。
「あれ、せっちゃんとここで会うとは。久しぶりだな」
「あーらいい男ね。結婚して!」
「いや、断る」
「残念ねー。そういえばアナタ。ブレディーちゃんは元気かしら?」
「そういえばブレディーはせっちゃんの友達だったな。あいつ元々スケルトンの姿だったんだっけ」
「正確には闇の生物であればどんな姿にもなれるのよー。アナタたちと会った時は少女の姿
だったのよね!」
「そうだな。少しいたずらっぽくって可愛い少女かな。でも俺は、ブレディーの事、よく知らないんだ。
それでもあいつは俺を慕ってくれたけど」
「アナタ、闇の種族に好かれる体質なのよ、きっと。闇の匂いがプンプンするわ!」
「へ? 体洗ったばかりなのに匂うのか?」
「そうじゃないわ。アナタ、恐らく普通の妖魔なんかじゃないわ」
「まぁ、神魔化とかも出来るし、最近じゃ獣落ちとやらを起こして獣化までしたからな……。
いつでも戻れるようになったのはメルザのお陰だけど」
「そういう事じゃないんだけど。そうね、魔族についてもっと調べてみるといいわよ」
「ふぇっふぇっふぇ。わし、会話に入ってもいいか?」
「すまんカカシ。久しぶりに会いたかったよ。畑はどうだ? メロン、出来てるかい?」
「ああ、できてるぞい。ちゃんと冷凍収納してある。後で取り出して持っていくんじゃぞ」
「助かるよ。今度稲を取りにいかないと……」
「稲じゃと? それならばシフティス大陸まで行かねばならんな」
「知ってるのか? カカシ」
「あら、稲ならトリノポートの最南西にもあるわ」
「本当か? ……これから神のいる海底第四層ってとこまでいかなきゃいけないんだ。
落ち着いたら詳しく話、聞かせてくれないか。ブレディーに聞くつもりだったんだけど、あいつ今……
そう、ちょっと出れない事情があって。直ぐ戻ってくるからさ」
「そうなの? またブレディーちゃんとゆっくりお話ししたいわぁ。待ってるわね!」
二人に別れを告げ温泉を後にした俺は、ルーンの安息所へと戻る。
カカシが入れておいてくれたメロンを取り出し、急いでメロンパイ作成の準備にかかった。
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