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第二章 神と人

第三百十四話 魔と魔のぶつかり合い

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『アニヒレーションズ!』

 二人の幻魔技がぶつかり合い、激しい閃光が走る。
 どっちも恐ろしい強さだ。対峙したからこそわかる。剣の腕なら俺の完敗だ。

「トウマ、グリドラ、ター君、ホー君、魔吸鼠のチュー吉、それから……妖雪造形術、コウテイ、アデリー、ゴマキチ……まだだ! 赤雪鬼、黒雪鬼! 一気にいくぞ! 時間をかけたらこっちが不利だ! 
メルザ! そっちも全開でいけ! ただ、ウガヤの力は絶対使うなよ!」
「わかった! ……えっ? ブネ様の制御? そっか。俺様やってみるよ! 
主として権限を異常行使。
幻となる地、幻ドール界よりもたらされる理。
古の幻魔竜、ミストラージャを我が元に」
「シュルウウウウウウウーーーー!」
「なん……だ、あれは。グリドラやトウマの存在がかすむ程の圧倒的な竜種? 
凄いなメルザ……俺も負けてられない! 変幻ルーニー! 妖赤海星のさざ波……! みんな、頼むぞ!」
『ウェーーイーォァーー! ホロロロー! ピーノ!』

 様々な歓声が重なり、我が妖魔軍団、守護者、メルザの幻魔竜が動き出す。
 
「汝らの力、見せてもらう。ダークネスガルプ」

 あたり一面を闇が飲み込んでいく! くそ、こんな技相手に数で挑んでも厳しい……いや! 

「さすが我が主!」
「俺様、やっと役に立てたぞ! こんくれー光に包んでおけばへーきか?」

 あたりを飲み込もうとしていた闇を、メルザの光術が吹き飛ばしていく。
 やっぱり術に関しては化け物クラスだ。
 既にライラロさんを越えているのかもしれない。
 それほど圧倒する光だった。

「汝、強気光を発するものよ。いいだろう。魔としての対抗を施す。
四十一のガァスホォーク招来」

 突如バラムから大きな黒い羽根を持つ鳥が現れる。メルザの方へ飛翔しているそれに
ルーニーが戦いを挑むが、多勢に無勢すぎる! 

「セーレ!」
「ヒヒン! 任せてよね。やっと出番だね。結界だけが取り柄じゃないよ。運ぶのが得意なのさ。
双魚宮の運び手!」

 一瞬でかい魚が見えたと思ったら、鳥の軍勢に食らいつき、大半を食い尽くして消えた。
 ……なんてやばい技使えるんだ、こいつ。守護者戦の時使われてたらアウトだろう。

 俺の妖魔軍団は闇に阻まれながらもバラムに近づき、闇を払うように攻撃している。
 物理攻撃はあまり効いていないように思えるが、ブレス攻撃やター君、ホー君の攻撃は
効いている。
 レドッピーブラッピーの雪こん棒は効果がないらしく、ゴマキチと一緒に相手の
注意を惹く役目に徹してくれている。

「戦場が騒がしくなってきた。ジェネスト、決着をつけよう」
「そうですね。早くディーン様を取り戻すため助力せねば」
「貫け、深淵シャル・ティー・トランスフィクション!」
「終焉に見舞え! シャル・イー・テトラ!」

 クリムゾンの肩先を貫き、膝をつくクリムゾン。
 だが両者の攻撃はどちらもあたっていた。
 違いは……セーレの結界。むしろクリムゾンの一撃の方が先に決まっていた。

「負けた。だがこれでよかった。このクリムゾンとジェネストの違い、それは……仲間の数」
「私に仲間などいない。あるのはディーン様のみ」
「そうではない。上空を見ろ。あれの結界が無ければ死んでいた」
「……」
「招来せねば近くにいられない、このクリムゾンと違い、今後いつでもそばにいられるお前を
羨ましく思う」

 クリムゾンは消滅した。一体あの術はどうなっているんだろうな。
 だがこれで……邪魔されることなくバラムの許へ向かえる。

 俺は覚悟を決めてバラムに一直線へと走っていく。

「いくぞバラム! ……いや、ブレディー! お前を必ずもう一度、俺のものにしてみせる!」
「汝、愚かなり。そのような事、不可能だ」
「不可能を可能にしていくのが人だあー---! いくぞおー---! 成功してくれよ!」 

【獣神魔・真】
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